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ファンクラブ会報掲載のロジャーの手紙(1976年秋)


やあみんな、

今回はロジャーだ。話すことはたくさんある。知っているかもしれないけど俺らはしばらく前に次のアルバムに取り掛かった。半分ほど進んだところで、夏の終わりにコンサートを少しやるのもいいんじゃないかと思ったんだ。つまりアルバム制作から少し休みを取るって意味。

またステージでプレイできていい気分だとリハーサルで思ったのは認めなきゃな。そしてそういう気持ちで、プレイハウスシアターでの最初のコンサートに向け俺らはエディンバラに飛んだ。

リハーサル期間でライブの内容にかなりの数の細かな変更を加えたけど、がっつり新しいものは含まれていない。例えば次のアルバムからは2、3曲だけ。その時はまだアルバム作りが半分しか終わっていなくて、自分たち自身、ほとんどの曲がどんな感じに仕上がるのかわからなかったから。でも、素晴らしいオーディエンスのおかげでエディンバラでの2回のライブはとてもうまくいったみたいだった。今これを読んでくれている中にあの場にいた人がいたら感謝、そして楽しんでくれたよう願うよ。この「ミニツアー」、次はカーディフ城での野外ライブだ(ライブ4本でイングランド、スコットランド、ウエールズを周ったことに注目。賢いだろ?)。環境は最高で、俺らはステージとかを飾り立て、花火も準備した。観客がもし退屈するようなことがあっても楽しんでもらえるようにだ。でも、ひとつ準備が無理だったのは天気で、コンサートはモンスーンの中でやったのも同然という結果になったんだ。あの場にいた人全員に、あのひどいコンディションの中最後まで帰らず最高のオーディエンスでいてくれたことにここでお礼を言いたい。スポットライトを通して見えた強い雨がみんなに降る様子や、ステージ前方でフレディが水たまりの中をバシャバシャ進む姿は、消えることなく俺らの記憶に永遠に刻まれると思う。みんながあの場にい続けて最後まで楽しんでくれたことで、このライブは自分たちにとってすごく感動的なものになった。あまりに圧倒されて俺は最後にドラムキットをぶっ壊すしかなかったぐらいだ。俺のローディーのクリスタルはそれで雨と同じぐらい大泣きしていたけどな(真新しいドラムキットだったんだ!)。とにかく、もし君があの場にいたなら俺ら史上最高に勇敢なオーディエンスでいてくれてありがとう。肺炎が治っているといいけど。

次は最後で最大、俺らがずっとやりたかったこと ー ハイドパークでの無料コンサートだ。

多分想像できると思うけど、これほど大規模なイベント開催のための行政当局との交渉はこちらのマネージメント担当者たちには悪夢で、みんなノイローゼの診断書を持っている。でも実現できた。それもとてもうまく。やって来た人の数には圧倒されたね。警察の推定では15万人!!! クイーン史上最多の観客数で、マスコミでさえ感心していたぐらいだ(俺らどこかで間違えたに違いないね!!!)。(※クイーンはマスコミには批判されることが多かったため)

ただ、主に人の多さが原因でこのコンサートには難点もあった。だからここで謝らせてほしい。

1. まともな視界が得られなかった人

2. 視界から他人をどかせようと缶とかを投げたバカのせいで危険な思いをした人

3. ライブの時間が短くなってしまったこと

あまり知られていないけど、こちらが予定していたのは2時間のライブだった。でも1時間半が過ぎたところで警察に止められたんだ。暗い中大勢の人がいるとコントロールが難しいという理由で。彼らの主張もある程度は理解できたけど、最後の方の曲やアンコールができなかったのはとても残念だった。最高に盛り上がったところで俺らがいきなり帰ってしまったと思った人も多かったんじゃないかと思う。

とにかく、もし君がエディンバラ、カーディフ、またはハイドパークに来ていたなら、楽しんでもらえていたらと思ってる - 自分たちは楽しんだよ。

新しいアルバムはすごくいい感じに仕上がりつつある。できるだけ早く、新たな見どころや新曲など盛りだくさんのツアーでみんなとまた会えたらと思っている。テレーズは新しくなったファンクラブの運営で素晴らしい仕事をしているね(※この時期、ファンクラブの体制などが刷新された模様)。

応援ありがとう、それからガソリンとベークドビーンズにも感謝。俺のエンジェルたち、みんな元気で。

Love,

ロジャー・テイラー

追伸。ハイドパークのコンサートはそのうちテレビで放送されるはずだ

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