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幼児における心肺蘇生教育の必要性

 日本応急手当普及員協議会は、2023年7月4日(火)より発足1周年記念特別連載【救命救急】を不定期配信することに致しました。本協議会のウラガワ(裏側)や会員のヒトガラ(人柄)まで、協議会活動の全てを発信する特別連載として、1周年の軌跡を追いました。(記事執筆:JFAIC広報局)

 記念すべきVol.1は、日本応急手当普及員協議会創設者の1人で代表理事/応急手当普及員/高校3年生の芹澤零音(せりざわれおん)さんです。

(ここからは本人執筆記事となります)

■ 心肺蘇生を幼児教育に!? - その理由とは?

 noteをご覧の皆さん。こんにちは。日本応急手当普及員協議会代表理事/明星高等学校3年の芹澤零音(せりざわれおん)と申します。

 私は今、東京消防庁認定応急手当普及員として、自分と同世代、さらには自分よりも年下の方へ、心肺蘇生やAEDに触れてもらうことによって、体験から応急手当重要性を感じてもらおうと、様々な方法でBLS教育を実践しています。

 実践方法は様々で、イベントにゲリラ出展(主催者側とはもちろん連携済み)して、突如現れたマネキンとAEDデモ機に触れてもらい、『心肺蘇生体験』をしてもらう体感型心肺蘇生教育やクイズなどを用いたスタンプラリーを実施するなど、楽しみながら学べる心肺蘇生教育を行ったりしています。

 なぜ幼児教育????


 幼児教育の強みは、理解力・創造力・思考力・判断力・記憶力・表現力・集中力などを養う「前頭前野」が発達段階にあることにあります。幼少期の頃に体験したことのうち、特に印象に残っていることは、大人になった今でも、覚えていることは少なくないですよね。0歳から5歳前後の幼児さんの過半数は、心肺蘇生用マネキンを見て、最初は泣き叫びます。しかし、次第に見慣れていくのか、心肺蘇生用マネキンに近づいていくようになり、全く泣かなくなるのです。

 私は、この心肺蘇生用マネキンに対する第一印象が頭に残り、幼少期における心肺蘇生体験がリンクすることによって、一連の流れを体が覚えようとすることに繋がると考えています。

 こうした、幼児教育における心肺蘇生教育が、これからの救命率向上に寄与すると考え、各種研究を進めているところです。

■ 学校教育でのCPR指導の現状

 文部科学省による学習指導要項では、中学保健体育のカリキュラムより、AEDの使用方法を含む心肺蘇生が盛り込まれています。高等保健体育では、身近な応急手当として、普通救命講習にて扱う気道異物除去や止血法についても学べるカリキュラムが構成されています。

 しかしながら、幼児教育及び初等教育(小学校)では、心肺蘇生について扱うことは想定されておらず、意識の高い学校が独自で、総務省消防庁が定める救命入門コースを実施する例がある程度です。

 あくまで私の考えですが、幼児教育のうちから心肺蘇生についてしっかりと学んでいれば、心停止傷病者発生時に躊躇うことなく、心肺蘇生を行うことができるようになると考えています。

■ 私が目指す目標は…?

 私が目指す最大の目標は、初等教育の学習指導要項に心肺蘇生教育を盛り込むことを掲げています。幼児教育については、各幼稚園や保育園に委ねられている部分が多く、幼児心肺蘇生教育を普及していくためには、時間がかかることが想定されることから、初等教育での普及と足並みを合わせる形で普及していけたらと思っています。そのために、幼児教育/初等教育での心肺蘇生教育における効果を研究し、より効果的に実施できる環境づくりも行っていく予定です。

 また、AEDの普及が途上段階であることから、急速的なAEDの普及及びAEDを使用できる人を増やすための講習を若者がより受けやすい環境で実施していくことも目標としています。

■ イベント初出展から学んだこと

 2023年3月にイベント初出展を迎えた「日本応急手当普及員協議会」は、心肺蘇生体験をより気軽に何度もできることを目指し、企業様のご協力をいただき実現致しました。当初は、大人の方をターゲットに体験を促していくつもりでしたが、子連れの方が立ち寄ることがほとんどで、その場で得られる効果も様々でした。思ったよりも真剣に取り組むお子さまの姿をみて、幼児教育での心肺蘇生教育の必要性を実感したところです。

 今回のイベントを通じて、得られたデータや保護者様のご感想を分析し、次のイベントに繋げてまいります。2023年9月及び2024年3月にも同様のイベント(大規模)を開催する予定です。本協議会での研究を基に、行政や政府へ心肺蘇生教育の必要性について、しっかりとアプローチをしていく所存です。

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記事執筆:日本応急手当普及員協議会広報局
執筆協力:高校生新聞社編集部(写真提供)

◆ 高校生新聞オンライン版に掲載されました ◆


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