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ホロスコ星物語145

儀礼が終わり、クライストとの因縁も一応の終着を見つけ、一週間。コエリはしばらくぶりの城からの呼び出しを受けて、アセンダント邸を出発します。

あの日、クライスト邸でベガと衝突しかけてから、間もなくパラスとフローラは外遊のため、ディセンダント邸を発ちました。

「今回は婚約の挨拶と、魔族絡みでの視察かな。不肖のんびり屋の兄ではあるけれど、事件を追って働きづめの弟のために一仕事してくるよ」

これは出発の際、冗談めかしてパラスが言った言葉です。魔王との休戦の協約についてはパラスも知っているはずですが、他国に具体的に、一体どのような用事で出掛けるのかは教えてもらえませんでした。

コエリにとって意外だったのは、そのパラスの付き人候補として、海外学習と称して、ユリアナとエリザベータ、それからローヴァが付き添っていたことで。

エリザベータは、やはりあの日は、単にパーティではしゃぎすぎたのと、儀礼での疲労が重なったことによるただの風邪で、無事風邪も治り、出発の日の当日はいつもの元気なひねくれものの顔を見せてくれました。

「ほんっと、気にしすぎなのよね。そりゃ、看病してくれるのはありがたいけど、、感謝はまあ、してるわよ、ふん!」

エリザベータのひねくれ癖は家族にも発揮されるようで、そんな風に照れ隠しに悪態をつくエリザベータには、これだから憎めないんでしょうね、となんとなくほっこりさせられたことを覚えています。体調不良に際し、あまりに過剰な医薬品の準備や支度に、アスパシア邸を訪れた時はそれは過保護な親だと思ったものですが、、どうも侯爵婦人が心配していたのは、この出発の日に間に合わないかもしれない、という焦りもあったようでした。

何故か付き人候補として同伴していたユリアナは、エリザベータいわく、ユリアナの自分自身の心身の修行のためだとかいう話で。その時、王妃共々殺されかけたパラス、婚約者候補選びの儀礼、準決勝で争ったフローラと、ユリアナとの因縁の深い二人が、よくその転身を了承したものだとコエリも感心したものです。しかし二人は、実際に接してみると、むしろユリアナには危険よりも不憫を感じていて、彼女の助けになりたい気持ちもまた、強いようでした。

そしてローヴァは、招待状こそ受け取ったものの、儀礼には家人が呼ばれただけで、まさか自分が参加して良いと自体思っていなかったようで、今度こそはと、自分から外遊の同行へは志願したのだと言います。その際、どれだけごり押したのか、パラスの、多少お堅いけれど、彼のストイックさには頭が下がるね、と苦笑して話すローヴァへの感想が印象的でした。

そうして、コエリにとっては仲の良かった仲間たちが、学院からも事実上の休学となり、寂しさも感じ始めていた頃。

「ヴェラが魔王からの返事を持ってきた。莉々須にも使いをやったが、お前も同伴してくれ」

その肝心のヴェラは、所用があるとやらでまだ王都の郊外で待機しているそうです。その動きに何を思ったのかはわかりませんが、ジュノーはその間に、コエリと莉々須を城へと召集したわけです。

ちなみに、魔王からの返事というのは、王子が問いただした、レグルスからの報告によって判明した、かつてのハウメアの反乱に、実は魔王の意図が関与していた、という一件についてです。

人間と魔族の休戦協定の締結を目指し、平和の実現を謳いながら、実際は魔王は、ハウメアによるゾディアックの国家転覆を手助けしていた、、そのことがレグルスの話から判明し、こちらからの不信感は一気に高まることとなりました。ジュノーは、それを重く受け止めて、その返信如何によっては休戦協定の締結をも見直すという、強い態度でそれに臨んでいます。

その返事を、ヴェラは持ってきたとのことで、、けれどジュノーからのレターからだけでは、それが、どのような内容だったのかは推し量ることができません。もしかすると、ジュノー自身まだ内容は把握していないのかもしれません。

コエリは、一応ベスタへとレターで連絡だけして、いつものように溺愛するスピカからの、今日も素敵です、どうぞお気を付けて、という愛情たっぷりの見送りなどされ、いつも通り、可愛いわ、なんて可愛いの、世界の宝なのじゃないの、と感動に打ち震えながら城への道を歩き始めます。そしてそのまま歩き通し、城の前の通りに差し掛かったところで、城の前で会うには珍しい姿を見つけます。

「アルトナ? 珍しいわね。どうしたの?」

ゾディアックの城門の前には、堀を渡す一本の長い橋があります。その橋の手前で、朱色の髪に利発そうな顔立ちの少女、パラスの婚約者候補としてディセンダント公に召集された生徒の一人、アルトナ・フロスティアの姿がありました。

どこか困っている風でもあり、何かあったのかしらと心配になって、コエリは、大丈夫? と声をかけます。

アルトナは、やっほ、とコエリに片手を上げて、やはり困ったように眉根を寄せます。

「うーん、、実はさ、あれが、なんか不穏で、、」
「ーーあれは、、」

城門前はいつものように人が往来し、その門前では兵士が二人、門兵として立っています。そしてその奥には、大量の模擬刀を背負った巨漢が、腕組みなどしながら、仁王立ちで何かを待ち構えていて。

「アルトナ、、あれは私が何とかするわ」

コエリは、久方ぶりに見る偉丈夫へ剣呑な目を向けると、付いてきて、とアルトナへ声をかけます。目だけは異常に良い彼のことですから、コエリが近づけばすぐに気が付くでしょう。

人々の往来の流れに乗って進み、数十メートルはある橋の、四分の一ほどを渡った頃でしょうか、コエリが面倒な予感を感じながら進む中、件の偉丈夫の目がキラリと光るのをコエリは感じとります。

「よっし! 見つけたぜミディアム・.コエリ! ここで会ったが百年目、いざ尋常に勝負だ!!」

巨漢の偉丈夫は、急に背に負った剣を放り出し、そのうちの一本を前に突き出して、大音声を張り上げます。道行く人々が思わず耳を塞ぎ、何事かとざわめき始めますが、彼の目線はコエリ一人にのみ注がれていて、周囲の騒音など全く気にした様子はありません。

やれやれ、と肩を竦め、衆人環視の中をコエリは堂々と通り過ぎていきます。

コエリは橋を渡りながらーーかつてであれば、畏れと忌避にのみ彩られ、煩わしいだけだった周囲の視線が、今の自分には、どことなく好機の視線であったり、好意の視線であったり、あるいは、憧憬の念が交えられていたりと、実はもっと色彩豊かであったことに、今更ながらに気が付きます。

影響力の大きさから考えると、例の、パラス殿下の婚約者選びの儀礼が寄与している部分もあるのでしょう。けれど、心を完全に閉ざしていた時は全く見えていなかった、色鮮やかな世界がそこにはあるような気がして、コエリは自然と口許が綻ぶのを感じます。

コエリは、そのまま堂々と橋を渡りきり、彼、王立騎士団長から10メートルほどの位置まで来ると、一度立ち止まり、呆れた声を出して息をつきます。

「ーー団長、あなた暇なの? 毎回懲りもせず、もう何度目?」
「これで36戦目だ! 最近は遠征やら魔物の討伐やら忙しくて会えなかったからな、寂しかったぜ!?」

団長はニコニコ顔で、ちゃんと働いてるだろ、といかにも嬉しそうに返してきます。それがまるで、主人に構ってもらって喜ぶ犬のように見えてしまって、コエリはクスクスと笑います。

「勤勉なのは良いことね。でもあなた、それはそんなに喜ぶところ? もう35連敗もしてるのよ?」
「はっ、連敗ってのは自分がちゃんと強敵と戦ってる証だろ!? その程度の連敗で諦めちゃあ団長の名が廃るってもんだ! さあ、いざ勝負だ!!」

武器を選びな、と相変わらず前向きな団長は、大量の模擬刀を地面にズラリと並べます。選ぶと言っても、相変わらずどれも似たり寄ったりで、コエリはいつものように適当に剣を取ります。そして、ふと思い付いて、拾いながら団長へと顔を上げます。

「ーー団長、これ、一本もらって良いかしら? 毎回こうして拾うのも面倒だし、あると便利そうだから」
「ん? ああ、ここで俺を倒せたら持っていきな、一本くらい団長権限で譲ってやんぜ」

騎士団長はニヤリと笑い、できるもんならな、と最後に付け足します。これまでの戦績上、ほぼ確定で譲ることになるというのに、どこからその自信が出てくるのかは謎です。

コエリは、そう、と微笑み、それじゃあ手は抜けないわね、と数歩下がって、いつもの開始ラインまで戻ります。丁度良いところにいてくれたわ、と感謝さえ覚えて。

「それじゃ、アルトナのためにもサクッと行きましょうか」

コエリはそう宣言すると、周囲が面白半分にあげる歓声にも手を上げて答え、スッと身を沈めます。
そして、今回だけはお礼とサービスを兼ねて、数度剣を交え、派手に戦いを演出した後、打ち倒すことにしてあげました。

「ふっ、合格だ、、持ってけ、、」

最後に居合いの一撃を受け、大の字に伸びた団長は、腕だけ宙に持ち上げ、親指を立ててから、バッタリと動かなくなります。こちらはこちらで演出上手というか、見世物となっているなりに、サービス精神は忘れない人なのでした。

コエリは、歓声を上げ、憧れの視線と拍手を送る民衆に笑顔で手を上げて答えつつ、城門を潜って追いついてきた、いまだに心配そうなアルトナに、もう大丈夫よ、と話しかけます。

「団長は変人だけど、ああ見えて悪い人ではないから、そんなに警戒しなくても大丈夫だったのよ?」
「ううん、気になるのは、あの人じゃなくてさ、、」

アルトナは、どこか怯えた様子で城の方を眺め、コエリの腕を強く掴んできます。動機でもするのか、胸に手を当てていて、少し顔色が悪くさえ見えています。

その様子に、コエリはハッと気が付いて、城内の、特にホールの奥、通路を進んだ先にある一角の辺りの魔力反応を精査します。

もし、王子の執務室に異常があればーーその時は、すぐにアルトナを逃がして、外で伸びている騎士団長を呼んでくるつもりでした。パラス殿下の成婚が予定通り終了した今、次に出てくるのは、あの魔族に違いなかったからです。

「いない、、?」

けれど、、城の奥は、普段通りに静かなもので。王子の気配は普通にあるものの、他に怪しげな魔力反応はありません。光の魔族、という独自性に目を向けても、それらしい反応は見当たりませんでした。

「、、アルトナ、あなた、城へは何の用事で来たの?」
「ええと、大神官様に呼ばれて、、私がパラス殿下の婚約者選びに参加したことについて、話がしたいって」

今期の大神官は、人当たりと面倒見の良いお爺ちゃんで、おそらく、アルトナの結婚願望や将来の進路について話をしようと思ったのだろうと、アルトナは話します。神職とは無理に就かせるものではなく、信仰心や本人の意思が大切になってくるため、心の迷いや気の迷いがあるなら、先に晴らしておこうというわけです。

それ自体に、おかしなところはありませんが、、コエリはアルトナに、もし時間に問題がないのなら、自分が戻ってくるまで城の大ホールで待つよう言い残し、王子の執務室へと急ぎます。アルトナの感覚が真実何かの危機を察知できることは、先の儀礼でコエリも十分理解しているのです。

コエリはいつもの看板を通りすぎ、王子の執務室を、まずは遠目で眺めて、やはり異常がないことを確認します。王子も見る限り、中で普通に事務仕事に勤しんでいる気がします。

それから、そっと扉の前まで気配を消して歩き、扉をノックして、、それでも異常なし。中から王子の、入れ、という声を受けて、コエリは重厚な木製の扉を引き開けます。

「しばらくぶりね、王子。ーーどうかした?」

専科が異なるため、普段も学校ですれ違うようなことはなく、儀礼でも会えませんでしたから、王子と会うのはベツレヘムの死亡した塔の一件以来、実に二週間ぶりということになります。その、久しぶりに見る王子はひどく不機嫌に見えて、コエリは首をかしげます。

問いかけるコエリに、王子は無言で急に立ち上がると、コエリの前までやって来て、扉の鍵を内側から閉めてしまいます。

「王子、、?」
「お前、、兄上の婚約の儀に出ていたそうだな。それも、婚約者候補の側として」

ジュノーは、露骨に仏頂面になって、コエリへと問いかけます。兄と弟なのだから普通に知っているものと思っていましたが、ジュノーを見る限りでは、それは初耳だったようにも見えます。

「王子、殿下からは何も聞いていなかったの?」
「ああ、気を回したのか何か意図したのかは知らないが、俺がそれを知ったのは、よりによって兄上が外遊へと出立する直前だ。儀礼でのコエリは見事だったよ、だとな」

そこまで言って、なにが見事だ、とジュノーは苛立たしげに扉を叩きます。しかし、その怒りは、そんな時期まで儀礼について秘密にされていたことになのか、儀礼にコエリが参加していたことになのか、ジュノーが何に向けてイラついているのかが、コエリにはよくわかりません。

パラスのことだから、ジュノーのこの反応が予想できていなかったとは思えませんが、、コエリは、王子、とひとまずはパラスへのフォローだけしておくことにします。

「事情は聞いていないの? 私はフローラさんと殿下が無事婚約できるよう、支えるために参加していただけで」
「そんなことは知っている。だが、お前、自分が誰の婚約者なのか忘れたわけじゃないだろうな?」
「誰の、って、、言われてみれば、正式に小恵理の立場を継承したのかもよく知らないわね」

とぼけたわけでもなく、大真面目に、どうなったのかしら? と首をかしげたコエリに、ジュノーは盛大にため息をつき、脱力して扉へと寄りかかります。

「お前な、、貴族連中も、最近のお前の動向を見て、俺に協力的、かつ裏で危険な行動は取っていないということで、婚約者の継承にも納得しかけていたところだ、お前が兄上の婚約の儀に出るまではな!」
「、、出るまでは? 何か問題があったということ?」
「大ありだ! 弟と婚約が決まりそうなところ、兄の婚約者候補に自ら名乗り出るやつがいるかっ!」

あれによって、肝心のコエリ当人に王子との婚約の意思がないのではないか、という話になり、改めてコエリ本人の意思が確認されるまで、一度全てが白紙と帰してしまったのだとジュノーは続けます。わざわざ生け好かない貴族連中とも友好的な仲を築き上げてまでして、コエリとの婚約成立を推し進めてきたのに、と。

「私の婚約の意思って、、」

当然、そんなことになるとはパラスからは何も聞いていませんし、それどころか、パラスはこの婚約の儀礼に参加することが、むしろジュノーとの婚約には一番の近道になるとさえ言っていたはずでした。でも、それが、、まさかの結果に、思わずコエリも沈黙します。

とはいえーーだから出立直前で種明かしをしたのかと、納得してしまうのも確かで。要は、パラスは最初からこうなることをわかっていて、その上でわざと黙って協力させたわけで、、コエリの中では、悪戯っぽく、してやったり、とほくそ笑むパラスの姿がありありと浮かび上がってくるようでした。

コエリは、要は儀礼についての無知を利用してハメられたわけね、と理解して、額を押さえ、軽くため息をつきます。

「やられたわね、、殿下の性格を見くびっていたわ」
「ああ、だがあいつが性格が悪い、常に何か企んでいるような奴だとは、俺はさんざん警告してきたはずだがな?」
「反省はしているわ。でもまあーー良かったのではないの?」

コエリが苦笑して言うと、ジュノーは、何がだ? と訝しげに問い返します。

コエリは、わかりきっているでしょう、と微笑みを浮かべて答えます。

「あなたが好きなのは、あくまでも小恵理でしょう? 私は所詮はただの代役、あなたを引き留めるための重りにすぎないのだから」

だから、別に無理に婚約を成立させることもないのではないのーーと。そう告げたコエリに、ジュノーは、さっきまでとはまた違う、揺らめく焔のような怒気を浮かべて、コエリ、と静かに呼び掛けます。

「お前、、本気で言っているのか? 俺がどうでもいい、そこらの女と平気で婚約を結べる男とでも?」
「だって、、そうではないの? 私は別に」

ただの代役なのだから、と続けようとしたコエリを、遮るようにジュノーはコエリの顔の横に手を伸ばし、ダン、と大きな音を立てて迫ります。

「そこまでだ。俺を見くびらないでもらおうか? 妻にふさわしくない人間を俺は選ばない」
「あなた、、そっちこそ、本気で言っているの? 私は小恵理ではないのよ?」
「わかりきったことだ。俺は確かに小恵理を好いている。だが俺は一国の王子だ、帰ってくるかもわからない人間との婚約にこだわることなど」
「ーーー」

できるわけがない、と続けようとしたジュノーは、今度はコエリに揺らめくような怒りを感じて、ジュノーの方が沈黙を余儀なくされます。

「そこまでよ。バカなことを言わないでちょうだい」

小恵理は帰ってくるわ、とコエリがジュノーをまっすぐに見つめて断言し、ジュノーはその意外な力強さに、驚いて目を瞠ります。

以前のコエリであれば、そう、と頷き、そうなのかもしれないわね、とでも言って、儚げな、寂しげな笑みを浮かべていたと思います。それが、思わぬ反応が返ってきたことで、思わずジュノーはコエリの顔をまじまじと見つめてしまいます。

コエリは、扉を突いたままのジュノーの腕を払い、あなたは安心して待ってなさい、とはっきりと告げます。

「小恵理はもうすぐ帰ってくるわ。どのみち、私との婚約は必要ない」
「お前、それは、どういう、、」
「、、それよりも、ヴェラとの話を聞かせてちょうだい。魔王の返事はどうなったの?」
「ああ、それがな、、」

ジュノーは、ヴェラはまだ郊外にいて、王都へは到着していないと話します。だから、内容についても書簡も受け取っていないし、まだ聞いてもいないと。

コエリは、少しだけ躊躇ってから、ジュノーへ、ヴェラには気を付けた方がいいわ、と耳打ちします。莉々須の話によれば、ヴェラは安全だと言うけれど、何かがおかしいと。

「何か、とは?」
「私も、確証があったわけではないから、今までは協定の結果を見てから教えようかと思っていたのだけれど、、」

変に先入観を植え付けて、本来なら成立するはずの平和協定を困難なものにしても仕方がないと、発覚当時はコエリも考えていました。けれど、ヴェラが待機しているという情報を得て、この問題を放置する方が危険かもしれないと思い直したのです。

それを、口にする寸前にーーコエリはレターに、何か反応があることに気が付きます。

「アルトナ、、?」

開いてみると、そのレターの内容はーー

「、、っ! 王子、話は後よ!」
「おい、コエリ!」

コエリは扉の鍵を開けると、ジュノーの制止の声も聞かずに部屋を飛び出します。

『今そこで大神官様と会って、先に祈りの間にいるから、』

その、まるで、途中で打ち切られたかのような、不自然な文面がーー、何故か、果てしない不吉さを伴って浮かび上がっているのを、コエリは感じるのでした。


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