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ニッポンチンボツ? ① 119が繋がらない

私たちの国日本は大丈夫なのか。このところ、そう感じることが多い。まだまだ先進国の仲間だとはいうが、OECD諸国の中でも、飛び抜けて食料自給率は低いは、男女平等の実現では最下位の部類、メディアの自由度も低いし、最低賃金も低い。今や、日本人が海外に出稼ぎに出る時代だ。東京のターミナル駅では再開発が行われているが、もっと生活に密着したインフラは老朽化し、人員不足でシステムは正常に働かず、いろいろな問題が噴き出し始めている。次世代を見越した再生エネルギー政策も、旧電力の抵抗により、進むどころか退行してしまったため、ウクライナ戦争の煽りを受けて燃料も高騰する今、ただ、値上げをするしかなく、庶民を苦しめている。
太陽光パネルを最初に開発したサンヨーは潰れて買収され、今や太陽光発電では欧州などに大きく遅れをとる。本当に日本はどうしようもない国になってしまっている。
大丈夫なのか日本。
そこで、これから、日本のさまざまなシーンを憂うテキストについては「ニッポンチンボツ?」という括りのマガジンにして書いていきたいと思う。
なるべく、実際に日常生活の中で体験したことを入口に書いていきたいが、まあ、ニュースを見ての怒りみたいなものも多くなるんだろうな。時には、時々垣間見える希望も取り上げられたらと思う。
というわけで、今日は先日体験した119の話から。
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先日ちょっと怖くなる出来事があった。
深夜0時を回ろうかという頃。風の強い夜で、外ではゴーゴーと風の音がしていた。そこに、突然、火災報知器のジリリリリというけたたましい音が鳴り響き始めたのである。
マンションのどの階の警報器であろうか。今、外出時は車椅子に頼る私は、すぐに確認に外に出ることもできず、近隣の住人はどんな反応を示しているだろうかと、玄関のドアを開けて、そこから顔だけ出して、マンションの通路の先を見た。しかし音は鳴り響き続けるものの、一向に他の部屋から人が出てくる気配はない。通路にけたたましい音だけが響き続けている。多分、鳴っているのはこの階の報知器だが、煙などが流れてくる様子も、臭いもない。単に、報知器の誤作動なのだろうか?しかし、一つ下か上の階の報知器が鳴っている可能性も捨てられない。

そこで、マンションの管理事務所の番号に電話してみた。出たのは、深夜の電話番らしき人で、実際の管理担当者はそこにはいないという。報知器が鳴り続けていることを告げると、担当者がこれからマンションに確認に向かうとのことだったが、到着までに1から1時間半はかかるという。管理の側では、火災の可能性は考えていないようだ。報知器の誤作動としか認識していないのだろう。

火災の危険性があるかは自分で確認してみてくださいと言われた。まあ、当然ではある。現場近くにいるのは私なのだし、見に行けばいいのだが、今に私は自由にどこにでも行ける状態ではない。自由に動けない人が一人暮らししているなどということは、あまり想定していないのだろう。それに、本当に火事の気配があるのであれば、誰かが動くだろうと考えているのだとも思う。そして、そのうちの誰かが危険があれば119番に通報するはずだと。

しかし、玄関のドアを開けて通路を見渡してみた限りでは、少なくともこの階の人は動こうとした気配がない。いや、私より先に動いて、火災ではないと判断したのかもしれない。しかし、わたしにはそれはわからない。

報知器が真夜中にこれだけけたたましくなり続けているのに、誰も廊下に出てきてもいない様子はちょっと不気味でもあった。

私がここに越してくる以前から誤作動が何度もあったのかもしれない。けれど、それが毎回、誤作動だとは限らない。なのに、この無関心、無反応はなんなのだろう。

管理会社の深夜の電話口に出た人には、私は車椅子で確認に行けない場所もあるから管理会社に電話したことは伝えた。しかし、その人は人の話を聞いていないのだろうか、それでも、心配なら自分で確認してくれと言う。

例えば、私が119に電話して、このマンションの火災を告げる電話が既に入っていないかを確認することもできる。もしかしたら、どこかの部屋の人が既に緊急連絡をしているかもしれないからだ。しかし、まだ火災かどうかわからないうちに119に電話するのも、昨今、119が混雑しているというから、迷惑にもなりかねないし、電話が重複しても迷惑だし、だからその前に、管理会社に同様の連絡が入っていないか確認しようと思った次第なのだ。なのに、当の管理会社が、人は行かせたが、1時間半後の到着という呑気さ。管理会社から消防に確認を入れてみようという発想さえないようだ。

電話を切った時点でまだ煙臭くはなかったので、多分、火災ではないのだろう。しかし、いつもそうとは限らない。細く煙が立ち上り、最初は誰もが気づかないほどであっても、徐々に大きくなっていく場合だって考えられる。皆、そういう最悪の場合を考えていないのだろうか。

車椅子生活になってしまい、簡単に走って逃げられない私は怖くてしょうがなかった。

多分大丈夫ではあろうと思うが、それでももしもの時を考えることは必要だ。それは2011年の原発事故で痛いほど解っただろうに、この夜、もしもの時を考えて動こうとする人はいなかった。マンションの他の住人は、どういう思いで、このけたたましい音を聞いていたのだろうか。結局、真夜中にこの音が止んだのは、私が管理会社に電話してから1時間半以上が経った後のことだった。

結局、この音は報知器の誤作動だったようだが、管理会社に電話した直後、私はもっと恐ろしいことを体験した。

管理会社への電話を切った後、私は念のため、このマンションの報知器の件が他の住人から消防に通報されていないか、このマンションの誰かが何らかの行動を起こして、対策がなされようとしているのかを確認するべく、119に電話をかけてみた。もし、煙が出ているなどの情報があれば、もしもの時の避難を考えねばならない。

それが、当然すぐにつながると思っていた119が、呼び出し音が鳴り続けるばかりで出る様子がない。一度切ってまたかけたが、それでも出ない。呼び出し音を30から40回くらいならして待っても、繋がらない。それを何回か繰り返したが、どうしても繋がらないので、諦めた。

119が繋がらないなんてことがあるのか、、、。
ショックだった。もし、これが既に火が回り、危険な状態だったらどうなるのだ、また、脳梗塞か何かで倒れ、一刻を争うような時にこういう状況になったらどうするのだ、、、。タイミングが悪いで済まされてしまうのか、、、。

救急患者の引き受け病院が見つからず、たらい回しになることは以前から問題視されていたが、それ以前に、119の電話が繋がらないということがあるのだ。

調べれば、東京消防庁のTwitterでは、こうした119が繋がりにくい状況があることが注意喚起されていた。

東京消防庁Twitter
「119番通報が多数入電しているため、繋がりにくい状況です。 病院へ行くか救急車を呼ぶか迷った場合は救急受診ガイドをご活用ください。」

コロナ禍で、救急が逼迫していることはわかるが、それももうだいぶ治まってきていたのではないのか?この日は乾燥していて風も強く、遠くから消防のサイレンの音も聞こえてきて、もしかしたら火災が多発していたのかもしれない。それにしても、電話さえ繋がらないというのはどういうことなのだろうか。それだけの人材を確保して待機させておく財政的余裕がwないのか?

昨年11月に1ヶ月間入院した時、区の拠点病院と言われる総合病院の設備がこの程度なのかと愕然としたことがある。それを具体的に書くと今回は長くなるので、細かくは書かないが、日本は医療費が拡大しているにもかかわらず、医療設備は脆弱なままだ。無駄な薬代とかそういうところにお金が流れ、必要なところに行っていない印象。それと同様に119という最も緊急なところに余裕がない。その分、現場の人々は最低限の設備や人員で苦労を強いられている。

こんなことで、日本は大丈夫なのか?

なんでもかんでも五輪を引き合いに出して芸がないが、わかりやすいのでまた引き合いに出すが、五輪では、景気浮揚にもつながると言いつつ、何百億円というお金が中抜きされ、結局、下々にはお金は流れてこなかった。何百億というお金があれば、東京消防庁の人員を増やすことも、23区の拠点病院の設備を刷新することもできるはずだ。今、日本では一部の人が私腹を肥やすために、社会インフラまでもがメンテもされず、どんどん壊れ始めている。そして、そのメンテのためのお金を苦しい庶民から巻き上げようとしている。これは、時代劇に見る、水呑百姓にかけられる重い年貢と何が違うのだ。日本はそんな前近代的な状況にまで退行しているように見える。

増税を言う前に、まずはどこにお金を使うべきかを徹底的に見直さねばならない。
現在の再分配の仕方は、景気浮揚という言い訳のもと、大企業を利する方向ばかりに使われている。国の第一の仕事は景気対策ではない。国民が健康で文化的な最低限の生活を営むために、すべての人にとって必要なエネルギーや医療、危機対応などのインフラはきちんと整備することだ。それを二の次にしての景気対策などあり得ない。
日本もここまできたら、民営化で活性化などと入っている場合ではない。まず、最低限のインフラが不安なく利用できるよう、国が管理することである。そうした上での景気浮揚策である。
電気代高騰の問題にしても、業界の反発に負け、再生エネルギー転換への努力を怠った国の無策の結果でしかないと思う。戦争だけにせいにしてはいけない。

119が繋がらないというのは、そうした滅びゆく日本の象徴だ。
ここらへんで歯止めをかけておかないと大変なことになる。

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