見出し画像

意味とは人間だけが見出せるとかなんとか言うよね~ゲーム【少女がひとり、生贄となる。】感想※ネタバレあり

ネタバレありっていうか20分もかからないフリーゲームなのでぜひやってから読むことをお勧めします。ゲームへの各種リンクはこちら。

Booth(投げ銭用プランもあって嬉しい。私はここからDLしました)

ここからだと、DLせずにブラウザ上で遊べるらしい。僥倖!


このゲームを知ったきっかけ

もうわかりますね、SNSで流れてきたものをたまたま目にしたためです。シンプルなタイトルとコンパクトなプレイ時間、サムネイルの少女がかわいかったので遊ぶことにしました。
精神的な元気があまりない時期だったので明るいテイストのゲームを遊ぶはずだったんだけど、どう考えてもこのタイトルで明るい話になるわけないんだよな。私はもうずっとこういうゲームに魅力を感じて遊び続ける運命なのかもしれない。

われは無力なり

「少女が一人、生贄になる。」ってタイトルから想像できるエンディングって3種類ありますよね。

①生贄として死ぬ(バッドエンド1)
②生贄としての役目を放棄して逃げるが、逃げ出せず強制生贄コースへ(バッドエンド2)
③生贄としての役目を放棄して逃げ切り、知らない土地で生存コース(トゥルーエンド)

うん。なんかセーブもあるし少女への返答を選択させられる時もある。きっと②③の道に進む方法もあるはず!!!

しかし一度目のエンディングを迎えて泣きそうになりつつゲームの説明文を見に行ったらさ、ね、こう書いてあるんですよ。

※どうしようとも何を思おうとも少女は助からず死にます。

Boothの詳細説明欄より

どうしようとも何を想おうとも少女は助からずに死にます。はあ。え? 絵っとあのあえっと、え?「※どうしようとも何を思おうとも少女は助からず死にます。」

え?

私ができたのは少女の話を聞くことだけ。それ以外何もできなかったし、どうにかできるようなもんじゃなかった。思わず両手で顔を覆い、眼鏡が机の上に落ちました。生贄の女の子はエンディングで捧げられるためにきれいに舞ってて、つまり、もう本当にどうしようもないし「この子は死ぬしかないので」という作者からの突き放しのメッセージも感じられ、「なんでえ」と再び顔を覆うほかありませんでした。

死に意味を見出すことの残酷さ

生贄になる女の子はいろんな話をしてくれます。両親は早くに死んだが村の人たちがみんなして優しく育ててくれたこと。本当は別の子が生贄に選ばれていたが、その子も園子の両親も嘆き悲しんで死ぬのは怖い嫌だと泣き続けるから、身寄りのない自分が村へできる恩返しだと思って代わりになると手を挙げたこと。不慮の事故や未練を残して死ぬよりは、生贄として他者の役に立つことができる自分の死は大変に恵まれており幸せであること。

でもそれ、それってさ、死んじゃうあなたが実感できる幸せじゃないじゃん、だって死んじゃったらなんにもなくなっちゃうじゃん。少女が語る「自分の死がいかにいいものであるか」を聞いていると、その裏には「自分の死にはこれらの意味があると信じていなければやっていられない」という諦めや悟り、強がりが見え隠れするように感じられます。

なので途中主人公が「死ぬのが悲しくないの?」って聞く場面で「悲しいにきまっとるだっろうがそれを表に出したらやっていけねえから明るく振舞っとるんがクソバカがよ!!!」とちょっとその、感情的になったこともありました。

少女から、あなたを含む生きるみんなへ。

「生贄になる前日の晩にあなたと話したかった」と言う少女。会話を続けるうちに背景が暗い夜の状態から徐々に明るくなり始めます。なんでそんなことするん。もっとずっと喋ってたかったしこのまま夜が明けないでほしかった、私は。でも少女にとってはたぶん待ちに待った朝なんですよね。そうかあ。待ちに待った朝かあ~~~本当かなあ、本当にそうだったのかなあ。そうだったらよかったな。よくないけど。でもそうであったらよかった。

でもそうであってほしくなかった。

もう行かなくちゃと立ち上がった少女がね、最後に朝日の中で「これからの私」に向けての言葉を残してくれます。

なるべく長生きしてね。
楽しいこと、たくさんしてね。
たくさん学んで、いろんなことを知ってね。
いろんなところへ行ってね。
それで、いつかまた会ったらいろんな話を聞かせてね。

個人的なことを話すと私は持病でまあちょいちょい希死念慮と命を懸けたハードなバトルを繰り広げているのですが、たぶん、いつかまたバトルをやることになった時、このゲームのこの女の子、トレニカちゃんの言葉がきっと私の味方になってくれるのだろうと思います。

祝福と呪いは同居するもので、このゲームはたぶん誰かの救いになると同時に誰かの呪いになって、一歩間違えば希死念慮の方の味方になってしまうような危うい物語なんですけど、だからこそ、20分ほどのコンパクトなボリュームと、最後の場面の明るさがちょうどいい作品だなと思いました。だってこのゲームのことを思い出した時に一番初めに浮かぶのは朝日に照らされて「あなたは生きてね」とはにかむトレニカだから。

まとめ

実を言うと今日はまあちょっと元気がなくて、配信を始める5分前まで「声を出す元気もねえや。どうしよう、延期しようかな」と迷っていたのですが、むしろそんなタイミングで遊ぶことができてよかったなと思います。

絵がかわいい。話は重い。だけどプレイ時間のおかげで一口で飲み込めるサイズになっている。そして、いつか苦しい状況に置かれたときにそっと隣にいてくれるようなお守りみたいなゲームでした。遊べてよかった!

もう一回最後にリンク貼っとくね。

それじゃあ、また今度ね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?