夢幻鉄道 13 結婚式の招待状
結婚式の招待状が届いた。昔の旅仲間からだ。そうか、彼はまだ独り身だったのか。疎遠になっていたから知らずにいた。祝福を送りたいが、同じ日に既に披露宴の先約があり、断るしかないのか。そう思いながら床につく。
~ある日だれかの夢の中に入る。それが夢幻鉄道の物語となる~
彼がいた。疎遠になっていた期間の話はしない。
昔旅をしていた時のように、ただ同じベッドにうつぶせで寝転んで話をする。
現実世界と違うのは、手を繋ぎあったことだ。手を繋ぐのは初めてだった。
私が今、誰かと手を繋ぎたい、と思っていることを察知して、受け入れてくれる、そう、彼は昔からそんな人だった。
お互いがお互いのことを思い合っているけれど、一緒にはならない方がいい。そんな2人だった。
別々の場所で、幸せになってね。
約束した訳ではないが、彼が人生のパートナーを見つけ、踏み出したことを、掛け値なく、嬉しく思う。
ありがとう。あなたの幸せを願っているよ。
手を繋いでくれて、ありがとう。
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そこで目が覚めた。
彼が独り身だと連絡が取りづらい。性別が違ったり、同じ業界にいたりすると、独身男女が旅行する、しかも同じ部屋って理解されづらいから。
彼のパートナーと、私のパートナーといつか4人で旅に行けると良いよね。
時代は進んでいて、人間愛みたいな関係も許容されるようになってきたから。
あなたが、幸せにいてくれると、私も嬉しい。
どうか末永くお幸せに。
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