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旧田中邸のDIY

 非電化の阿部さんと学生たちは、旧田中邸の構造は残しながら解体工事をしている。基本、不動産会社は家の売り買いはするがDIYは買った人がやること。父に言われ物件の紹介はしたが、こんな廃屋のような家に住む人が現れるとは正直、思っていなかった。阿部さんたちは慣れた手つきで、次々と部屋の壁を壊していく。昔の家は本当に「土・砂・藁」で出来ているんだ。重機で解体しているのは見たことがあるけど、人の手だけでもやれるんだ。
佐藤さん家の子どもたちがお昼寝したので、旧田中邸が気になり来てみたがもうもうと上がる土煙に近づく勇気はなかった。春の日差しの中に埃がキラキラと光っている。この家はどんな風に生まれ変わるんだろう?
 蕾が膨らみかけた桜の下に4匹の猫がいる。三毛猫を取り囲む様は、さながら会議しているように見える。木漏れ日を受けた三毛猫は、三匹の猫を従えた会社の社長の風格を纏っていた。やっぱり、三毛猫不動産の代表はちーで良かったんだね。阿部さん家の猫はDIYが終わってから連れてくるのだそう。人と猫が楽しく暮らせる集落。それはもう、実現しているよねちー。

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