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初心者のバスケコーチが語る初心者バスケコーチの勉強法

矛盾しまくってるタイトルだが、コーチ、特に始めたての方には

「選手にコーチングするために勉強してるけど、どうしたらいいんだ?」とお困りの方がいらっしゃるかもしれない(というか、自分がそうだった)。

自分自身まだコーチの歴が浅く、Twitterのフォロワーの中にはプロで活躍されている方もいらっしゃるし(あんま見てないと思うけど)、自分が尊敬しまくってるコーチもいて(むしろこっちの方が見られるの怖い)「お前の勉強の仕方は違う!」と仰るかもしれないが、一つの方法として参考にしてもらいたい。

なお、コーチングにはマネジメントやリーダーシップなどの勉強も必要だが、ここではバスケットボールのプレイに関するものだけとする。

結論:フルゲームを多く見よう。

このツイートでほぼ完結するのだが、もう少し説明していきたい。

ハイライトに映らない部分こそ、価値がある

基本的にYou Tubeにアップロードされるハイライトは基本的にスーパープレーや、勝負を決めるブザービーターなど華がある成功したもののみ使われる。娯楽として楽しむにはそちらを見れば十分だ。しかし、バスケを勉強すると圧倒的に物足りない。

そもそも、バスケットボールは(国際ルールで)40分間+延長戦が終わった際に得点の多い方が勝ちというスポーツである。試合終了のブザーがなるまでトップレベルになると1チーム約100ポゼッション(攻撃回数)があるのだが、その全てが勝敗に関わってくる。

例えば、残り10秒2点差の場面でピックアンドロールからオフェンスが始まり、ドライブを仕掛け、キックアウトスリーで逆転勝利した試合があるとする。(Defの対応はスイッチだと仮定)

ハイライトだけで見たら「なんでそこでスイッチしたんだよ~」「うおおおお!よくスリー決めたなー!」となるのが精一杯だ。

フルゲームで見た場合は違う。先程Defの対応はスイッチと書いたが、スカウティングではスリーポイントが苦手なチームだったため、Defチームはそれまでアンダー(ボールマンDefがスクリナーの下側を通るDef)で対応していたかもしれない。アンダーに対するOff側の対応としてまずはボールマンがシュートを狙うという選択肢がある。これがハマり、スリーポイントを決め続けた。

Defも次の手を打たざるを得ない。スリーポイントを簡単に打たせないため、スイッチに変更してズレを作らず1on1で守ろうとする。これにより簡単にスリーが打てなくなった。このDefに苦しんでいたが、最初の場面に戻る。スイッチするということは本来のマッチアップではないため、ミスマッチが起こる。そこで、ボールマンはミスマッチを利用してドライブを仕掛け、Def側にローテーションを発生させ、フリーの選手にキックアウトして勝利した。

あくまでも一例ではあるが、残り10秒の場面だけ切り取ってもその前の39分50秒全てが布石となりうるのがバスケットボールである。

実際の試合ではピックアンドロールの駆け引きだけではない。オフボールの動き、セットプレー、それに対するカウンター...など多くの駆け引きがコート上で行われている。加えて、コーチなら交代とタイムアウトのタイミングも考えなくてはならない。

それら全ての解決策をゲームタイム中に考え、選手に指示するというのがコーチの仕事の一つであると考える。これはハイライトの成功したものだけ見ても分からない。

自分は「文脈」という言い方をするが、前のプレーとの因果関係が希薄になる点でフルゲームはハイライトに勝ると考えている。

知識の輪

とはいえ、ただ40分間見続けても何も身につかないのは事実だ。「何を」「どう」見るか知らないと時間の無駄である。

ここで、「知識の輪」(と勝手に自分で呼んでる)という考えを紹介しておきたい。5分程度の動画でバスケに関わらず大切なことであるため、ぜひ見てもらいたい。

バスケでも同様のことが言える。

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ピックアンドロールという現象を知らない人(A)は何が起こっているか分からず「なんか得点した!」となるが、知っている人(B)は「ピックを使ったから得点したんだな。」となる。もっと知っている人(C)は「ピックに対してスイッチしたからミスマッチを攻めて成功したな。」となる。だが、この人達は3人目や周りの選手の動きまでは見えていない。ABCの3人は青い部分を認識できていない。

ABCの3人が周りの選手の動きまで認識するにはどうするか。

フルゲーム観戦をベースにしつつ、「自分が知らないと認識できた現象」(赤線の範囲)を調べ、輪を広くしていくというのが答えだ。

調べる方法は本でも、You Tubeでも、Twitterでも、ウェブサイトでもいい。あらゆる手段を使いまくる。そうすることによって自分の「分かること」の範囲が増え、知識が蓄えられる。

ちなみに知識をインプットしてから、試合を観るというのも方法としてはありだ。実際に自分は現役のときから以下のようなブログを見ていたからちょっとだけコート上で起きる現象については理解できていた(それでも知らないことばっかりでその度に調べてる。それがバスケットボールの面白さの一つである。)。

アウトプット前提のインプット

次にこれらの学習効果を高める方法をお伝えしたい。

ここで最初のツイートに戻ろう。

自分が認識できたものをなんでもメモしまくって記憶に残しやすくするのだ。

人間というものは忘れる生き物であるため、どこかに書いとかないとせっかく自分が勉強したものを忘れてしまう。学校の勉強と同じで、ノートを書いといて少しでも記憶に残りやすくするのだ(実際に成績上がったかは置いといて)。

更に誰かに教えると学習効果が高まる。

ラーニングピラミッド

知り合いのコーチに自分が勉強したものを発表してもいいし、分からなかったものを質問してもいい。

Twitterで自分の見方を発表するのもいい方法だ。

こんな感じで気になった場面を不特定多数の人に見てもらうことによってフィードバックがもらえるかもしれない。Twitterのいいところは検索をかければ過去のツイートを見れるからノートを見返す必要がない。

とりあえずやってみよう

勉強法は一つだけではない。もっといい勉強法があるかもしれない。どの勉強法をするにしても完璧を目指さずにどんどんやってみることが重要だ。自分に合うものはそのうち見つかる。本記事がその手助けになれば幸いだ。

自分もTwitter上でユーローリーグの解説を勝手にやり始めたときは「これ間違ってたらどうしよう」となっていた。

しかし、当たり前ではあるが最初から完璧な人はいない。誰もがピックを知らなかったし、スイッチもアイスも知らないのだ。幼稚園児のときは「apple」を知らなくても、中学生になれば「interesting」が分かる。

100点じゃなくていい。70点でも30点でもいいからどんどん手を動かそう。(もちろん今の自分もまだまだ見えない部分ばかりだから自分の「知識の輪」を広げるようなコメントをお待ちしています)









ちなみに、この文章書いてる途中で推しメンがやってるラジオのパーソナリティー卒業を聞いてめちゃめちゃショック受けてる。


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