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欲望には際限がない。

貧しい人の定義。

 世界で一番貧しい大統領として有名になったホセ・ムヒカさんは「貧しい人たちとは、優雅な暮らしをし続けるためだけに働き、常により多くを望む人たちのことです」と発言していることからも、お金持ちと貧乏人の本質的な違いは、持っている資産額ではなく欲深さにあることを如実に表している。

感応度逓減性。

 実際に、プロスペクト理論の中に感応度逓減性と呼ばれるものがあり、人は扱う金額が大きくなると感覚が鈍ると言われている。

 宝くじの高額当選者が高確率で不幸になるのは、当選金と言う一時的な再現性のない収入によって金銭感覚が鈍り、生活レベルがどんどん上がってしまうことによるものとされている。

 私の考えるお金の器と感覚的には近い。お金持ちは扱う金額が大きくてもシビアにコントロール出来る技量や器を持っているから、宝くじの高額当選者のような末路には至らないわけだ。

お金持ちと成金の決定的な違い。

 そんな一般的には庶民に妬まれる一方のお金持ちだけど、私に言わせれば庶民にお金持ちアピールをしている時点で、自己顕示欲の塊。どれだけの資産を持っていても関係ない。

欲張りな時点で成金である。

 紀州のドン・ファン死亡事件は最たる例で、金に物を言わせて若い女と結婚した結果、遺産目当てで妻が致死量を超える覚醒剤を経口摂取させて中毒死するという不幸な結末を迎えた。

 私が思うに、真のお金持ちマインドを持つ人たちは、人間の欲望には際限がないことをよく理解しているから、私利私欲に溺れて金に目がくらむようなことはなく、信頼や名誉を重んじる誠実で尊敬できる人ばかりだ。

お金では買えない”何か”を求めるお金持ち。

 世間体を気にして見栄を張り、自らお金の不安要素を作るのはナンセンスだと考えている。だから周りに笑われようと、収入よりもはるかに低い支出で生活しているし、リスク管理も上手いから、そもそも資産を持っていることなど公言しない。まさにとなりの億万長者。お金持ちはお金を持っているが故に、お金で買えるものには興味を示さない反面、お金で買うことのできないものの大切さを誰よりも分かっている。だから、時間と労力をかけて健康や知識、経験と言ったものを手に入れようと努めたり、良好な人間関係を築こうとするわけだ。

 とはいえ、一般的なサラリーマンがいきなりお金持ちのマインドを身につけて、無欲になるのは難しい。今でこそ、モノに対しての執着がほとんどない私でさえ、かつてはマーケティングに踊らされた結果、部屋中がモノで溢れていた。その経験があるからこそ、この先で記す内容が説得力を持つのかもしれない。

欲張って浪費しないために。

 大事なのは購入の心理的ハードルを上げること。以前にも、自分の時給単価を把握して、それに見合った消費をする生活を心がけるように記した。

 これを、もう少し深掘りするしようと思う。

サラリーマンなら税引後の時給単価を把握する。

 なぜなら、自営業者は収入から経費で買ったものを差し引いて税金を払うのに対して、サラリーマンは収入から税金や社会保険料が差し引かれた手取りでしか何かを買うことができないからである。

 年間の労働時間が2,000時間で年収が400万円程のサラリーマンであれば、時給換算で2,000円だ。これには後払いに相当するボーナスなども含めた金額だ。これが税引き前の時給で、多くの人はこの時給を基準に計算しがちである。

 重要なのはこれからで、年収が400万円の場合、およそ2割が税金と社会保険料として源泉徴収されると手取りは320万円。これを年間の労働時間で割ると1,600円になる。この400円の差を甘く見ると、知らないうちに家計は最大で80万円のマイナスとなる。

 だから、何かを買うときは、税引後の時給を基準に考えないと、社会保険料や税金で負担する2割を無視して買い物することになる。これではお金が貯まるわけがない。

資産所得で賄うのに必要な元手で判断する。

 もうひとつの基準として、4%ルールで賄うためにはいくらの元本が必要になるのかと言う考え方も有効だ。これはサブスクなどの定額制サービスを検討する際に参考になる。

 例えばアマゾンプライム会員は2021年時点で月額500円だけど、これを4%ルールの不労所得で賄おうとすると、300倍の15万円の種銭が必要になる。15万円で生涯に渡って月500円受け取れる権利と天秤に掛けて、その権利よりも価値があると思えば今すぐ加入すれば良いし、悩むなら種銭を確保して不労所得を得てから考えれば良いだけの話だ。

 税引後の時給で何時間働く必要があるのか。不労所得で買うには種銭がいくら必要なのか。この2つの視点を持つことで、自分の欲求に対する買い物の心理的ハードルは相当高くなるはずだ。


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