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観る将歴2年の女が指す将を始めてみる

①はじめに

 2022年6月末日、将棋と創作で埋め尽くされている私のツイッターのタイムラインにちょっとしたトピックスが流れてきました。詳細については省きますが

『観る将よ、今こそ指す将へ(女性普及を考える)』

というものです。
 ステイホームなご時世で2年ほどAbema将棋チャンネルのお世話になり、5月末に推しイベントにありがたくも出席し、6月6日(月)から指す将を始めてみた私(女)にとってあまりにタイムリーなトピックスであったため、noteで忘備録を書き始めました。

まつお(女)
 観る将歴2年、社畜歴10年以上、本州外在住、漫画・小説・ゲームが大好きなオタク。フットワークは軽め。

 このnoteは上記を初期ステータスとし、随時更新します。

 ここまで2度(女)という表現を使っています。このnoteでは私の指す将徒然をメインに、
「私が(女)でなければ発生しなかったであろうイベント」
も書いていきます。
 自分からイベントを発生させるようなことは致しません。逆に、社会人(女)をしていれば正直予想がつくようなことも極力回避せずに参ります。

 新ジャンルへの参入は最初が一番面白いので、月日が進むにつれて頻度や面白みの少ないnoteになると予想されますし、女性用オンライン将棋教室という詰みの形がうっすらと予想できている始末なのですが、頑張って粘りますのでツッコミつつ楽しんで頂ければ幸いです。

 将棋とのファーストコンタクトは覚えていないのですが、家にある『3月のライオン』は2008年3月5日初版でした。
 島田開と結婚したい。


②地元の将棋教室に行ってみた

 さて、フットワークの軽いオタクである私は、このnoteを書く少し前に地元の将棋教室の初回見学に行っていた。「将棋 ○○(地名」でググったところ近くに1つだけ将棋教室を発見……なになに「日本将棋連盟○○支部」

……選択肢がガチしかねえー!!!

 さすが本州外、そんなものである。個別指導という大人も参加可能な2週間後の枠があったため申し込んだ。
申し込みから2週間の予習は以下
・ぴよ将棋の入門講座(十枚落ち~八枚落ち)を見た
・『こども詰め将棋1手詰め』を1周
・えりりん先生の初心者動画を見れるだけ見た(4話くらい)
とりあえず駒の動く方向と四間飛車の駒組みだけ覚えて行った。

いざ受付
私「申し込んだまつおです、初心者です!」
先生(男性)「個別指導や、プロの先生の指導対局を受けられたことは…」
まつお「人と指したことがありません!始めて2週間です!」
先生「……駒の動かし方は…」
まつお「動く方向だけは覚えてきました!」
 互いの間に満ちる沈黙、大人、女、初心者のトリプルコンボである。

 とりあえず平手で指してみることに。生まれて初めて人間と盤を挟んだため駒の持ち方すら覚束ない初心者。えりりん先生おすすめの四間飛車に組んだところ
「四間飛車を組んだら初心者枠から外れます」
と言われる。
 や、やめろ……!相手の方は全く見ずにただ動かしただけなんだ……!
 結果。
 先生一人に対して生徒複数人、対局相手が離席するという仕組みも初めてだったため、指導の先生が指して離席→考えているうちに自分がもう指したと思い込む(指していない)→あれ、詰んでる?→投了。
 自分が指していないことを忘れ、先生の番だと思い込み、自分の手を指さずに投了。というかつてないことをやらかした。過緊張のたまもの、ワロタ。

 八枚落ちでやってみる。どうにも出来ないので王を中段に持って行って引き分け。「二週間でこれだけ指せれば有望です、最短距離で走ってます」というありがたいお言葉を頂いた。

 しかしながら「攻めのスピードが遅い」と言われてもこちらは運転教習所に来ているのであって、「ドリフトが下手」と言われても割と困る。そして分岐点を言われても、巻き戻して再生する機能はまだ付いていない。

 先生からは最後に時間割や例会や大会のスケジュール説明と、「女性は10分の1」「成人女性はいない(来なくなった」などの説明があった。初心者女性と指したがったり、話したがる男性は残念ながら存在するらしい。
 「僕が注意してないといけなかったんですけど…」と言った先生の言葉に、苦労が偲ばれた。
 貼られている名簿には小学生中学生の子供さんたち、女子と見て分かる名前は一人か二人か。確かに10分の1だった。子供さんと指せる時間帯を教えてくださったりと、何かもう色々申し訳なかった。
 隣では小学生男子がテキパキと感想戦を行っており、来なくなった女性の気持ちも分かってしまった。つらい。

 ちなみに初めての個別指導2時間、全く楽しくなかった。しかしながら、ホームページ上から見るにガチ教室であり楽しくなかろうなと予想して行ったので予想通りであり、数回分の個別指導回数券を購入して、初心者のための定跡講座を受けたいと伝えて帰った。
 「戦法とか指定してくれていいですからね」と言ってくれた先生にお伝えしたい。
もっと弱いCPUみたいに指して下さい。


③余談

 「○○女子」「○○男子」という表現がある。
 「刀剣女子」「ソロキャン女子」「料理男子」「裁縫男子」、構成性別が著しく偏ったジャンルに、参入した異性を示すときに使われる大変便利な表現だ。
 けれどそれはテレビやネットニュースなどでジャンル外不特定多数にジャンル内の状態を示すのに便利なのであって、当時者にしてみると当て擦られて便利なメディア素材にされた気持ちになる。

 私はオタクなので刀剣乱舞もひと通り履修しており、上野の東博も一人で行く。けれど、サービス開始当初は地元の刀剣博覧会に行けば「刀剣女子にインタビュー」と称して地元テレビのマイクを向けられた。
 刀剣を手に取って見れるサークルに赴けば、「○○美術館、今度案内してよ」と男性に名刺を渡された。

「女性だけで固まらず、勇気と希望を持って男性に対局を挑み、将棋を楽しんでいる男性を心から理解してほしい」

 最初に述べた件のトピックスである。なんかもうどこから突っ込めばいいのか分からない。

 そもそも、観る将である私は棋士の先生方に対して「理解したい(理解できる」「個人として認識されたい」と思ったことが無い。
 社畜として働く私とは違う世界で生きる先生方の物語を、敬意をもって拝読し、勝負の行方やエピソードに一喜一憂し、日々の活力を貰っている。棋士の先生方も女流棋士の先生方も等しく物語の中の方々だ。
 キャラクターと中の人が同じであるため、個人的には2.9次元と呼んでいる。推しイベントはヒーローショーだ。

 観る将にも対局を手段に将棋を理解して欲しい、ならいざ知らず、女性は将棋男性を理解するために、自発的に男性に対局を挑んでほしいなどと。
普及と銘打ちながら、奉仕を要求するな。

 と、なってこのnoteを書き始めた。
 観る将、指す将、読む将、書く将、描く将、どれも本当に素敵な呼称だ。JT杯の「好きな将棋を、好きなように、好きなだけ」も尊重に満ちている。
 「観る将歴2年の女が指す将を始めてみる」には敢えて性別を入れた。これから「私が(女)でなければ発生しなかったであろうイベント」を書く機会が少ないことを、「指す将(女)」「将棋女子」とラベリングされる機会が無いことを、心から願っている。

推しカプは渡辺明先生ご夫妻です。