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洋上風力は日本で成功するか?成功のためには相当の覚悟が必要

先日、促進区域である4区域で入札が締め切られました。ファーストラウンドの大規模洋上風力の事業者が12月末にいよいよ選定され大きく日本での洋上風力が前進します。

私は日本での洋上風力事業は欧州とは違うリスクがあり、事業者には相当の覚悟が必要と考えています。むしろ事業として考えると危ない橋だと思います。理由は日本が世界有数の落雷地域だからです。

私は陸上風力建設で嫌というほど落雷の被害を受けました。当然、設備的な落雷対策をしているのですが、落雷の大きさも頻度も当たる箇所も全て運です。自然現象なので当たり前なのですが被害を受けるかどうかは季節によっても違いますので完全な運です。被害がゼロの年もあれば数本被害を受ける年もあります。

最悪なのはブレードの交換です。陸上でもこのブレード交換は相当のコストと期間がかかります。ブレードの調達、大型クレーンの手配、特殊車両の手配、と数本のブレード交換のために建設と同様の重機が必要です。車両も特殊なので直ぐには予約できません。これが洋上ならどうなるか?SEP船の手配が加わります。欧州と違い洋上風力が盛んでない日本はSEP船は外航船を使用せざるを得ません。手配とコストが莫大にかかる事は容易に想像できます。ブレードが破損している期間は風車も止めないといけません。ブレードが修理可能であっても、破損している箇所からは塩分を含んだ水が浸入します。直ぐに修理しないとブレードが使い物にならなくなります。ただブレード補修にも海上の風車に人を送り、ロープで吊るしながらの作業が必要です。落雷の多い荒れた海で果たして修理が可能な日はどのくらいでしょうか。

落雷対策の最も効果があるのは、落雷地域に風車を建てない、です。これしかないです。しかし日本での風況が良い海域は落雷地域が多いです。落雷被害を受けた際には利益が吹っ飛びます。この最大のリスクをどう考えるか?これが日本の洋上風力が成功するか否か左右すると思います。

おそらく、落雷地域を落札する事業者は落雷に悩まされるでしょう。どうやって付き合っていくか、事業者の力の見せ所でもあり日本の洋上風力の未来を決める事になると思っています。

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