耐震診断依頼_見出し画像202002

『耐震診断』を依頼する!

「・・・なんで?」

住まいに関する法律はどんどん変わっていきます。
元々あった法律が改正されたり、新しい法律が作られたり。
もちろん、建物の強さに関しての法律も変わっています。

皆さんのお住まいを建てたときの法律と現在の法律が変わっている場合、現行法の基準を満たしていない可能性があります。
現在の建築基準法は、2000(平成12)年に法改正されました。
ということは、それより前に建てられたお家は、その時に変更になった、あるいは追加された内容はもちろん含まれていない内容で建てられているということになります。
基本的に昔の基準の方が今の基準より厳しかったとは考え難いですし、実際、昔の方が基準はゆるかったですね。
単純に弱い建物だということになる可能性が高いでしょう。

また、皆さんのお住まいが建てられてから何年か経っている為、老朽化しているということも考えられます。
例えば、雨樋が割れていたり、外壁にヒビが入っていたり、屋根瓦が割れているかもしれません。
大きな地震の被害を受けた場合は、特に注意が必要です。

「それ、何?『耐震診断』?」

そこで必要になってくるのが『耐震診断』です。
『耐震診断』とは、皆さんのお住まいの現状をチェックし、現行法の耐震基準と照らし合わし、大規模な地震に対して建物の安全性を評価することです。
評価は、『評点(上部構造評点)』という数値で表します。
簡単に言えば、皆さんのお住まいが『地震』に対して安全かどうかを確認する作業です。

その結果、『耐震改修』が必要な建物かどうかを判断します。

『耐震診断』を依頼する前に。

国土交通省住宅局建築指導課監修のもと、一般財団法人日本建築防災協会により『誰でもできるわが家の耐震診断』という耐震簡易診断があります。
一応、リンクしておきますので、興味のある方はご確認下さい。
(※一般財団法人 日本建築防災協会のホームページのPDFにリンクしています)


その結果により、専門家へ『耐震診断』を依頼するかどうか考えるというものなのですが、実は、これ、結局、「専門家に診てもらいましょう」となります。
そもそも、建築の専門知識のない一般のお施主さんが建物が安全かどうかを判断することは、たとえ、それが簡易であろうができるわけがありません。
というか、『大丈夫です。』なんて言わせるわけにはいきませんよね。
ですので、「専門家に診てもらいましょう」というためのツールではあります。


しかし、内容はしっかりとポイントをまとめており、重要な項目ばかりで、我々、専門家が確認するポイントそのままです。
10/10点満点なのですが、1点でもマイナスが出れば注意が必要です。
特に7点以下の場合は書いている通り「早めに専門家に診てもらいましょう。」

「誰に頼むの?」「どこに頼むの?」

結局、「『耐震診断』をお願いしたいんだけど、どこに言えばいいの?」って事になります。

この『耐震診断』は、誰でもできるものではありません。
資格を持った専門家でなければ、『耐震診断』はできません。

まず、1つ目は、『建築士』であること。
木造建築士、二級建築士、一級建築士どの資格でも問題ありません。

そして、2つ目は、耐震の専門講習を受講していることです。
大阪府の場合、2つの講習があります。
「公益社団法人大阪府建築士会が主催する耐震診断講習会の受講修了者」
「一般財団法人日本建築防災協会が主催する耐震診断講習会の受講修了者」
となります。

1つ目と2つ目は、どちらかではなく、両方必要です。
建築士であり、且つ 耐震診断講習会の修了者です。
耐震診断講習会は、どちらの講習会の修了者でも問題ありません。
必ず上記2つの資格を持った専門家に依頼して下さい。

「じゃあ、その資格を持った人はどこにいるの?」ってなりますよね。
実は、これが結構大変なんです。

〇 大阪府建築士会が主催する耐震診断講習の場合
大阪市中央区谷町3丁目にある「大阪府建築士会事務局」で、「耐震診断講習会の受講修了者の名簿を見せて下さい」と言って下さい。
そうすると、受講修了者の名簿を閲覧させてもらえます。

〇 日本建築防災協会が主催する耐震診断講習の場合
日本建築防災協会のホームページの耐震支援ポータルサイトに建築士事務所と担当建築士が掲載されています。
しかし、こちらは建築士事務所協会等に所属してない建築士事務所の場合は、掲載申し込みをしないと掲載してもらえません。
おそらく、受講修了者で掲載されていない方もいらっしゃると思います。

ちなみに私はどちらも受講修了しているのですが、この記事を書くにあたり、日本建築防災協会では掲載申し込みをしていなかった事がわかり、急いで申込書を郵送しました。(2020年2月21日現在)

正直、どちらもわかりにくいんですよね。
なので、もう一つの方法。

地域の役所に行って相談するという方法があります。
その地域で耐震の補助金を利用した耐震診断等を行った実績のある設計事務所や工務店などのリストを閲覧させてもらえたりします。
実際、私のところには多くの方が、「茨木市役所でリストを見て近所だから来たんです。」と来社されたり、お電話を頂いたりします。

あとは、気になる工務店やリフォーム会社などに直接、専門家がいるか確認するしかないですね。

ただし、どこで探してもそうですが、依頼する前にその専門家の方としっかりお話しをして下さい。

耐震についてどう考えているのか?
どの程度の経験と実績があるのか?
補助金の利用についての考えは?

耐震は、比較的新しい考え方です。
建築士として長い経験を持っていても、耐震は未経験の方は多くいらっしゃいます。
耐震に否定的な方や新しい工法を知らない方、勉強不足な方もいます。
また、補助金の利用には手間暇がかかりますので、嫌がる方もいます。

親身になって相談に乗ってもらえる専門家を見つけて、依頼するようにしましょう。

次回は、『耐震診断』の内容についてお話していきたいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?