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アクティブファンドだったら、ポートフォリオのバリュエーション水準、ポートフォリオの特性を示してほしい
アクティブファンドとは? あらためて調べてみます。
Googleで最初に出てきたページです。
![](https://assets.st-note.com/img/1694921784354-Ay17BFjym1.png?width=800)
多くの人たちは「指数(インデックス)を上回る」運用目標に注意を寄せているように感じます。実際に出た結果、基準価額の騰落率をインデックスと照らして「勝った」「負けた」と。
「勝った」「負けた」の原因はどこにあるのか。これまた多くの人が「フィー(コスト)」という主張をしているように感じられます。フィーの差が影響しているのは間違いありません。しかし、より大きな影響を与えているのは、保有している資産、ポートフォリオの違いだと考えています。
ですから、僕はアクティブファンドを眺めてみる際に大きな注意を払うのがポートフォリオの内容、保有資産の中身です。
この保有資産の中身が、対照としているポートフォリオと異なっているかを示す指標の一つがアクティブシェアです。
アクティブシェア
詳しく解説しているページです。
アクティブシェアを報告している事例、実は非常に少ないのが実情です。↑のページでも挙げられていますが ひふみ投信 は毎月、開示しています。
![](https://assets.st-note.com/img/1694922373828-SwyRVLEeqw.png)
ひふみ投信のレポートは次の説明を添えています。
ポートフォリオがベンチマークとどれ だけ異なっているかを示します。アク ティブシェアは0%~100%の間の数値 で100%に近いほど、ベンチマークと 異なるポートフォリオであることを示 します。TOPIX(配当込み)はひふみ 投信マザーファンドのベンチマークで はございませんが、参考として算出し ています。
TOPIXのポートフォリオと比較して、どのくらい異なっているか、が2023年8月末時点で67%と算出されています。
ひふみ投信がアクティブシェアの開示を始めたのが2017年10月末時点です。当時の数値を確認してみたところ、9割を超えていました。
![](https://assets.st-note.com/img/1694922755253-rmd5kvvSnk.png)
さて、僕が毎月定点観測している 農林中金<パートナーズ>おおぶねJAPAN(日本選抜)。この投資信託も月次レポートでアクティブシェアを開示しています。
![](https://assets.st-note.com/img/1694922911002-UUgS02jso4.png)
こちらのレポートにも次の説明が添えられています。
「アクティブシェア」は基準日時点のTOPIXと比較して算出しています。「アクティブシェア」はポートフォリオに組み入れている銘柄がベンチマークとどれだけ異なるかを示し、0%〜100%の 間の数値で100%に近いほどベンチマークと異なるポートフォリオであることを示します。TOPIXは当ファンドのベンチマークではございませんが、参考として算出しています。
アクティブシェアを公表する投資信託がもっと増えて欲しいものですね。
さて、おおぶねJAPANのレポート、「組入資産の状況」として示されている指標が他にもあります。
ポートフォリオのバリュエーション水準 です。ポートフォリオの特性 とも言い換えられる指標です。
![](https://assets.st-note.com/img/1694923187148-WfqLIA90pn.png)
※3 「PBR(株価純資産倍率)」は、株価がBPS(一株当たりの純資産)の何倍になっているかを示したもので、一般的にはPBRが低いほど、会社の純資産に対して株価が割安といえます。本レポート においては、予想BPS(市場コンセンサス)を使用して算出しています。
こうしたデータを示している投資信託が、これまた非常に少ないのが実状です。
アクティブシェアに加えて、このポートフォリオのバリュエーション水準が示されていると「ああ、なるほど、TOPIXとは保有資産が違うんだな」と認識することができます。
アクティブファンドの運用チームが、その受益者にポートフォリオの特性を端的に示すことのできるデータです。しかし、ほとんど、ほぼ全てのアクティブファンドがこれらのデータを示していません。
さて、PERとPBRが分かると、こんな計算が可能になります。
ポートフォリオのバリュエーション水準、PERとPBRからROEを試算
↑の記事で説明されている通り、
ROE = PBR ➗ PER となります。
おおぶねJAPANの2023年7月末時点、PBR 1.91、PER 19.50 となっています。
$$
\frac{PBR(1.91)}{PER(19.50)}=ROE(0.0979)
$$
ROEは9.79%となります。
TOPIXは PBR 1.28、PER 14.56ですから
$$
\frac{PBR(1.28)}{PER(14.56)}=ROE(0.0879)
$$
ROEは8.79%です。
おおぶねJAPANのポートフォリオのROEは、TOPIXと比べると1ポイント高くなっていると試算されます。
ポートフォリオのバリュエーション水準からEPS、BPSを試算
おおぶねJAPANの2023年7月末の基準価額は13,286円(1万口当たり)。
このポートフォリオのPERは1.91、PERは19.50です。
$$
\frac{基準価額(13,286)}{PBR(1.91)}=BPS(6,956)
$$
$$
\frac{基準価額(13,286)}{PER(19.50)}=EPS(681.33)
$$
あくまでざっくりですがBPSは6,956円、EPSは681.33円と試算することができます。
ここでたとえば、自分が保有している取得平均単価が仮に12,000円だとしたら、自分の持分の予想益利回りが計算できます。
$$
\frac{EPS(681.33)}{平均取得単価(12,000)}=予想益利回り(0.0567)
$$
予想益利回りは5.67%くらいなんだな、と。
こういう計算が出来るようになるので、です。
アクティブファンドを運営する皆さんには、ポートフォリオのバリュエーション水準、ポートフォリオの特性を示して、基準価額の騰落率とは異なる面を認識できる、関心を寄せられるように促してもらいたいものです。
ぜひぜひご検討をお願いします。
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