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ビジョンミッションから好奇心へ ~開かれた扉をくぐるとき~

子供の頃、私はのび太だった。

特にその特性が顕著だったのは中高生の頃。毎日が眠くて眠くて仕方なかった。テストは毎回最下位で補習の主。体育も補習。家庭科も補習。私の日常は、授業で寝る→休み時間にマンガ読む→部活か補習→部活後は図書館に行って歌舞伎雑誌を読むという、ちょっと変わった女子高生だった。

「どうしてそんなに寝ていられるの?」「もっとみんなの遊びに参加したら?」と色々な人から言われたけど、毎日が満たされていた。

のび太を卒業したのは、浪人の時。突然目覚めた。眠っていたのび太の中の真面目さが覚醒し、現在までに至る。

真面目に生きて真面目に仕事をし、競争社会で自分を試す楽しさを知った。

より高く・より早く・よりお客様の為に。

今振り返ると、牛丼屋みたいな思考回路だった。

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ガッチガチのサラリーマンソルジャーとしてのマインドを持ち続けたまま独立して3年。尊敬している先輩に言われた。「どうしてそんなに頑張らなければいけないと思うの?自分がかわいそうじゃない?」

そして同じ時期に、手を差し伸べてくれる仲良しのおじさんに言われた。「そうしてそんなに売り上げが必要なの?」

40年生きていると、人間にはタイミングがあるという事がわかる。まさにあれを立て続けに言われたのは、私にとって一つの転機となった。

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頑張り続けねば・あるべき姿に近づかなければと自分の首を絞め続ける一方で、実は不思議な体験を沢山していた。

自分じゃない誰かの力がふわっと働いて、全く思いもしなかったところに連れて行ってくれる、そんな感覚である。

独立した人であれば、誰でも少なからずこんな経験をした事があるんじゃないかな。


・全然知らない業界の人が突然チャンスをくれて、なぜかその業界とご縁が出来た

・手を差し伸べてくれる人たちがひょっこり現れて、温かい思いやりに満ちた支援をしてくれる。

・つまらない仕事だと思って引き受けたら、そこからとんでもない学びが沢山あった。

独立してから、誰かが開いてくれた扉をくぐる事の連続。

昔だったら、そんな他力本願に反吐が出ていただろう。「自分で」こじ開けていかなければ。理想とする世界に向けて「自分が」起点になっていなければ。

もしのび太が、サラリーマンマインドのままタケコプターで空を飛んでいたら。

自己満足的に一人で決めたビジョンやミッションに向けて、全速力で空を飛んでいただろう。そして、圧倒的当事者意識を発揮し、タケコプターの予備を少なくとも100個準備し、タケコプターの燃料を200MLから250MLに増やせるように改造していたかもしれない。その間は空も飛べないのに。

それが、サラリーマンのび太の矜持だった。

でも、私はもう知ってしまった。導かれる世界が、世の中には確実にあるという事を。

タケコプターが壊れたら、他の誰かにおぶってもらえばいい。それは力仕事の上手なジャイアンの時もあるし、のび太がすっかり忘れている過去の人かもしれないし、全く知らない隣町の人かもしれない。

でも、それでいいんだと思う。のび太の中にぶれない軸さえ持っているのであれば、あとはその軸を大切に、誰かに連れて行ってもらえばいい。

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仕事をしていく上で大切なのは、ビジョンミッションだと思っていた。でも今の私は本来ののび太に戻って、好奇心の赴くままに、誰かが用意してくれた扉をくぐっている。

正直、私が今身を置いているマーケットは、今後伸びていくと思う。

それならそんな贅沢なことはないじゃないか。マーケットが伸びるなら、その流れに甘えて身を任せてみよう。どこに流れ着くのか、そんなことを考えることが楽しい。

サラリーマンソルジャーとして頑張っていた自分に感謝といたわりの心を持ちつつ、のび太に戻ることが出来た自分にも少しほっとしている。



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