直線上で迷っているネズミがいた。
直線上で迷っているネズミがいた。ネズミは自分が前に進んでいると思っていた。深くは考えなかった。
進んでも進んでも切りがなかった。回れ右をしても同じだった。今度は後ろが前になった。
ひょっとして自分は迷っているのではないか。そんな思いが頭に浮んだが、すぐに忘れた。
疲れると道から降りた。降りて振りかえると、歩いていた道が大きな輪っかだと気づいた。
前にもそんなことがあった気がした。一度や二度ではなく何度もあったような気がしてきた。
お腹が空いてきて、目の前の輪っかのことも既視感のこともすぐに忘れた。
柵のところまで行き、くくり付けられた容器に口をつけて水を飲んだ。皿に盛られたひまわりの種を食べ、丸くなって眠った。
目が覚めると水を飲み、大きな背伸びをひとつした。むしょうに走りたくなったので、輪っかの中へと駆けこんだ。