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吾輩は猫である

 有名な作家の作品名にそんなのがあったわね。
猫にはお墓詣りの習慣なんてないから、人間たちがやっていることはとても不思議だわ。人間以外の生き物たちは、自分の生を全うするだけで自分の先祖とか子孫のことなんて考えもしない。室町時代から続いた由緒ある家柄とかいったって、たかが何百年のこと。私の先祖は縄文から続いているという人間に出会ったことないわ。私たち家猫も人が定住した頃からしか記録がない。犬と猫、最初に人間のそばにいたのはどっちなのかしら?
 あら、失礼しました。元大沢集落の住人は故郷を離れても律儀にお彼岸やお盆には必ず故人の好物を携え、花や線香を手向けにくるからつい、哲学者になって語ってしまったわ。でも、本当に人間のやることは猫には理解できないわ、コホン!
 本題は、ハナの父親が新しい住人候補を、わざわざお彼岸の中日に連れてきたことなの。多くの元住人が帰ってくる日を選んで内見させたこと。しかも猫2匹に犬まで来るなんて(>_<)でも、集落のことを考えたら一匹は番犬代わりにいた方が良いのかも。犬種によっては仲良くなれるかも知れないsし。
ハナは戸惑っていたけど、ハナにとっても心強い味方になってくれる人たち。なにより、実は奥さんの先祖はこの集落にゆかりのある人なのよ。
 セイばあちゃんが最後の住人になった時、トラちゃんに相談したの。かつて集落であった悲しい出来事をきっかけに離れていった子孫に来てもらい、新たな町作りをしてもらいたい。大きな災害だったら、語り継ぐ人は多いけど小さな村のもっと小さな集落で起きた災害なんて、語り継ぐ人もなく消えていく。でも、災害に大小なんてあるかしら。痛みに2番が無いように、受けた悲しみに2番はないと思うわ。私も生まれたばかりの子猫を、カラスに襲われ失った悲しみは未だに、ガラスの破片のように心に刺さっているもの
 新たな住人はきっとハナの強い味方になってくれる。猫には人には分からない能力がありますから。これでまた駒が一つ進んだわね、次の一手を楽しみにしていてね。

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