大いなる残骸の地ロスリア
オーガの村を七つ越え、龍の棲む谷を過ぎ、瘴気の沼を抜け、俺たちはこの禁じられた残骸の山に辿り着いた。
無数の錆びたガラクタが、鉄屑が、地平線を越えて、空を貫いて、山を作り出していた。
遠近感がおかしくなる光景だ。
「これで、良かったのか、本当に」
苦難の旅の終わりが、こんな終わった場所だったなんて。
「ええ。ここよ。ついに私は帰り着いた」
「世界」のどんな精霊使いにも、その名を知られていない、無名の精霊は答えた。
「ありがとう」
そして、胸元から、拍動する心臓を彼女は取りだした。
まばゆい結晶製の時計だった。
彼女は拍動する心臓を掲げ言った。
「起動シークエンス! 帝国旗艦グウェンダリナよ! 我が体躯よ! 頭脳体の帰還を認証せよ! 星より墜ちての二万三千年の屈辱から目覚めよ! 汝の頭脳体の帰還を認証せよ!」
キュイイイーンンン。地鳴りがした。立っていられない。
美しくて、巨大で、恐ろしくて、誇り高い、何かが。
いま!
【続く】
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