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誰も予想しなかったユーロ2004・ギリシャ代表の優勝から学んだこと


“番狂わせ”は文字通り、観るものを熱狂させる。

人間の中に組み込まれた性なのか、強者が弱者に“喰われる”瞬間というものは、なぜか見ていて爽快感があるものだ。そして何より人々はあらゆる勝負事でそれを期待している気がする。

スポーツでは特にそれは顕著で、記憶に新しいものだと2015年のラグビーW杯だろう。先日、欧州のW杯予選でアイルランドがルクセンブルクに0-1で敗戦するということがあった。毎年、天皇杯では各都道府県の代表がJクラブと戦う中で大学生やJFLのチームがJ1のチームを倒すことも比較的珍しいことではない。いわゆる「ジャイアントキリング」だ

思うにサッカーではけっこうこういった出来事が起こりやすい。

一方、バスケではほぼジャイアントキリングは起こらないらしい。能力差を戦術で埋めることは難しいらようで、Bリーグでも強烈な外国人を2人招き入れればそこそこ勝利は計算しやすいと聞いた。1人あたりのアクチュアルプレータイムが長いという点もある。

サッカーは11人vs11人という人数で、スーパーな選手が1人いたとしてもやりかた次第ではその選手に仕事をさせないことは可能だ。極端な話、常時2人マークをつけることもできる。5人のバスケで1人に対して2人が付けばそれは大きなリスクとなる。そして何より、手ではなく足を使うので、思い通りのプレーが遂行される確率は手を扱うスポーツと比べて限りなく低い。

スコアレスドローは一般的だし、他の球技と比べても1点の重みが非常に大きい。「サッカーはミスのスポーツ」なんて言われることも。ゆえに強者から言うところの「取りこぼし」は多く発生する。

ただ、大抵それは一度きりで終わる。複数回その番狂わせを起こして頂点まで上り詰めることはあまりない。去年、大学の全国大会である #atarimaeni cupを制したのが神奈川県一部の東海大だったが、上位カテゴリに属するチームを倒して王者となった。

前述の通りかなりのレアケースなのだが、既視感を覚え、すぐに答えが出た。EURO 2004のギリシャ代表だ。


当時自分は中学3年で、海外サッカーにハマりにハマっていた。その4年前のEURO2000はなんとなく見ていたので決勝くらいしか記憶にない。しかし、初めて海外サッカーを本格的に見出してから初の欧州各国が覇権を争う姿をほぼ毎試合見たのがこの大会だった。

この大会はポルトガル開催だったのだが、彼らは02年W杯でグループリーグ敗退となった悔しさを自国開催のこの大会で晴らそうとかなりモチベーションが高かった。しかし、開幕戦で伏兵のギリシャに敗戦を喫する。グループリーグ初戦で黒星をつけたチームは基本的に敗退確率が高まるのだが、その後ポルトガルは盛り返して決勝まで進んだ。

そして、その相手はなんとギリシャだった。過去の事例を調べたわけではないので断言できないが、開幕戦と決勝戦が同じカードになった大会はほとんどないのではないのだろうか。

結果はギリシャが虎の子の1点を守り切って頂点に輝いた。ポルトガルにとっては地獄を見たと言っても大袈裟ではない。

ギリシャが示したもの

この大会のギリシャのサッカーはお世辞にも面白いものとは言えなかった。守ってカウンター、そしてセットプレーから中央で長身FWのハリステアスに合わせるという形一辺倒だった。

ただ、その戦いが全てにおいてハマり、フランス、チェコ、ポルトガルと強豪国を倒したのだ。

この大会の後、ハリステアスをはじめとした中心選手は名を挙げてステップアップを果たして行った。彼らはその後らうまくいかなったが、この一大会で残した結果で未来を切り開いたのだ。

当時14歳の自分がこれを見て感じたことは明確だった。

「経過や内容も大事だが、結果を示し続けることが未来の選択肢を増やす」

ということだ。

もう16年も前のことだが、これは自分の仕事感に大きな影響を与えてくれた。当たり前だが、成果と結果を出し続けることが新たなチャンスを呼ぶのだ、と。

そのマインドは今でも強く自分の中にある。

そう言う意味では、この大会のギリシャには感謝をしたいと思う。


おまけ

ちなみにこの大会は印象的なゴールや試合が本当に多かった。イングランドvsフランスでは終了間際のジダンの二発を見てフランス優勝を信じてやまなかったし、イングランドvsポルトガルでルイコスタが決めた延長戦のゴールは脳裏に焼き付いている。

ただ、それを倒したのがギリシャ。ドリームクラッシャーの名に相応しかった。







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