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リツミ本最速レビュー~「打点と守備力がアップする!麻雀・勝つためのメンゼンドリル」

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リツミサンの「打点と守備力がアップする!麻雀・勝つためのメンゼンドリル」を読みました。
最速でレビューしていきたいと思います。

この本はリツミサンの麻雀戦術本2作目ですね。
前作に比べると分かりやすい内容になっています。
フラットな場況に近い判断も多くなってますし、河が全部見えてるのではなく、限定的な場況が表示されていて考える要素も減りましたし、正解も分かりやすくバシっと書いてくれていますね。
僕は前作の曖昧なかんじの回答も好きだったんですが、これはこれで分かりやすいので読みやすくて良いでしょう。

リツミサンとは

最初にこの本の著者、リツミサンについて触れておきましょう。
リツミサンはアマチュアの強豪雀士です。
ネット麻雀の天鳳ではかなりの古参で、最近Mリーグでも活躍している初代天鳳位の朝倉康心(ASAPIN)などが打っている頃から同時期で活躍していたと思います。
ニコニコ動画が全盛期のころからの配信などもやっていたのでかなり前になりますね。
雀風はネット麻雀では珍しいタイプの面前派で、副露率は.220前後
Mリーグなどを基準に考えると、.220程度というのはあまり低い気がしないですが、ネット麻雀の平均は大体.350前後なので、かなり低い水準だと言えます。

Mリーグと天鳳の違い

例えばMリーグだと和了り止めがないので、トップのオーラス親が連荘で延々と試合が続くわけですね。
そのため、ちょい浮きのトップでは終わらせることが出来ないので、軽い手で流すことが出来ず、ある程度打点をつくって2位以下を突き放しにいかねばなりません。
素点もリーグ戦の結果に影響するので、面前の高打点志向の打ち手が強く有利になっています。

飛びなしの影響も大きいですね。
飛びなしのルールっていうのは野球で言うとコールドなしのゲームみたいなもので、10点20点差ついても延々と試合が続くわけです。
そんな大量点差の試合でバントや盗塁で確実に1点取りにいくなんてことはしないわけで、飛びなしが大量点差の試合を生み、高打点志向の麻雀になりがちなのは少し考えれば分かると思います。

Mリーグで活躍している朝倉康心なども、天鳳で打っているときは大体4割前後は鳴いていましたが、Mリーグでは.247程度しか鳴いていません。
打ち方も少し変わったかもしれませんが、このことからMリーグよりも天鳳はかなり副露派有利、面前派不利に傾いていると思います。
Mリーグに限らず、他のプロの最強位戦なども赤なしで、トップがめちゃくちゃ偉いルールなので、プロの対局っていうのは大体面前派有利に出来ていますよね。

面前派が天鳳で結果を残すには

そんな天鳳という、プロの対局に比べて著しく面前派不利なフィールドで、リツミサンがどうして結果を残せるのか、そこが問われているのがこの本の内容なのです。
正直、プロ雀士の面前派ならいくらでも居ますし、そういう人が語る戦術にあまり価値はないと言ったらアレですが、あまり参考にならないのも事実です。
価値があるのは面前派が天鳳のようなネット麻雀で結果を残すための戦術です。

僕もどちらかというと面前派ですが、ネット麻雀で主流の打ち方は肌に合わないんですよね。
昔は4割近く鳴いてましたが鳳凰卓に上がってからは結果を残せず、試行錯誤が続きました。
最近はなんとなく面前志向を強くするようにしてみたら攻守のバランスが取れてきてあまり悩むことがなくなってきたんですよね。
鳴いてからの押し引きがよく分からなくて、ずっと迷ってました。
鳴かずに押し引きを決めた方がバランスが取りやすいかんじです。

そんな僕がなんとなく参考になりやすい、お手本にしやすいと感じる雀士がリツミサンだったんです。
昔から配信動画とか、牌譜見てましたし。
他の打ち手だと見てて違和感があるんですよね。
特に鳴き判断は分からなくて、同じようにやってみるとバランスを崩してしまっていたんです。

つまり面前派が副露派の鳴きを真似すると良くないんですよね。
面前のまま押し引きを決めるのと、鳴いてから押し引きを決めるのって全然違う世界線にあって、どちらが居心地良いかって話になるんです。
そこがしっくりきてないと結果もついてこないんですよね。
なのでマイノリティ側の面前派にとってリツミサンはお手本にしやすく、本書は参考になります。

リアリストタイプの面前派

面前派が天鳳で結果を残すためには、ただただ高打点を志向して手をつくればいいというわけではありません。
そういう手役派高打点志向の打ち手はプロの麻雀打ちにはいくらでもいるのですが、リツミサンは違います。
この本にも手役の話はほぼ出てきません。

前からずっと思ってたのですが、リツミサンはリアリストタイプの面前派で、プロによく居る最高打点を目指すドリーマータイプの面前派とは違うのです。
リツミサンの場合は打点ではなく、選択肢を拡げること
そこに重点が置かれているように感じます。

麻雀っていうのは鳴けば鳴くほど有効牌は減りますし、リーチが打てなくなる縛りを課せられて、押し引きも安牌が減る分、どちらかというと機械的になりがちです。
単純に1回鳴いただけで手牌の数も14枚から11枚に減るわけですよね。
切る牌の選択肢も減ってるわけです。
だからそうなると、場況に応じてターツ選択をするとか、危険牌を止めながら回し打つとか、安牌抱えつつ安全に手を進めようとか、そういうこともしづらくなってきます。

逆に言うと天鳳で面前派が結果を残すにはそういうところが大事になってきますね。
正直、天鳳で打点はそこまで重要じゃないと思います(プロの対局に比べたらですが)。
リツミサンの雀風で言うと、真っ直ぐ押して真っ直ぐ引くようなタイプではないということ。
攻撃的ではないですが、先制リーチに対しても簡単にオリることなくけっこう粘ったりしますし、ときには大胆に押し返したりもする。
どういうときに押し返したらいいのかとか、牌効率だけではない回し打つ手順はどうしたらいいのかとか。
そのためには場をしっかり見るということが重要になってきますし、そういうところもこの本で学べると思います。

あと鳴き判断も重要です。
リツミサンが面前派不利な天鳳というフィールドで結果を残してきたのも、鳴き判断が誰よりも優れていたからだと思っています。
鳴かない判断より、鳴く判断の方ですね。
低い副露率で結果を残すには、鳴くべき急所を抑えて鳴かないといけないですからね。
これは面前派だろうが関係なく参考になると思います。

終わり方が秀逸

最後にあとがきを見て感動したことがあって、簡単に言うと人は強くなるために近道をしたがるものだが、結果ばかりに拘らず過程に拘るべきというような内容で、ジョジョのこのセリフをつい思い出してしまいました。

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麻雀の打ち方にしても同じで、人は近道しようとしたがるものだが、時には回り道することも必要だよと。
真っ直ぐ和了に向かうだけじゃだめなんだよと。
そういうリツミサンの麻雀観にも繋がる内容で、非常にきれいにまとまった終わり方をしていますよね。

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