なぜ今、税金が上がるのか
物価が上がっていて家計を逼迫しているのにも関わらず、政府は減税をしない。ガソリンのトリガー条項も発動しない。
そして、減税をしないどころか、増税を試みている。インボイス制度なども始まる。消費税の増税も近そうだ。
さて、なぜ今物価高の中、政府は増税を進めるだろうか。
結論から言えば、物価高というインフレ傾向だからこそ、増税をしなければならないからだ。(と政府のブレインの経済学者は考えているはず)
物価が上がるというのは、円の価値が下がっていることを意味する。
パン=100円 → パン=200円
となった場合。物価(パン)が二倍上がったとも言えるが、円の価値が二分の一に下がったとも言える。
円の価値が下がった場合、政府は原則としては円の流通量を減らさなければならない。
なぜなら
・量が多いものの価値は下がる
・量の少ないものの価値は上がる
と認識するホモ・サピエンスの習性があるからだ。
これは貨幣にも適応されて、円の流通量が多ければ円の価値は下がる(沢山あるなら大したものじゃない!)し、円の流通量が減れば円の価値は上がる(ちょっとしかないということは希少価値があるということだ!)。
そもそもの物価高の原因はロシア・ウクライナ戦争や原油高など多数の要因によって引き起こされた(物の希少性が上がった故の物価上昇)。物価が上がるインフレ傾向の中では、相対的に円の価値は下がっていると言える。そんな中、円の流通量を増やせば、さらに円の価値が加速度的に下がってしまい、過度なインフレになりかねない。
物価が上がっているから増税するというのは、直観的には理解できない政策だが、円の価値の暴落を防ぐためという理屈が理解できないわけでもない。
ただ、円の流通量を減らす方法が、増税だけではないのは明白だ。国が社会に供給する円の量を減らす選択だってある。
そもそも政府は金融緩和で、長い間大量の円を社会へ供給してきた。直近では、コロナ対策の名のもとに様々な業界への補償と称して湯水のごとく補助金を与えた。もっと根深いものは、高齢化社会に伴う社会福祉のために、恒常的かつ雪だるま式に政府はお金を刷っている。
また、日本は長らくデフレだったため、物の価値より円の価値が高い状態が続いてきた。消費者目線ではいいが、企業視点では収益が増えず、新規事業や開発に回す資金が調達できない状況だったため「失われた〇〇年」と揶揄されてきた。
日本政府はデフレ脱却のために、ずっと円の価値を下げようとし、大量の円を刷って市場へ流してきた経緯がある。(それにも関わらず円の価値は下がらず、物価安が続いていた)
蛇口(政府)から出る水(円)を減らせたならばいいが、一度公金によって潤った業界を潰すようなことは、政府はなかなかできない。それは癒着のせいでもあるし、困った国民を助けるのが政府の役目という側面もある。
よく
「税金を沢山払っているのに、還元されない」
と不満を言う者があるが、取った税金をそのままお納めた人へ還元するならそもそも徴収する意味がない。
税金とは、払った人が損をするのは当たり前なのだ。税金を払えないような人を支援する資金になるのだから。(厳密に言えば、市場に流通できる円の量には限度があるので、沢山持つ人の円の量を減らして、持たなかった人が持つ円の量を増やす)
もちろん、煩雑で無駄で不正な徴税と分配が起きているのは明らかだが、とにかく、今の日本社会を見るに、蛇口から出る水の量を減らすのは難しそうだ。
ということで、今の日本社会には大量の円が出回っているのにも関わらず、政府は市場に流す円の量を減らせそうにない。人によっては、現在、円の流通量が多すぎるため、何かのきっかけで円の価値が暴落してハイパーインフレ気味になる危険性を指摘している。
政府もこの状況を知っているので、物価高に転じた時に、やっと長年のデフレからの脱却を果たせたと思いつつ
「いや、待てよ、今まで円を刷りすぎていたから、デフレ脱却からそのまま勢いが止まらず、すさまじいインフレになる可能性だってある」
と危惧している。
デフレ脱却して欲しいが、急激なインフレも避けなければならない。であるならば、今、物価高に転じた時期に、減税をして流通している円の吸い上げに歯止めをかけてはいけないし、むしろ増税して円の吸い上げを強化して、円の価値の下げ幅が緩やかになるようにしなければならない。
物価高だからこそ、政府は増税をして円の流通量を減らし、円の価値の暴落を防がなければならないのだ。
ちなみに、私は週15時間労働を勝手に実行しているため、どうしても貯金をちょっとずつ切り崩す生活になっているので、個人的には、物価高と増税は、きつい。
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