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エリザベートガラコンサート花組'14年バージョン


ヅカオタは初めて観たエリザベートを親と思うらしい。

ならば私の親は花組'14年版エリザベートです。

明日海りおさんのトートと望海風斗さんのルキーニが、再び…奇跡の瞬間ですよね。
配信、買うしかない。

もちろん、みりおさんトート、のぞ様ルキーニは想像以上、身も心も震えるパフォーマンスとビジュアル、存在感でした! 
たまらん!
みりおさん、やっぱり舞台の真ん中がお似合いです。
背中を向けて立ってるだけで黄泉の風を感じます。
のぞ様ルキーニは現役の頃よりさらに繊細に役作りされているように思ました。
永遠にのぞ様ルキーニの歌を聴いていたい…

が、それはもう想像以上なことが想定内というか。

このガラコンで、予想外に私の胸を打ったのは花乃まりあちゃんのエリザベート、北翔海莉さんのフランツでした。

花乃まりあちゃん。

あんなに歌がうまかった?
現役時代は(下手と思っていたわけではないけど)そこまで歌の人という印象もなかったです。
それが、あの歌うま北翔さんを相手に決して見劣りしない歌いぶり。

それだけでなく、私としては今まで観た中で一番腑に落ちたエリザベートでした。

まず少女時代のエリザベートのおてんばぶりが、すごく自然体。
花乃ちゃんて、品がありつつちょっと野性味のある女の子の役が上手いですよね。
少女時代が生き生きしていることはこの先の展開にとってめちゃくちゃ大事!
トートがなんでそんなにエリザベートを好きになっちゃったかの説得力もここにかかってます。

それから、たとえばゾフィーから難癖つけられる場面でも、反抗的というより戸惑っている感じが強く、娘を奪われたときにフランツに訴えて味方になってもらえないと知ったときに投げかける「あなたは敵だわ」というセリフも、攻撃的に弾劾する響きが弱くて、どこか心細そう。

気が強く、自由を愛するエリザベートだけど、いつもこの「敵だわ」がなんとなく強すぎて極端に感じちゃう。
それが、花乃ちゃんエリザベートだと、なんか感情の流れがしっくりきました。
「敵だわ」って、「敵にならないで」ってことなのかな〜って。

そこからどんどん心を閉ざしていく過程も、宮廷で戦い続ける姿も、だからこその気高い美しさも、納得の演技でした。
後半年を重ねていくエリザベートにも、さまざまな出来事に変容を余儀なくされながら少女時代から一貫する人間性が流れているような気がして、正直はじめてエリザベートの人生に感情移入しながら観ました。
どんなに素晴らしいエリザベートでも、今まではどうしても、なんか共感しづらい人だったんですよね、エリザベート。
まあ、高貴なお人ですし、作品的にも共感は求められてないのかもしれないんですが。

現役のときから、さらに大きく進化したように思えた花乃ちゃん。
カーテンコール、みりおさんの横で涙を流した花乃ちゃんをみて、なんか、ほんとによくがんばったね、よかったね、と、お母さんみたいな気持ちになってしまいました。
みりおさんと花乃ちゃんのコンビの完成形を、この日見せてもらったんだと思うと、尊さの極みです。

そして、進化といえば北翔海莉さん。
この人の場合は、
え、まだあれ以上進化するの?!
という衝撃。

'14年時点でもうすっかり完成されていたフランツが、さらにパワーアップしてかえってきました。
歌声だけで様々な年齢感情を演じ分け、しかも現役をはなれてしばらく経っているのに、ゆるぎない男役声、ゆるぎない音程。

そして、あまりの包容力と優しさに、受け入れないエリザベートの方がちょっとわがままにみえてしまった'14年フランツとは違い、随所に弱さやエリザベートとの価値観の違いが表現されていて、互いにすれ違う感じがよりリアルで、切なさ倍増です。

息子ルドルフへの接し方も、実感がこもって、ぐっと人間味のあるフランツでした。

そして最終弁論…もう、こんなすごかった?

後日観たまぁ様トートとの最終弁論もですが、とにかく北翔海莉さんの最終弁論が良すぎた。
皇帝として感情を抑えて生きてきたフランツの中に、こんな激しさがあったなんて。
生身の男として真っ向からトートと争うフランツの姿に、エリザベートへの強い愛を感じました。
生で観たかった!

明らかにかつてのフランツの上をいくフランツ。
まだ上があったの?!という感じでしたが、宙組’16年版のカーテンコールで、北翔さんが今回の役作りにはご自身が私生活で伴侶を得たこと、息子を得たことが影響していると語る場面があって、深く納得しました。
子どもを産むと全子どもへの感情がガラッと変わるし、家族のとらえ方も変わりますもんね。
わかる。 
それが反映された結果、エリザベートに対して、ルドルフに対して、生々しい人間フランツが強く表現されたのですね。
外部で様々な経験を経てから再び宝塚的な舞台に立つことの、ものすごい可能性を見ちゃった気がします。

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