見出し画像

夏目漱石『こころ』の思想史的解釈の可能性について  使用単語:日本近代文学史|オルタナティブ|文学的テクスト|明治の精神|

夏目漱石『こころ』の思想史的解釈の可能性について


議題
 夏目漱石(1867〜1916年)の代表作といえば、まず挙げられるのは『こころ』であろう。本作は世代を超えて読み継がれている小説と言える。古典的なものから現代のものまで幅広い作品を収録している新潮文庫において、最も売れているとされるのも本作である。しかし、近年の研究では、『こころ』が国民的作品として捉えられていることによって見逃されてきた解釈の可能性を見直そうとする向きがある。今回は、あえて文学研究の視座からではなく、思想史研究の視座から、本作の読み解きのオルタナティブな可能性について考えてみたい。

ここから先は

2,051字

¥ 500

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?