社会保険とダブルワーク その1
noteを始めて1周年となりました。初めの頃は投稿頻度も少なかったですが、今では週1更新が板についてきました。次は週1更新を1年間続けることを目標に更新していきたいと思います。いつもnoteを読んでいただいて、ありがとうございます。注意欠如多動性障害(ADHD)・精神障害者手帳2級で博士(生命科学)のred_dash です。
今回は社会保険とダブルワークについてのお話です。
私はこれまで、社会保険のことを十分に知らないまま過ごしていました。しかし発達障害の判明以降、社会保険に私はとても助けられています。転ばぬ先の杖として、社会保険に関する制度を知っておくことは多くの人にとって有用だろうと感じるため、今回紹介します。
近年、副業が推進されています。フルタイムで働きながら副業をする人や、アルバイトを掛け持ちする人のように、複数の企業から雇用されるダブルワークをする人が以前に比べて増えています(厚生労働年金局, 2019年)。副業を行う事情はそれぞれです。活躍の場を広げることや、収入アップを目的としたいわばポジティブな副業や、収入不足を補うためにやむを得ず行うネガティブな副業とがあると私は推測します。
さて、ダブルワークをした場合、社会保険は適用されるのでしょうか。 社会保険の一つ、雇用保険について厚生労働省による制度の説明を見てみましょう。
次の (1) 及び (2) のいずれにも該当するときは、雇用保険の被保険者となります(中略)
(1)31日以上引き続き雇用されることが見込まれる者であること。(中略)
(2)1週間の所定労働時間が 20 時間以上であること。
雇用保険の加入手続はきちんとなされていますか! |厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000147331.html
1つの事業所で上記の条件を満たす場合、雇用保険の対象となります。ちなみに2010年の改正により適用範囲が広がった結果、上記の条件となりました。
ダブルワークで1事業主あたりの労働時間が週20時間を切る場合は、雇用保険に加入できません(厚生労働年金局, 2019年)。1事業所で週20時間を超え、もう1か所で20時間を下回る場合は、前者で雇用保険へ加入します。2事業所以上でそれぞれ週20時間を超える場合はより高給の1か所で加入となりますが、仮に解雇された場合も週20時間以上の雇用が保たれていれば失業保険の対象になりません(払い損では!?)。
今回は、社会保険の中でも雇用保険とダブルワークの関係について紹介しました。次回は、厚生年金および健康保険について紹介します。
ちなみに私は、新卒の方や、特に博士号を取得したての研究者に雇用保険を含む社会保険の内容を把握してほしいと思っています。博士論文の執筆と、就職活動に注力しているであろう博士号取得希望者にとって、社会保険について学ぶ時間を確保することは困難です。しかし、博士号取得後の道は険しいです。民間企業に就職する場合、大学との価値基準の違いに戸惑うのではないでしょうか。アカデミックの世界に残る場合、就職の困難さゆえに、社会保険のお世話になる可能性があります。
博士号を取得した後にも大学や研究機関で研究を続ける人の多くは、博士研究員、いわゆるポスドクと呼ばれる職に就きます。ポスドクの所得はピンからキリまであります。中には私のように、フルタイム雇用ではない人もいます。2011年の調査では、年収300万円未満のポスドクは全体の約15%、特に20代では23%程度とされています(日本学術会議, 2011年)。こうした人の多くはフルタイム雇用ではないと私は推測します。つまり、ポスドクには潜在的なダブルワークの需要があるのではないでしょうか。
それでは、素敵な1日をお過ごしください。
red_dash
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PS. こうして社会保険制度について紹介していると、FPや社労士の資格が欲しくなってきます。現在も間違いのないように記事を書いていますが、読者さんにより安心して記事を読んでもらえるようになりたくなるのです。
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参考
働き方の多様化と社会保険における対応について, 厚生労働省年金局, 2019年5月31日
https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000514049.pdf
雇用保険の加入手続はきちんとなされていますか! |厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000147331.html
生命系における博士研究員(ポスドク)並びに任期制助教及び任期制助手等の現状と課題, 2011年, 日本学術会議 基礎医学委員会
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-21-t135-1.pdf
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