ゲラン―Guerlain Fragrance Reviews
自分の最初の香りはシャネルで・・・!と決めていたのに、惹きつけられるように手にしていたのはイディールのオーデトワレだった。購入後はしばらくイディールだけを愛でて愛用。そのくらい満足感のある香水で、自分にとっては特別だった。女性のヒールを表現しているボトル形状など、愛でるには飽きない作品でもあった。
最初の香りがゲランだったので、試香購入数が現在1番多いのがゲランの作品。クラシックラインでは年を重ねたらこういう香りを纏える女性になりたいと思わされる作品が多い。
Les Eaux Guerlain
ゲランのオーシリーズは香り立ちがさっぱりしていて使いやすい作品が揃っている。このシリーズは男女兼用で使える香りが多い。
中でもオーインペリアルは歴史が長く、純天然香料で作られていると言われる。この作品は創業者ピエール・フランソワ=パスカル・ゲランが当時のナポレオン三世妃のために創った香水で、これにより「皇室御用達調香師」の称号を得た。
Guerlain Aqua Allegoria
ゲランのアクアアレゴリアは気分が明るくなるような香りが多い。入れ替えの激しいラインナップで、初期から市場に残り続けているのはパンプリューヌとバーバフレスカのみ。比較的ライトな香りが多く、日常生活でも気楽に使える。
アクアアレゴリアはジョーマローンのように複数の香りを重ねるコンバインの概念はないものの、同じ空間で複数の作品が香る「ミクソロジー」という概念がある。「ミクソロジー」とは、一緒にいるアナタとワタシがそれぞれのアクアアレゴリアを香らせてる、この空間が「いとおかし」・・・というようなことだと思っている。
Guerlain L'art et la Matiere
ゲランの中でも評判の高いラールエラマティエール、”アート&マテリアル(芸術と素材)”という名のコレクション。これは、最も高貴な素材を選び、調香師の才能でその素材の魅力を生かすというまさに芸術作品のようなラインナップとされている。
試香した時は9作品が発売されており、試した6作品の香りはいずれも香りの豊かさを感じた。
個人的にはパフパフがついたボトル所有の憧れが強い一方、現実的にはドロップがスマートで便利だった。現在は四角い画一ボトルで展開。あの素敵なパフパフつきのボトルは残念ながら今はもう手に入らない。ところで、便利だったドロップ復活はあるのだろうか。
Patrimoine de Guerlain Collection
パトリモワンヌコレクションは、ゲランの象徴、蜜蜂の紋章を全体に刻んだ豪華でシックなボトルが印象的だった。ゲランのルーツともいえる貴重な香りを復刻させた特別なラインだという。カラフルなリボンで装飾され華やかで存在感あるコレクションだった。自分が特に好きな作品はニュイダムールとベゼドゥルシー。
Les Elixirs Charnels
ゲランのエリクシール シャルネルは、「肉感的な媚薬」というコレクション。
ゲランの香水を集めていた当時に体験したのがグルマンコキャン、シプレーファタル、フレンンチキスの3作品。2020年のサロンドパルファンでは20mlのドロップでも購入できたことを後々知った。ドロップはいつだって便利で人気だ。
リライトにあたり今回久しぶりにゲランホームページを覗いてみたところ、特注で香りを創作してもらえるビスポークフレグランスという記憶にないカテゴリーが広がっていた。
ビーボトルは健在なものの、統一感あるボトルの数々はモダンなものに様変わり。しばらく離れていた間に世界はすっかり変わってしまったのだ。
1994年の市場暴落でゲランはルイヴィトンモエへネシ―(LVMH)へ事業売却が完了。その後ロジスティクスの合理化が進んだのか、ほとんどが統一ボトル化されてしまった。これはいちユーザーとして少し残念。やはり香水は眺めて愛でる楽しみもあると思うから。
歴史あるメゾンであるゲランはどの香りにも個性的なストーリーがあるところに魅力を感じていた。その個性はボトルデザインにも反映されていてまさに芸術。視覚を含めて非常に満足感を感じるものだった。
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