Jackie誌クイーン特集(4)フレディ(1976)
Jackie独占クイーン 最終回 フレディ・マーキュリー
The Queen Of Arts! 芸術のクイーン!
マーキュリーはフレディには完璧な名前です。すさまじく速いペースで生きていて、ご機嫌は水銀 (※マーキュリー mercury) のように幸せの頂点から絶望のどん底までころころ変わる。彼は一度会っただけでも一瞬で記憶に残るタイプの人です!
フレディ自身は、全てはスタイルにかかっていると言います。
「それが全てのキーワードだよ」と彼は言いました。「人は常に完璧なスタイルセンスを持っていなければ」
スタイル。フレディにはいつもありました。お金。最近までありませんでした。自分が望む上質な素材の洋服代のため、以前はケンジントンマーケットのストール経営を手伝っていました。カウンターの前ではなく後ろにいない限り (= 店員でなければ ) 、シルクやサテン、毛皮はお安くはありません。なのでフレディはそちらへ行ったわけです。
彼はストールで得た少々の利益を、マーキュリーライフスタイルに欠かせないちょっとしたぜいたくに使いました ー 外食や、運転を人に任せることなどです!
誰にとっても幸運なことにクイーンは頂点を極めました。「ボヘミアン・ラプソディ」はフレディの作曲なので、彼は今、何にでも好きなだけ使う余裕があります。
あのシングルが5週間1位になった後、フレディは思い切って自分専用のダイムラー車を買いに行きました。この一年、彼をどこにでも連れて行っているお抱え運転手のデレクに管理をしてもらいます。
フレディがアメリカにいる今この時、その左ハンドル車は (※イギリスの車は右ハンドル) 完全リフォームの最中です。まばゆい白に塗られ、ちょっとしたものがいくつか追加で取り付けられました ー 例えばカクテルキャビネット、新しい内張り、ステレオ、そして冷蔵庫です!
でもフレディはそれだけの人ではありません。たとえば、彼はクイーンでもっとも美的感覚の鋭いメンバーです。彼は文字通りバンドのイメージを考え出しました。 白と黒の衣装、ステージでの動き、クレバーな照明や花火の使用。
しかし、光と色彩の中にいてもフレディには別の面があります ー よりダークでもっと真面目な性格で、神経質な時がほとんどです。スタジオでの長時間の仕事やツアーでは時に少々短気になりがちで、うまくいかないことがあるとそれをみんなにきっちり知らせますー 大声で!
英国ツアーでのこと、毎晩のライブの最後にフレディが投げるバラの花を買うのを誰も覚えていなかったことに、スタッフが開演直前に気づきました。フレディを激怒させるリスクを冒すまいと彼らは舞台裏で緊急会議を開き、数分後、警察の車がサイレンを鳴らして会場から地元の墓地へ向かったのです! 彼らは後ろめたい思いで忍び込んで探せる限りで一番新鮮なバラの束を取り、その略奪品とともに急いで戻りました。
幸運にも、フレディは何があったのか後になるまで気づきませんでした!
同じツアーの幾晩か後、熱心すぎるファンがフレディの美しいキツネのファージャケットからひと握りの毛皮をむしり取ってしまいました。
「あなた (Dear) 、マジ?」彼は叫びました。「それやる?!」
でも、フレディの服は個性的です。実は英国の住民でジーンズを持っていないごく少数のうちのひとりなのです! そんなものは死んでも着ないと彼は言います。ズボンはいつもサテン、シャツはいつもシルク、上着はたいてい毛皮かベルベットです。
対照的に、西ロンドンのフレディのフラットは やや陰鬱な場所です。家具は濃い色、分厚いベルベットのカーテンで覆われ、フレディのがらくたでいっぱい。フレディ自身のようにごちゃごちゃで芸術的、そしてとてもスタイリッシュです。
家の主導権は彼の2匹の猫、黒白のトムと、大きくてふわふわ、茶色いジェリーが握っています。フレディの家で腰を下ろすならまず椅子を見て、猫がもうそこに座っていないか確認するのが最善ですよ!
でもフレディはその家にずっといるつもりはありません。もうずいぶん長い間、新しい家を探しています。
「かなり広いところじゃなきゃだめなんだ。僕のグランドピアノに充分なだけのね。今のフラットではピアノが部屋を支配している感じで。だから、もう少し大きくてピアノがゆったり置けるどこかにしたい」
美しく辛抱強いフレディのガールフレンドのメアリーがしばらくの間探していて、何度かは候補物件を見つけましたが、彼はいつも何か欠点を見つけ、家探しは続くのです。
一番最近メアリーが探してきた家は、売り手がフレディが誰かに気づいて即値段をつり上げた時に断念せざるを得ませんでした。有名人であることのペナルティのひとつです。
みなさんの予想どおり、フレディはステージでの見た目には細部まで非常にこだわります。彼の素敵なキャットスーツ(ユニタード)は衣装デザイナーのクリッシーが彼にために特別にあつらえたもの。前回のツアーでは彼の名前に合わせて足首に小さな翼のついた2着のスーツを着ました。ご存知ですよね、マーキュリーはギリシャ神話の伝達の神で、足首には飛ぶことを助ける翼がありました。
フレディはまた、衣装とともに黒いマニキュアもしますが、小さな町では入手が簡単ではないこともあります。 前回のツアー中何度か、彼はワードローブ担当者にその町じゅうの薬局を駆け回らせて探させました。リバプールではホテルの親切な客室係が彼女の私物をいくらか貸してくれ、急場を救ってくれました!
爪を塗ることは別として、フレディは実は大変優れたアーチストです。彼はオリジナルのクイーンのクレストをデザインしました。お気に入りのアーチストはリチャード・ダッド、やや陰鬱な前世紀の画家で、多くの作品がテートギャラリー(美術館) にあります。何かインスピレーションが必要な時、しばしばそれらの絵を見て回っているフレディの姿があります。
今のフレディに絵を描く時間はないですが、クイーンのアルバムジャケットや写真、プログラムなどには今もまだとても批判的な目を光らせています。
仕事は別としてもフレディはぜいたくな暮らしを好みます ー ある程度は、ですが。よく外食しますが、食べ物と同じぐらい雰囲気を楽しみます。彼が好きなのはステーキのようにシンプルなもの、白ワインもつけるかもしれません。そして少しずつ食べていることが多いです。あれほどの細さを保てる理由のひとつですね!
クイーンがエルトン・ジョンのマネージャーでもあるジョン・リードと手を組んでから、フレディはエルトンの家に数回お茶に行き、エルトンが好んで行くしゃれたパーティーにも2、3度同行しました。
将来的には落ち着き、結婚したいとフレディは言いますが 、まだ数年はそうならないでしょう。それになぜだか、彼が静かな暮らしに満足するなんて想像できません。そう思いませんか?
ーーーー
(1976年4月)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?