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タイトル:福田恆存における黙示録の思考使用単語:福田恆存|黙示録|ロレンス|イギリス文学


タイトル:福田恆存における黙示録の思考

序論
福田恆存は、イギリスの作家であった、D.H.ロレンスについて、いくつかの論文を書いている。
ロレンスといえば、わが国では、伊藤整が翻訳した《チャタレイ夫人の恋人》がわいせつ物頒布にあたるということが論点となった、いわゆる『チャタレー事件』が有名となってしまった。
しかし、福田がロレンスに注目していた理由は《黙示録論》のほうにあった。福田は、彼が学生として文学を学んでいた時期に、ロレンスが書いた《黙示録論》を読んでいた。《黙示録論》は、キリスト教の聖書にある《ヨハネの黙示録》が古代の自然信仰を魔術に貶めた、ということを解明しようとした。
福田の卒業論文は『D・H・ロレンスに於ける倫理の問題』だった。この卒業論文は、現在では行方がわからなくなっているけれども、その後に彼が書いた文章には《黙示録論》の思考を発展させたようなものがある。
本稿では、福田のさまざまな著作に見ることができる《黙示録論》からの影響について論じてみたいと思う。

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