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26歳のわびさび。日雇いバイトの茶封筒

晴れて無職の身となった私ですが、エージェントに登録したり、知り合いの紹介などを頼りに仕事は探し始めていて、根拠なく何とかなるだろうとフリーダムな時を過ごしていました。
(もう少し大人になった頃、心身の事情から働けなくなるロングバケーションが幾度か訪れることをこの頃は知る由もなし)

2003年当時、食いつないでいた日雇いバイトがまた渋い。
早朝に川崎駅に集合し、紺のハイエースに乗せられて工業地帯へ。仕事が終わるとまた川崎駅まで送られ、その日の日当を受け取りに事務所へ行くと窓口の人が機械的に茶封筒に入った給料を手渡してくれる。記憶が曖昧だけど、いろいろ引かれて手取りは確か6000円くらいだったかな。そう現ナマです。茶封筒を握りしめて彼女(その後の妻)と待ち合わせして一緒に溝の口あたりで晩飯を食べるのですが、見るに見かねた彼女が私より多く支払ってくれちゃうというルーティーンでした。汗臭くて嫌だっただろうなーー。でも二人で乗り越えた楽しい時間でした。あの頃から苦労を掛けてばっかりだのぅ。

それはさておき、日雇いの内容がまぁ面白かったので、一部テキストにしておきます。

ヤ〇ー!BBのモデムリユース対応業務

同世代の人なら誰でも知っていると思うのですが、当時ADSLの黎明期で街を歩けばヤ〇ー!BBの無料モデムが配られていました。今となっては、すげぇビジネスモデルだなぁと感心するばかり。あの赤字は回収できたのかしら。
そのモデムは捨てられるかのように配られるので、返品の量も尋常じゃない。集められた日雇い軍団は返品・回収されてきたモデムをリユース品として出荷するために働く。1日に数万個のモデムが回収されてくるので、それはもうカオスですよ。しかもリユースするから乱雑には扱えないので、寄集めの日雇い軍団に求めるには繊細な仕事だ。で、この業務にはいろいろな役割がある。トラックから降ろされたパレットを作業現場まで運ぶ人、パレットをバラす人、モデムを箱から出す人(これが大多数)、傷をチェックする人、バーコードを貼る人、パッキングをする人、出荷作業する人。。そしてこの段取りの順番には不思議なヒエラルキーが存在する。つまり、”傷チェック係”くらいからは、より間違えられられない作業なのでなんとなく偉そうな振る舞いが見られるのだ。一緒に作業していた”モデムを箱から出す係”の青年がボソッと「あいつら、、エリート振りやがって。。」とつぶやいてた。
安心しろ。気が付いてないのかもしれないけど、俺たちは世の中のほぼ底辺にいるんだ!と心の中でリアクションしといた。


小麦粉を廃棄せよ業務

どこでも買える小麦粉ですが、品質によっては家畜用にされたり、それでも出荷しきれないものや、古くなってしまったものは残念ながら捨てることとなるのです。ただ、小麦粉そのまま焼却すると粉塵爆発が起こるので、水を入れてコネて固体にして捨てる必要があるのです。
ある日、数人の作業者と一緒に誰もいない港に連れていかれ、でかい小麦粉の袋を数十袋とコネ機(という名前かは知らないが、よく工事現場でコンクリートと砂利を混ぜるようなやつ)を渡されて、朝から晩まで海を見ながらひたすら固める。回転しているマシンに粉を入れ、バケツで水をいれ、固まったらまた袋に戻して閉じる。はたから見たらとにかく怪しい集団なんだよね。お巡りさんいたら100%職質されてたよ。
小麦粉の袋を開けたとき、虫が飛び出して着たり、ウジが大量発生していたりして、めでたくトラウマとなりました。

他にも-40℃の冷凍庫作業、ジュース20000本を捨てる作業など、忘れられない日雇いワールドはいろいろあったのですが、書ききれないのでこれにて。

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