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クイーンインタビュー(Look Now誌 1975年12月号)

Queen  ”We’ve never gone in for gimmicks like driving a bus naked down Oxford Street!"


大成功を収め、今後進むもうとする道も確信している彼ら・・・すべてみなさんのおかげだと言っています!

クイーンがデビューからたった2年半のバンドとは信じ難いです。レコードとコンサート両方で、無名の存在からイギリスで最も興味深くまた成功した呼び物の一組への成長にかかったのはそれだけでした。彼らは今、普通はもっと老舗のバンドだけのものであるような類のファンの支持を得ています。

人気が出たのはなぜでしょう? そうですね、彼らはとても才能があり、とても美しく、とても仕事熱心で、そして自分たちが進む方向にとても自信を持っています。

「最初は地獄だよ」とドラマーのロジャー・テイラーが打ち明けます。「今ロック業界でスタートする人をうらやましいとは思わない。ヒットレコードを出すのはそれほど難しくはないけど、ちゃんとしたファンについてもらうのはずっと大変だ。完全に間違ったイメージでスタートするグループは多いし、それを変えるには何年もかかったりする。でも今はみんな僕たちが何者なのか知っていると思う!」

私はこのバンドをロンドン東部のレコーディングスタジオでなんとかつかまえました。大成功した「シアー・ハート・アタック」に続く4作目のアルバム「オペラ座の夜」制作に彼らが没頭している場所です。

これからはクイーンの時代だとついに批評家たちを納得させたのが「シアー・ハート・アタック」でした!クイーンは自分たちの作品に関しては真の完全主義者で、アルバムのレコーディングは3か月がかりの仕事だと考えています。彼らはとても疲れて空腹そうだったので、私はレコーディングにそれだけの価値があるか尋ねないわけにはいきませんでした。

「もちろんだよ」と彼らはためらいなく答えました。「長時間労働が続いているけど、当分はそうしなきゃならない。ものすごく熱中してしまってやめられないんだ!でも守るべき締め切りがあるのはいいね。でないといいアルバムにしようと何年もかけかねないから!僕たちは細かいところまで本当にこだわる。昔からずっとだ。すごく大変だけど、それを本当に楽しんでもいる」

「オペラ座の夜」には全員とても満足していて、最高の作品だと確信しています。

「人は毎回進歩しないとね」とフレディが説明します。「これまで使ったことのないハーモニーや異なるギターサウンドをたくさん使っている。楽器は全て自分たちで演奏した — ブライアンがハープを弾いた曲だってある — だから時間がかかったんだ」

「今回も思い切ったアルバムだと言える」とロジャーがつけ加えます。「前作よりもっと、だよ。えせオペラみたいのが一曲、スキッフルっぽいのが一曲、それにかなりのヘビーロックをやった。曲作りは分け合った。それは前と同じ」

3か月もの間同じ曲たちに取り組むことで、少々退屈したり生気を失ったりする危険はなかったのでしょうか。

「僕たちは議論好きすぎて、そんなことにはならないよ!」とブライアンがほほ笑みます。「四六時中音楽についてやり合っているけど、それはすごくいいことだと思う。一番クリエイティブな仕事のやり方だ — 自分たちにとっては、だけどね」

この国(※イギリス)ではあまり見かけませんでしたが、今年のクイーンは多忙でした。長期の全米ツアーをこなし、その後日本へ。帰国すると、彼ら自身とても落ち着かないものだったと認めるビジネス上のトラブルがありました。それから曲を書き、リハーサル、新アルバムのレコーディング、そして今月の全英ツアーの準備をしなければならなかったのです。

この1年のイギリスのファンの忠誠心に彼らはとても感動しています。

「だってさ」、ロジャーが説明します。「前回のツアーから1年だし、ヒットシングルとアルバムを出してからもほぼ同じぐらいだ。みんながまだ僕たちを覚えていてくれてびっくりしている」

「でもこれまで以上にたくさんの手紙をもらっているんだよ!それぞれの誕生日には巨大な袋いっぱいに来た。自分たちを覚えてもらっていると知るのは嬉しいものだね」

私は今年本誌が実施した「シアー・ハート・アタック」のコンテストで選ばれた手紙を持参していて、バンドはみなさんのアルバムの感想に興味津々でしたよ! ブライアンのガールフレンドが愛読者なので、彼らは本誌のことをよく知っているのです!(本誌が1点リード!)

自分たちは観客をとても重視しているとブライアンは言います。「ファンは僕たちにとてもよくしてくれる。たくさんのプレゼントを送ってもらうけど、僕たちのすることも本当に理解してくれているようだ。四六時中イメージを追い求めるだけではなくね」

「時には、僕たちの曲を聴いていたら曲がその時の自分の気持ちを映しているようだったと教えてくれる手紙もあって、そういうのは本当に満足感がある。自分たちの書く曲が人々の心を動かしているのを僕たちは分かっている。観客の反応に表れるから。僕たちのライブの雰囲気はいろいろ変化するし、彼らは常にこちらが作り出そうとする雰囲気を意識してくれるようだ。静かな曲には静かに耳を傾け、ロックナンバーでは立ち上がり、曲に合わせて飛び跳ねる」

「ファンのみんなはずっとこちらのしたいようにさせてくれて、本当に感謝している。僕たちは何も一晩中ロックンロールをやらなくてもいい。なんの制約もない。それってすごく大きいことなんだ!」

「最初の頃はいくつかひどいレビューを書かれた」とロジャー。「今はずっといいのをもらえているけどね!もちろん駆け出しの頃の方がそういうのの影響は大きい。けど誰が何を言おうと、僕たちの成功を決定づけたのはレコードを買ったりコンサートに行ったりする人たちだと思っている」

彼らは全員、イギリスでまたツアーに出るのが待ちきれないと言います。「『オペラ座の夜』をどうやってステージでやるかはよくわからない」とフレディは認めます。「でもきっと何か思いつくよ! 僕たちはレコーディングとコンサートは全く別々に没頭する。全然違うものだからね。アルバムは腰を下ろしてじっくり聴くもので、ステージで全く同じを演奏したら退屈なはずだ。観客の前では曲の解釈をかなり変えるというのはよくあることなんだ」

「ツアー生活はいいものだよ。僕はそれを1年に12か月はできないと思うけど!」とつけ加えるブライアン。「今みたいにきちんと組織化されるまでには僕たちはものすごく頑張って戦った。でも今はルーティンがあるので心配しなくていい。ツアー中は生活すべてがステージに立つ2、3時間に捧げられるんだ」

「食事や睡眠を抜くのが簡単すぎるのでスタジオではすごく疲れる。僕たちは仕事に一番いいのは夜の時間帯だと気づいてね。俗世間から少し離れられるし、曲を書こうとする時にはそういう類の隔離が必要なんだよ」

「僕はひと気のない通りを歩くのが好きだ。数匹の猫のほかは誰もいないような時にね!気が散るものがないので、日常のあれこれに没頭してしまうおそれがない」

ミュージシャンでいるにはいかに健康でいなければならないか、ロック業界以外の人は理解していないことがあります。楽でぜいたくな生活を想像する人もいますが、そうでないのは確かですよ! クイーンは過去にいくつか健康問題があり、2度の全米ツアーどちらにも病気でキャンセルせざるを得なかったコンサートがありました。

「疲れ切ってしまうのはツアーが長いからだよ」と彼らは言います。「最初にアメリカに行った時はブライアンがひどい肝炎にかかった。2度目は全員にちょっとしたことがあったし、フレディは1週間声が出なかった。1日に2公演やっていてシンプルに負担が大きすぎたからだ。かなり不健康な生活ではあるけど、今は食事や睡眠にもっと気を付けているから大丈夫だよ!」

間違いなく、クイーンにとってこの1年のハイライトは、イギリスにおけるビートルズやT.レックス、ローラーズといったグループ並みに熱狂的に歓迎された日本への旅でした。

「本当にすごかった」とロジャー。「僕たちは全米ツアーを終えたところで、評判は良かったけどそれは純粋に音楽的なもの。キャーキャー騒がれたりとかはなかった」

「日本へ向かう途中ハワイで短い休暇を取った。日本はきっといいよとみんなに言われたけど、それがどれほどのものか全然分かっていなかったね!到着したら空港には何千もの人がいて、僕たちはこっそり脱出する羽目になった。驚愕したよ。本当に信じられなかった!」

「叫ばれたりするのは楽しかった」とブライアンは認めます。「でもそれがずっとで、ツアー中ホテルの部屋から出られないとなると退屈になると思う」

「でもとても嬉しかったし光栄だった。ああいう反応を経験して、僕たちは自分たちを違う視点で見るようになった。パフォーマーとして違うものを感じ、別の一面を引き出してもらったんだ!」

「ステージでは観客に反応するもので、人々があのように熱狂するのを目にしたことは僕たちに影響した。ステージの僕たちは常にとてもエネルギッシュだったけど、さらに積極的になった。彼らの期待に応えたくなるんだ!」

どこへ行くにも熱心なファンたちにタクシーで追いかけられましたが、フレディ、ブライアン、ジョン、そしてロジャーは観光もかなりできて、可能な限り日本を見て回りました。

「言葉で説明するのは無理だよ。何もかもイギリスとはあまりに違うから」と熱く語るフレディ。「でも、だからこそすごく興味深かったのかもしれない。人々はみなとても礼儀正しくて、生活様式に興味を示すと喜んでくれる。彼らへの賛辞として僕たちは特別に頑張ったことがある。ブライアンは日本の童謡を一曲ギターで弾けるようになり、僕は日本語を少し話したんだ!」

西洋人にとって日本語は学ぶのが容易な言葉ではないので、フレディがとても流ちょうな響きのセンテンスを2つ3つすらすらと話した時は大変感心しました。

「今のは『みなさんこんばんは、日本に来れてとても嬉しいです』という意味だよ」と彼は教えてくれました。信じるしかなかったです!

「こういうことはきっと助けになると思う」と彼は続けます。「オウム返しで覚えたけど、困ったのはその後。僕がぺらぺらに話せると思う人もいたんだよね! あと、今でも日本のファンから手紙をたくさんもらうよ」

クイーンは新アルバムとツアーが彼らの「グラムロック」なイメージをついにきっぱりと打ち砕いてくれることを期待しています。

「それって本当にひどい表現だよ」とロジャーが厳しく言います。「僕たちはオックスフォードストリート(※ロンドンのショッピングストリート)で裸でバスを運転するみたいな宣伝戦略に凝るバンドだったことは一度もない! アルバムを作り、ステージショーをする。したのはそれだけ。こちらサイドには誇大宣伝なんて全くなかったね!」

彼らは、ヒットシングルがそれなしではクイーンを知らなかったであろう多くのファンがその音楽に注目する役割を果たしたのは認めています。しかし、「オペラ座の夜」から「ボヘミアン・ラプソディ」を選んだように、シングル発売はアルバムの中の1曲がふさわしいと思った時のみという方針は今後も変わらないと言います。

自由な時間には何をしているのかと多忙なロックバンドに尋ねるのは少々無意味なものです。もし尋ねても、空虚な笑いと「自由な時間って?」との答えが返ってくるだけですから。

「この業界でたくさん稼ぐのは可能だけど、すごく賢くないとだめだ」と彼らは言います。「自分の全てを捧げて生きなければならないんだ。他に何かするどころか、それを考えるヒマさえないよ。でも自分たちが楽しめることで生計を立てられるのはとてもラッキーだ」

彼らは他の人たちの音楽も好きですが、家にいる時はよく自分たちのものをかけています。

「傲慢に聞こえるのはわかってる」とフレディ。「でも自分を聴くとびっくりするぐらい学べる」

「僕たちは今も昔と同じ人たちから影響を受けている。ジミ・ヘンドリックスとかね。影響といっても、それは僕たちが誰かをコピーするとか、同じようなサウンドにしようとするという意味ではない。芸術性のすごさに感嘆しているだけだよ!」

12月中旬に現在のツアーが終わると、彼らはまた世界を周る旅に出るようです。ビジネス上の問題が解決し、信頼できる人たちに囲まれている今、彼らはずっとハッピーです。

「このアルバムがすごくうまく行った理由は、もうそういう心配がなかったからだと思う!」とほほえむブライアンでした。「ステージにいる時、時に僕は少しの間あらゆることの外側に立ってみようとする。そして、5年前には僕が誰だか知らないし気にもしていない100人の観客の前に立っていたのを思い出す。それはものごとをきちんととらえておくに役立つし、自分は必要とされていると感じさせてもくれるんだ」


JILL ECKERSLEY

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