"ご意見"と"お気持ち"と神輿

時事問題や界隈のもめ事に対してご意見番じみたツイートやらちょいと過激な創作論など、反応が多くつきやすいんですね。悲しいことに。

苦言中毒(蛙田アメコ)

「あえてツイートしちゃう、歯に衣着せぬ私!」
「間違っているヤツを『刺して』やった鋭いツイート!」
うおーー、最強!!

苦言中毒(蛙田アメコ)

"時事問題や界隈のもめ事に対してご意見番じみたツイート"の毒について、私の実体験の話でも書こう。


「ご意見」は普通なら寝てても儲かる

ネガティブ、あるいは賛否が割れる発信を多くするほどインプレッションが上がるのは本当。身の回りには人が増えるし、アフィリエイト収入は勝手に増える。
断続的に炎上をし続けてたら、寝てても小遣いが入ってくる状態を作ることも可能。
ゆえに「炎上商法」ってのはなくならないんだね。

尤も、常人の精神だと大量の視線が自分の方を向いているというだけで発狂するし、小遣いが入る代わりに本業が手につかなくなるんで本末転倒になる(故にほとんどの正常人は炎上なんぞしたがらない)
疾患や生育歴のために精神構造が常人のそれからかけ離れてしまっている場合には割りのいいビジネスであるようだが。

しかしだ。
それだけの"楽勝な"インプレッション稼ぎをしているにも関わらず、「人が離れ続けている」現状があるとしたら、
何かよっぽど発信してる「ご意見」に欠陥がある場合だろう。

まあ具体的には「ご意見」じゃなくて「お気持ち」でしかない場合とか。

「欠陥ご意見」=アンフェアな「お気持ち」の群れ

自分は長らく絵を描いてきたので、うっすら"創作友達"や"おたく友達"ぐらいの認識のフォロワーがまあまあいて、2013年ごろにはSNS付き合いのなかでそれらのクラスタが占める割合がそこそこ大きくなっていた。

まあまあ穏当な付き合いをしていた方だと自分では振り返って思っている。

しかしこの"うっすらとした友達"ら、
定期的になにかしらのネガティブなニュースがバズると、一斉に自我を失ったように似たような念仏を唱え出すことがあった。

まあ内容は「こいつら公民とか倫理を履修してないのか、それとも授業中寝てたのか?」ってぐらいのもので、肖像権やら著作権の話題に至っては法学クラスタや弁護士になんぼ苦言を呈されてもめちゃくちゃな素人知識を拡散して勝手にリンチを繰り返してる有様。

「ご意見」と呼ぶには幼稚すぎるし、「お気持ち」にしてもアンフェアな物言いばかりだった。

一番ひどいのは、
2010年代半ばぐらいからキラキラしたゆるふわメディアが「イケてるトレンド!」ぐらいのバカ丸出しテンションでフェミニズムを商業的ブームに乗っけ出した頃合い。

いたってコンサバで自分以外の女が大っ嫌いな根性腐った女が一斉に「即席フェミニスト」になって、フェミニズム警察をおっぱじめた。

こいつら「即席フェミニスト(本性は保守的ミソジニスト)」はまあひどかった。
それまでも様々にオタクの「道徳警察」「学級会ごっこ」による醜いつぶしあいは頻発してたが、一応は「他ジャンルには口出ししない」程度の弁えはあったもんだった。
ところが「偉い学者先生が唱えてるフェミニズムよ〜〜!(権威主義)ほ〜らこんな美人の女優さんも支持してるの〜〜!(ルッキズム)」ってな錦の御旗があるもんだから、とうとう棲み分けの線引きを乗り越えて「戦争」と呼んでいい状態にまでしてしまった。

こいつらは本当に「欠陥ご意見」の群れだった。

「なにやらもっともらしい典拠を挙げているが、10年程度議論の積み上げを追ってるだけの自分が聞いてても、本当に典拠としてあげてる論文や書籍の主旨を正しく理解してると思えないんだが?」とか。
「専門知識を要する判断に対して、道徳と嫌悪感をぶつけたら"正義"になれるという独自ルールで論破遊びしてないか?」とか。

私も温厚な方なので、最初の数年は誰かしらのRTやおすすめアルゴリズムによって流れてくる「バカのご意見番きどり」さんをスルーしていたんだが、バカは放っておくと調子乗るので次第にTLに現れるいつもの「バカのご意見番きどり」さんがデイリーで現れ出した。

さすがに「いいかげんにしろよ」と思って、いたってまともな社会人を相手にするつもりで異論を挟んで会話してしまった。
これが本当に良くなかった。

この手のイワシの群れ以下でパニック起こして一斉に「お気持ち」発信する人間、ためしに話しかけてみると「論点のすり替え」「こちらから出た都合の悪い質疑はすべて読めなかったフリ」しかできない。

それでも根気強く相手の矛盾や偏見を指摘し続けると、バカ相手でも対話が成立したかのような反応を示してくるのだが、バカなので翌日にはまたスタート地点にもどってまた「ご意見番きどり」をはじめる。

いまとなってはTwitterで人狼やったら一発でこの手の「狂人」の判別がつくようになった。まじで要らん技能。
(ちなみに、比喩では無く実際にゲームをした場合でも、「自分を理論的であると見せかけようとしている人間」は基本同じ手法をとるようで、なまじっか人狼をやり慣れてる奴程すぐ吊るせる)

「お気持ち」とうっかり対話したり間違いを指摘してると「正論」の人と見做される

本当にひどい話だと思うんだが、
こういう「お気持ち」を「ご意見」と勘違いしてるバカとなんとか会話する努力をしたり、デマやパニックの拡散だけでもどうにか緩和しようと(今現在でいうところの)コミュニティノートみたいな真似をしていたら、
今度はこっちが"常に「正論」言ってる人"だと周囲に認識され出す。
もうおしまいだよ。

こういう不健全なアカウントの伸び方した人でもないと知らんだろうけど、
根拠を提示したりアンフェアな物言いを極力しないように気を配って「欠陥ご意見」「お気持ち」と対話してたら、簡単に1万フォロワーに到達する。

フォロワー1万人超えたら人間いよいよ終わりだとおもってたから、定期的に大規模ブロックして減らしてたが、それでも増える。
むしろかつて気を遣って多大なストレスを受けた「うっすらした交友関係」を断ちたくてやってることなのに、フォロワー増えてどうすんだと思った。

それで怖くなって「こんなどこの誰ともわからん人間の発信を信用するな。あっちにけ」って言ってもいいねが2桁はつく。
「振り」じゃないしかまってちゃんで言ってるわけじゃないから本当にもっとまともなアカウントの方にいってくれ。心配になるわ。

根拠も提示するしフェアネスにも気を使って喋るが、それでも私はずっと「お気持ち」に「これはお気持ちですと書いたラベル」つけて出してるだけのつもりだった。
「これが"正論"に見えるんなら病院行け」ぐらいのことも繰り返し言ってた。

このぐらい予防線はってなきゃ「怖い」のが普通だ。
「真に人に刺さる"お気持ち"」を発信してしまえば、発信者が意図しなくても勝手に狂信的なフォロワーは増えるし、どこの誰か知らん人も1万人ついてくるんだぞ?
逆にお気持ち発信しててもまだそうなってない人は、幾分か運がいいからすぐ引き返せ。

自分より優れた人たちから過大評価されて苦しむ

一番頭を抱えたのは、自分でも自分の素行の悪さを自覚してるのに、
私から見て「私よりもずっと高度な専門分野を持ってる賢くて穏やかな人」が定期的に新たに繋がってくること。
これで「絶対自分は内心笑われてるだろ」という自己卑下に襲われないやつはいない。

挙げ句の果てには分不相応にも「教育者代表」みたいな感じで、ほかの有名人などと一緒に地方議員がある人に贈る花輪に名前を記載していいかと頼まれたりもした。
分不相応ですとことわりゃ良かったと、あとから並んでる名前をみて冷や汗かいた。

おそらく"日本ではこの道の第一人者"と言って良いだろう人と並んで発言するような場面が発生したこともあったが、私がやれることなんてのは自分の知ってることを怖気付かずに語ることだけなので、まあ恥ずかしかった。

そうやって自分より賢そうな人に囲まれてると、慢性的に自信喪失したり逆にうぬぼれそうになるのを堪えたりの繰り返しで精神状態はまあまあ良くない。
ずっとなんとなく肩身の狭い思いをすることになる。

もしお気持ち発信してても「自分は周りで一番賢いよね!」って思えてる人は、相当に運がいい。悪いこと言わんから今すぐ引き返せ。

もしお気持ち発信つづけていても「まわりは自分よりバカ」と思えるんだとしたら

ここまで話してきた通り、「お気持ち発信」をしていただけのつもりでもアホほどインプレッションを稼いでしまうし、周りを妙に優秀な人たちに囲まれてしまうものなのだ。

ましてや「ご意見番」の仕事が本当にできていたとしたら、もっと重責を追う立場にまで持ち上げられるのがSNS時代の怖いところ。

「まわりは自分よりバカだから、自分の肩身を狭くさせたりしない」と心底から思えるなら、それは相当に録でもない「欠陥ご意見」ばっかり言ってるからじゃないかな。

あるいは、自分の意思で見下してるつもりで、周囲から「見下させてもらってる」んじゃない?

「周囲を見下してコントロールしてるつもり」のインフルエンサーもたくさん見てきたけど、
そういう人らは総じて自分で「神輿に乗ってる」んじゃなくて「乗せられてる」のがわかってないだけだった。

これは一番悲惨な状態だ。

「神輿に乗せられた」人間には主体がない。
下で担ぎあげてる人間たちが主体のはずだが、
こいつらも所詮「付和雷同」を「絆」と呼び変えてなんとか「共通の意思」っぽいものを作り上げてるだけだから、
ほんの気まぐれですぐ神輿を放り投げる。
担ぎあげてる人間たちが一斉に手を引いた為に高いところから落とされ、目も当てられないことになった神輿も見たことがある。

だが、神輿が壊れるのに実際に落下する必要はない。

高いところから少し落ちかけたり揺らいだりするだけで、神輿に乗せられたやつはじわじわ精神的に壊れてく。

そういうのを遠巻きに見てきた。

高みの景色が見えて気持ちが良いのなんて実際ほんの一瞬だけ。
自分で主体的に神輿に乗ったわけじゃないし、神輿に乗るだけの資質もなかった人間は、周りの人間たちのご都合で哀れにもずーっと心を揺さぶられ続ける。挙句要らなくなったらお焚き上げだ。

かわいそうにな。
それ神輿じゃなくて、ウィッカーマンなんだよ。


まあネットに飛び出した時点で、速度の違いこそあれ人間は破滅のはじまりだ。
せいぜいみなさん腹括ってください。

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