現ナマをつけた売上
社長の右腕、わたなべです。
本日のテーマは「原価計算の仕組みを知らずに赤字になった社長」の物語です。
銀行の紹介で相談を受けたら
かつて私に相談されたK社長は、製品1個当たりの原価が知りたかったのです。その理由は、つくった製品が儲かっているのかどうかわからないままで、モヤモヤした気持ちでいたからです。
しかし、その時にすでに導入されたシステムが原価計算に適していない「弥生販売」だったのです。原価計算をしたいのであればそれに適したシステムを導入すべきだったのです。
K社長のような社長は結構います。
システム業者に良いように言い包められて、このシステムを入れれば製品1個当たりの原価がわかるようになるんだと錯覚してしまうのです。
大量生産の陰に隠れて、一生懸命やっても儲からないのは何故か?
疑問に思う社長は多いのではないでしょうか。
特に製造業の場合、A製品で儲かっていなくてもB製品で儲かればいいと考えがちです。
しかし、多様化で少量の生産が好まれる今の時代、そういう考えは通用しなくなってきているのです。中小企業の社長の多くは、その幻想から抜け出さないといけないのです。
自社で作っている製品がいくらなの?
中小企業の社長の9割が自社で作っている製品の原価がいくらなのかわからないまま販売しているのです。
イメージとしては、現生をつけて売上ているのです。
では、どうすれば原価計算の仕組みがわかるようになるのでしょうか?
具体的なステップは3つです。
ステップ1:製品に直接かかるコストは直課する
ステップ2:共通にかかるコストが適切な基準で按分する
ステップ3:原価を正確に求めようとしない
ステップごとに見ていきましょう!
ステップ1:製品に直接かかるコストは直課する
この考え方は、私が小売業にいた時にイトーヨーカ堂にいた方に教えていただきました。
それは「受益者負担」です。
利益を受けるものがコストを負担する考え方です。
あるエピソードがあります。
A社には2つの事業がありました。仮にB事業とC事業としましょう。
B事業は電気代は共通してかかる経費なので本部の負担であると言い張り、B事業では利益がでていると主張するのです。
C事業は電気代をある基準で按分して負担することをのんでくれていたのです。何かを製造するのに電気はかかるのにそれを負担せずに利益が出ていると主張するのに非常に違和感を覚えたのです。
この受益者負担は、製造業においても同じなのです。
本質はアメーバ経営と同じなのです。
ステップ2:共通にかかるコストが適切な基準で按分する
基準として用いられるのが、
売上基準
粗利基準
人員基準
面積基準
です。
これは業種によって異なることが多いようです。
なるべく実態に即した基準を用いて按分するのです。
私自身としては、粗利基準がベストではないかと思います。
売上基準だと、いろいろな要素が絡み合って適切な判断ができかねないためです。
粗利基準ですと、売上高から仕入高を差し引いた粗利益を基準にしますので、仕入という社内の活動が考慮されて評価できるからです。
棚からぼたもちだと社員のやる気も半減します。
公平で適切な評価をする上でも按分基準は大事なのです。
ステップ3:原価を正確に求めようとしない
これが意外にも原価計算のポイントなのです。
正確に求めようとして原価計算が進まないことが問題です。
だって、正確に求めたところで業績がよくなるわけではないからです。
大体のイメージがあっていれば良いのです。
私の経験上、結果的にそれで合っている場合が多い気がします。
正確さを求めても行動しなければ数字は良くならないのです。
数字は大体で今の行動を少しでも変えて行動することの方が結果につながるのです。
今回の宿題
この記事を読まれた方で原価計算の仕組みがわかりたい方に宿題です。
自社の変動損益の形式で粗利益まで求めるのが宿題です。
ワークシートを提出していただいた方は、私が作成したT勘定の原価計算のテンプレートを差し上げます。
最後にまとめますと
原価計算を行うことで、儲かっているかいないかわかり、わかることで行動が変わるのです。現金をつけてまで売上を上げるボランティアの社長は自滅するまでわからないのです。
正確に原価を求めたとしても、大体の結果を使って判断し、行動を変えなければ意味がないのです。算出された原価をもとに今後どう行動するのかの方が重要なのです。
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