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VRE電源に対する発電所併設蓄電池の悪

 北海道電力管内で太陽光発電や風力発電の変動電源(VRE)を新規で接続申込みをすると蓄電池の併設を求められます。この蓄電池の用途は、短周期変動抑制用と呼ばれ、太陽光や風力の変動する出力を一定の変動割合以内にして系統に流すことを目的としています。

 変動割合としては、発電所最大出力に対して1%/分以内にしなければなりません。例えば100MWの出力であれば、1分で10MWの変化しか許されません。仮に曇りから急に晴れになった時に1分で15MWの出力増加ある場合は5MW分を蓄電池に充電します。逆に晴れから急に曇りになった場合に1分で15MWの出力減少があった場合は、5MW分を蓄電池から放電させて10MW/分の変動に抑えます。

 更に風力の場合は、時間帯によって出力の増減の制約を受ける長周期変動抑制も求められます。出力の増加が許さない時間帯は、増える分は蓄電池に充電して出力を増加させないようにします。逆に出力の減少が許されない時間帯は、足りない電力は蓄電池から放電して減少しないようにコントロールします。その両方、すなわち増加も減少も許されない時間帯もあります。

 これはとても酷い要求です。電力を使用している各家庭に電力を自由に使うな、使う割合をコントロールしろと言っているようなものです。そもそも電力会社は需要の一軒一軒の電力を見ておらず、それを系統として纏めた全体の需要を見て供給をコントロールしています。
 太陽光や風力の再エネ発電所も個別の発電所で見れば、天候の急変が起きた場合は変動割合は大きいですが、地域全体の複数の発電所の合計値として見れば、ある程度均されます。全ての地域で同じ日射量、同じ風速と言うのは物理的にあり得ません。
 私も実際に大規模の太陽光発電所を建設しましたが、アレイ個別と発電所全体出力では均さられていることがデータで確認できます。個別の発電所すら均されているのですから、距離の離れた複数の発電所を合成すれば確実に均された出力となります。

 電力会社の言い分としては、予測不能な変動電源が入ってきたら脆弱な北海道系統の電力調整に支障が出るということでしょうが、変動する需要を調整するように、変動する需要と変動する再エネ供給を合成した後の需要変動を今まで通り調整すればいいのです。基本的な考え方は今までと変わらないはずです。

 あまりにも短絡的かつ再エネ事業者差別の要求です。ワーキンググループでも非難されている要求ですの、で今後の合理的な見直しが行われることを期待します。

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