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長距離移動は朝飯前

今シーズンプレーしたウボンユナイテッドは、タイ最東部に位置するウボンラチャターニー県を本拠地としていた。

2019シーズンタイ2部リーグに所属したチームは、18チーム。そのうちバンコク周辺に拠点を置くチームが11チーム。東北部が5チーム。北部に2チームという構成であった。
アウェイゲームでは隣町のシーサケットを除けば、ほぼ全てで長距離移動がセットとなる。
飛行機での移動もあるが、様々な事情から今シーズンはバス移動をすることが大半であった。

最長距離はカップ戦のラノーン戦で約1000km。
途中何度も休憩を挟み、時間にして片道約24時間を費やし移動をした。しかも3連戦の真ん中にこの移動があったのだから心身ともに鍛えられた部分は大きかった。

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往路は少なくとも3日前〜前日の午前までには現地入りをする。
ところが帰路は試合後にスタジアムでシャワーを浴びて、用意された食事をとってからバスに乗り込み、そのままウボンに帰ることがほとんどであった。スタジアムによっては満足にシャワーも浴びれないところもあった中で、90分試合をした後すぐにバスに乗り込み車内泊。最初は身体的にも精神的にもストレスを感じることは多々あったのが正直なところだ。

ただそんな移動も数回経験するとバンコクからの片道約10時間のバス移動は、不思議と日常茶飯事かのように思えてくるようになっていった。

バス移動に慣れているのか、みんなでの移動が楽しいのか。理由はよくわからなかったが、タイ人は楽しむのが実に上手い。
電源を確保し、タコ足配線でほぼ全員に充電器が配置されるのは当たり前。
みんなでオンラインゲームをしたり、タイ音楽をかけてカラオケをしたりして楽しむ術をもっている。
掛け布団に抱き枕、愛用のぬいぐるみを持参し寝心地を追求する者や、途中のトイレ休憩の洗面台で洗顔や歯磨き、シャンプーまでしたりする者など、各々快適に過ごす術を持っている。

僕自身も、はじめこそ足の浮腫みや肩凝り、腰痛、エアコンの寒さに苦しんだものの、色んな試行錯誤を通して快適さを毎回追求し自分の形を習得した。

もちろんこの環境に納得しているわけではない。上のカテゴリーでプレーしていた選手とはそういう話もしたけれど、適応するのは大事だけどこれに慣れたらダメだよ、上にいけばもっといい環境でプレーできるんだからと言っていた。プロとしていい環境を要求して行くことは必要だし、もっと良い環境でプレーしたいという気持ちを大きなモチベーションやエネルギーにしていくことは大事なことだということも感じることができた。

1年間でタイ全土をこんなにもバス移動することはこの先の人生で何回もあることではないだろう。
最初は不満に思った状況を自分で工夫し解決していく過程はこの環境でなければきっと得られなかったことだろうとも思う。

知らない土地に行って、現地で出されたものを食べ、与えられた環境で準備し、試合で結果を出して、何事もなかったかのように帰ってくる。

そういうタフさはどこに行っても必要だと思うし、ものの捉え方や考え方、結果を出すための試行錯誤の中で得たもの、見つけたものはきっとこれからの自分を助けてくれる何かになっていくだろうと思っている。

今年はたくさんの異文化に直面したけれど、それがすごく貴重な経験になった。困難や自分の知らなかった世界から学ぶことというのは多いし、居心地の良いところから外に出ていくことでしか得られないものがあることも身をもって知ることができた。

良い時もあれば、そうでない時もあるけれど、自分がいまどこにいて、何をしなければいけないのか。良い時かそうでない時かを認識して、なにができるかを考えることができれば、それは自分の経験として積み重ねていけると僕は思う

今年の経験があったからこそと思えるように、これからが大事。今日もまた目的と目標をもってひとつずつ積み上げていきたいと思う。

ではまた。

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Renshi

サポートは、サッカーを通じての挑戦に使わせていただきたいと思っています。