一杯のお茶から・・・。

7月のお寺のお経回りも無事、明日で一区切りとなりました。

今年は新型コロナウィルスの影響もあって、回る件数が少なかったり、8月のお経回りに伺っているお寺でも、檀家さんに確認したところ回って欲しいという希望が少なかったので、今年はやらないことにした、という連絡もあり、残念ながら今年はいつもより静かに過ごすことになりそうです。


毎年、お経回りをしていて、気付いたことがありました。

炎天下、原付バイクで一軒一軒回る場合もあって、朝から夕方まで、多い時で40軒ほど、ずっと回ることがあります。

その場合、町内に何軒も檀家さんが住んでいるので、軒数は多いけれども、移動距離はそれほどでもありません。

毎年暑いので、汗ダクになりながら回るのですが、お宅でお経をあげて終わった後には麦茶などの冷たい飲み物を出して下さるお宅が多く、出して下さったお茶は、例外なく飲み干しているのですが、それでも、お経回りの最中、トイレに行くことがありません。

行っても一回くらい。

何故かというと、全部汗で体から出てしまうからです。
だから、お経が終わった後、お茶などを出していただくと、間違いなく全部飲み干すことになりますが、水分はそこで補給できても、物足りなくなって、そのうち塩が舐めたくなってくるほどです。

搾れるほど汗をかいていると、いくら飲み物を飲んでも、汗で体外に水分が出ていく事に気が付いたのが一つ。

こうしてお宅にお邪魔してお経をあげていると、皆さんに支えて頂いていることを実感します。皆さん温かく迎え入れて下さって、お経が済めばお茶やお菓子でおもてなし下さって、本当に有り難いことだと思います。

檀家さん同士も顔は知らなくても、お経回りをしている我々坊さんを介して、お互いにその存在を身近にすることがあり、関わりあっていることに気づいて頂くことがあります。

また、こちらもお経回りで頂く一杯のお茶から、また更に支えて頂いていることを深く感じることがあります。

檀家さんを回っていると、大体皆さんは、暑い中来てくれたお坊さんに、感謝と労いの気持ちを込めてお茶を出して下さいますが、それを頂いた私たちは、次のお宅に伺ったとき、前のお宅で頂いたお茶のおかげで、潤ったのどから大きな声で、お経をお唱えすることが出来る。

檀家さんは、今日来てくれた目の前のお坊さんに、とお茶を出してくれますが、実はそれは、目の前のお坊さんだけでなく、その次のお宅の方々に対しても、功徳を積んでいることになります。

気づいてはいないけれど、お互いに関わり有って、支えあっていることになります。

そうやって考えてみると、自分が気づかないだけで、人様の役に立っていることって、かなりあることだと思います。

意識してやるのではなく、目の前の人に気持ちを向けて、そのひとが喜んでくれると嬉しい、

そんな気持ちでいることから、小さな、それでも暖かな気持ちが通い合っていく。

お経が終わった後頂く一杯のお茶から、気が付かせてもらいました。


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