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やめられないし止まらない

 終われなくて帰れない、どうすりゃいいんだ、

 最後の1人が終わるまで帰らない。先をゆく皆さんは「え?まだこんな風潮あるの笑」なんて笑うかもしれないが、あるところにはある。というか自然発生する。そこに無いなら無いダイソーの逆。

 別に先に帰る者が薄情だとは誰も思わないし、そもそもこのご時世だ。「終わったらすぐ帰ろうよ」ってみんな呼びかけている。どころか会社を上げて取り組んでいる。でも謎の抵抗力が我々の肉体を席に押さえつける。

 そもそも我々の仕事が終わった人から帰れるように出来ていないのだ、たぶん(逃げ)。基本的に新しい情報はトップダウン、上から下へ流れていく。発信された情報を上の人が見てハンコを押し下へ流す。それを見た人もハンコを押して下へ、それが繰り返される。

 よくこういうのはスタンプラリーに例えられるがまさにそっくりだ。なんてワクワクしないスタンプラリーなんだろう。どうせなら苗字じゃなくてポケモンとかシナモロールの可愛いやつを回したいぜ。

 また、意見を集約する時も、取りまとめる担当を一人決め、その人に各々の意見を集める。受け取った担当はそれをまとめて上に送る。上のものは複数の担当の意見を集めてさらに上に送る。なんて逆トーナメントじみたレースが行われる。どんなに小さなことでも。どうせ登るなら鮭の遡上の方がかっこいいぜ。

 かといってこれをどう改善したらいいのか?まじでわかんない。わかる人がいないから今まで生き延びているのだろう。どう改善したらいいかみんなで考えようとしたらまた「どう改善するか考えよう」のバトンが行って帰るだけだろう。

 無駄なリレーを省けばいいんじゃないか?とよく言われるし自分も思う。でも何か意見を主張したいときには上の人のハンコがついてないと相手にされない。何より自分が怖い。

 中途半端に社会に染まることではっきり自分の意見を主張する勇気、というよりはKYさがどんどん失われていくからだ。そして勝利しようとするのではなく最初から52点を狙うつまらない人間になっていく。これが大人になるってことなのか。

 なんて文句を言いつつも今日も明日もバトンを渡され返し続ける。やめられない、止まらない。


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