【ネタバレあり】車輪の国 悠久の少年少女 法月編 感想



11/4 18:00 追記
以下でこの作品を「惜しい」と書きましたが、なんだかんだ私自身がもう少しこの話を見たかったんだと思います。将臣について、色々と想像できる部分が多く、そういう部分を考えるのは私自身好きではあるのですが、なんというか将臣の行動について見せてほしかった・見たかったというのが少し時間が経ってからの新たに出てきた私の思いになります。
(評価もそれに伴い、上方修正しました。)
将臣もある意味で弱い人間でした。
その弱い部分をもう少し見たかった。
賢一の高等人試験を通じての将臣の心情の変化も見たかった。
悠久の少年少女をしたうえで、もう一度向日葵の少年少女をプレイした際に見えてくる将臣の一面もあると思うので、このゲームは「向日葵の少年少女」⇒「悠久の少年少女」⇒「向日葵の少年少女」とプレイすることが想定されているのかとも思ったりしました。
時間があったらもう一度「向日葵の少年少女」もプレイしたいと思います。


雑多な感想

惜しい作品だなというのが正直な感想です。
トリックというか逆境への主人公たちの立ち向かい方、ワンシーンでのヒロインの意思の強さの見せ方はうまいと思いました。
ですが、全体を通してのキャラの感情の変化の一貫性、描写不足に欠ける部分が多々あるなというのがちょっと引っ掛かりました。
将臣は、「社会のルールを変えたい」という信念を持っていました。
みぃなの命を助けるため、アリィに屈服するところは分かります。
しかし、社会に屈服し、信念を捻じ曲げてみぃなと会うのが気まずいとはいえ、あれだけみぃなのことを助けたいと思い、社会のルールを変えたいと願った将臣がみぃなの助けになろうとアプローチをかけなかったのかが腑に落ちませんでした。
まあ、確かに将臣が恋人の命が大事で何事に対してもリスクの少ない方に考えがちで合理的だが弱い人間だということは分かります。
それでもみぃなのその後のことをもう少し気に掛ける描写が欲しかった……。みぃなのことを好きになったと言いながら、愛する人のために自分の信念を捻じ曲げておきながら、自分の心に対する後悔の描写があまりないのが少し引っ掛かりました。(将臣がみぃなのことを気に掛けるが、アリィにそれを妨害されるなどの描写が個人的に欲しかったです)
全体として社会に対するどうにもならない不満、それにどう立ち向かっていくのかを書きたかったのかなと思います。
それに対し、今作は具体的な手段というか窮地に対する行動の部分(牢獄に閉じ込められた際に死体の振りをしてアリィを欺くなど)については良く描けていると思います。そもそもこの作品を見るきっかけが無能なナナをみたことがきっかけでしたが、やはりるーすぼーいさんはそういうトリック的な部分を描くのがうまいと思います。しかし、キャラの心情描写となると説明不足感(納期が厳しかったなど色々あるかもしれませんが……)が若干ぬぐえず、キャラの行動に納得できない部分があるというのが惜しいところでした。
全体としてみると、良いシーン(みぃなが傷だらけになりながら詩を書くシーン、最後の将臣の叛逆のシーン)などは随所にみられるものの描写不足の部分が多く見られて(特に心理描写)惜しいというのが感想です。
良い設定、音楽、CG、セリフがあったが故に、心理描写の綻びというのが気になり、とにかく惜しいというのが私の感想になります。

評価

シナリオ :4.2/5.0
キャラ  :4.2/5.0
セリフ回し:4.5/5.0
音楽   :4.7/5.0
イラスト :4.5/5.0



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