界層の王と放逐者たち
世界が、老いていく!
視界の隅の何ということはない物体、放置された自転車、歪んだガードレール、空き缶、とにかく何かそういったものが、周りから切り離されたように、不意に、かすれて見える。
それが始まりだ。
いったん始まると、その違和感、亀裂、時間の砂の滞留は、ゆっくりと確実に周囲に広がっていく。
起点を中心に、変貌が目に見えて侵蝕していく。
缶なら恐ろしい速度で錆びていき、植物なら目まぐるしく枯れては生え、また枯れては生え、タイムラプスのように狂った速度で変容していく。異界へと