Column Vol.6 〜風況観測における鉛直ライダーの種類・後編〜
こんにちは、レラテックの水戸です。レラテックでは、主に風況観測業務を担当しています。
前回は、風況観測における鉛直ライダーの種類・前編として、「日本で使用されているVLの主な機種3つ」をご紹介しました。後編の今回は、洋上風況観測用に使用される、派生機種を2つご紹介します。
重塩害対策仕様の派生機種
WindcubeV2.1およびZX300には、洋上フローティングライダーシステム(以下、FLS)への搭載や、防波堤や海岸などの沿岸部での使用を想定した派生機種があります。
具体的な製品名称は、重塩害対策仕様の「Windcube V2.1 Offshore」と「ZX300M」です。
表1 VL概要
いずれも内部搭載OSや遠隔監視システムは、それぞれの従来機と変わりませんが、筐体(きょうたい)の密閉性・気密性を向上させているため、外見や重量、ケーブルコネクタ部分などが異なっています。
冬季雪害対策の派生機種
さらに、WindcubeV2.1およびZX300には、冬季雪害対策としてウィンターキットも別売りされています。
表2 ウィンターキット
WindcubeV2.1用のヴァイサラ社製 Winter kitは、VLをそのまま覆うような箱状の形状をしており、AC電源供給による内蔵ヒーターによってVLに積もった雪を溶かす機構になっています。
積雪量により左右されますが、仮にAC電源がない場合でも、上面が雪が滑り落ちるように斜めの形状に設計されているため、未装着時よりは一定の効果が得られます。
一方でZX300用のZX Lindars製 Thermal jacketのウィンターキットは、こも巻きのようにVLに防寒ジャケットを巻くことで、外気による内部温度の低下を低減するものになっています。
こちらには内蔵ヒーターはありませんが、そもそもVL自体のレンズ面が斜めに設計されていることから、雪が滑り落ちるようになっているため、レンズ面の融雪を必要としない設計思想になっています。
各VLには一長一短があるため、各機種の特性を踏まえたうえでの検討が必要です。レラテックでは観測実績や経験を元に、お客様のサイト環境にあったVLをご提案しています。
各機種の精度検証結果や、複雑地形下での観測における精度低下については、また次回のコラムでご紹介したいと思います。
レラテックでは風況コンサルタントとして、風力発電のための「観測」と「推定」を複合的に用いた、最適な風況調査を実施いたします。
ご希望のVLがありございましたら、それに基づく観測計画の立案も行いますので、お気軽にご相談ください。