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サハラマラソン2021 ステージ1(32.2km)

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いやー、昨晩は参った参った。
砂漠の洗礼と言いますか、夜に風が吹き荒れまして、テント半壊ですわ。なかなか風が止まないので、テントを直す気力もなく、そのまま寝続けましたけどね。
目覚めるとびとーさんは、半崩壊した狭いスペースで頑張って寝てた、、。(注1)

いよいよこれから7日間のレースが始まる。
初日の朝は日本から持参したどら焼きとカステラを頂く、カフェラテも一緒に飲みたかったんだけどな、、(涙)

あ、そうそう、そういえば前回に引き続き、今回も太極拳マスター来てますよ。
ブリーフィングの日にデモンストレーションを行い、昨晩から本格的に始まりましたよ。毎朝、毎晩、太極拳レッスンがあるんですよ。びとーさん、今朝も参加してましたがな。これ、日を追うごとに参加者が少なくなっていくんすよねー。


その間にやってきましたよー。

テント撤収部隊が。
撤収されたテントはトラックの荷台に詰め込まれ、次の野営地へ搬送、そしてまた設置されるのである。


テントを撤収された後はこんな感じで、日陰もない炎天下に放置される。

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って、あれ?隣のおいちゃんとこのテント、住人が増えてる。
おいちゃん曰く、アメリカ人2人が昨日「いいですかー?」って来たそうだ。
って、なんか、メディアの密着ついてます?
このアメリカ人は、片足が義足のお母さんとその娘さんみたいで、娘さんはランナーというより付き添いみたいな感じらしい。

びとーさんは肩につけられたビーコンがあたって、ちょっと痛いみたいで間にジェルを詰めたりなんかして、ザックを背負った時に感じる違和感を徹底的に潰す作業をしている。おおおー、なんかすごい、と妙な感動を覚えるワシ。


レース初日ってことで、日本人選手の集合写真をパチリ。

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後でまた(野営地で)会いましょうね。

びとーさんはスタートの最前列を確保するために早めにスタートラインに向かう。タケシさんと私もスタートラインに向かうが、100位以内を目指しているタケシさんもできるだけ前の方に並ぶとのこと、そして私は定位置の後方へ。


人が密集するスタート地点、そしてスタートしてから100mくらいまではマスク着用という今回ならではのルール(違反してもペナルティはつかない)が加わった。


ちょうど、オマーがいたので、スタート前にパチリ。

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そして、
サハラマラソン常連で、今回で9回目となるパリジェンヌ選手、アンとの再会。

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アンは今年で70歳、すごいよ、、、。
71歳で今年6月に他界した母と1つしか年が変わらない、、、。


レース初日、スタート前のこの時間が一番ワクワクする瞬間で、AC/DCのHighway To Hellが鳴り出そうものなら、そのテンションは最高潮に達する。

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「トワ、ドゥ、アン、ゴー!!」
ついに待ちに待って待ちまくった35回大会のレースが始まった。大会スタッフ達に見送られながらスタートゲートを潜る。

この瞬間、なんとも言えない思いが込み上げてくる。初日でテンションが上がっている周りのランナーのペースに引きずられることなく、マイペースで歩みを進める。

今回は2年半ぶりのサハラ砂漠をのんびり満喫すると決めている。あわよくば、足袋で歩いた前回より良い記録が出ればいいな。



スタートしてから程なく、、、
ふとコースの傍でランナーを見守っている大会車両の方に目をやると、隣のテントのアメリカ人の義足ランナーが大会スタッフと一緒に義足のチェックみたいなことをしていた。あれれ、レース始まったばかりだけど、大丈夫かしら、、、?



懐かしいサハラ砂漠の景色を満喫しながら歩みを進め、2時間ちょっとでCP1に到着する。「レナー!」と呼ぶのは、給水スタッフのメーザだ!
トレイルランナーでありながら、サハラマラソンでは給水スタッフのボランティアをしている。「元気だったー?」と久しぶりの再会を喜ぶ。

そして、パトリックを発見!
「調子はどうだ?」と聞くパトリックに、
「元気元気。やっとサハラ砂漠に戻れて、この景色を見ることができて嬉しい。」と言うと、パトリックも「ほんとにそうだね、やっとだね。」と胸を詰まらせる。




と、元気な私はそこまでだった、、、。




CP1を抜けて、しばらく経つと、
「おえーっ!」と嘔吐。

またしばらく経つと、
「おえーっ!」と嘔吐。

歩みが遅れているのか、抜いていく選手達に、
「Are you OK?」って聞かれ始める。

これはまずい、、、。
今までの経験則から、突然、何人もの選手にそんなこと言われ始めると、本人が気がついていないところで体調不良など、何かしら起きているということだ。


というか、嘔吐し始めたところでうっすら気がついてはいた。だって、今までそんなことなかったんだもん。


これ、熱中症の症状だよね。


とにかく一旦休憩しよう、と日陰を探しながら歩くのだが、木の影、そして大会スタッフの車両の影と、見つけたちょっと休めそうな影という影が他の選手達で満員御礼状態になっている、、。


え......?こんなことって今まであったっけ?

そして、村を通るのだが、やはり木や家の影は満員御礼だし、村人達も木の影でレース観戦とかしていて、休める場所が見つからない。


そこに村の子供達が、
「マダーム、ガト、ガト」とか言ってお菓子をねだってくる。
申し訳ないが、あげるものは何もないので、「のん!」で貫き通した。


と、村の外れで7−8人の子供達が木登りをして遊んでいるんだが、そのそばの木の影が空いているではないか。しかも、結構、大きな影だよ、これ、ラッキー!

よし、ここで少しばかり休憩だ。
荷物を下ろして、少し横になる。
と、すぐそばで木登りして遊んでいた子供達が一斉にこっちに駆け寄ってきた。

「・・・・・・・。」
お菓子、なんかくれ、とギャーギャーうるさく私を取り囲む。
「・・・・・・・。」
ここは穏便に、
「レッセ モワ タンキル、、、、 シルブプレ(1人にさせてください)」
あっち行けって言いたいところをむちゃくちゃ丁寧に繰り返しお願いしてみた。

すると、グループのリーダー格みたいな少年が、
「このマダムは1人なりたいみたいだから、そっとしておこうぜ、」と
他の少年たちを向こうに追いやってくれた、、、のはいいのだが、

リーダー格の少年は向こうへ行く気配がなく私のそばに立っている。
目が「そっとしておいてあげるから、俺になんかくれ。」と訴えている。
その心の訴えを無視していると、向こうに行った子供達が感づいたようで、また戻ってきて、私の周りでギャーギャー騒いでいる。


「・・・・・・(ブチっ💢)」
思わず、日本語で、
「あーーーーっ!もうっ!!!!!」と立ち上がり、その場を後にする。


「まだーーーむ、アイムソーリー!」
と背後から聞こえてきたが、もう知るかっ。


と、何とかCP2に到着。

14時前か、まだ時間に余裕はあるな。
水を受け取り、テントに向かうが、結構な人で賑わってたが、何とかスペースを見つけて、寝っ転がる。ここでたっぷり休息しても、残り11kmで、制限時間は19時までのはずだから、まだ余裕で間に合うな。


1時間弱の休憩を取り、ゴールに向けて出発する。
とはいえ、まだまだ暑い。
コース上の他の選手達も暑さでヘロヘロしている。ちょっと千鳥足のやばそうな選手には「Are you ok?」と声かけながら進む。
私もヘロヘロしているから同様の声かけをもらうんだけどね(苦笑)


ゴール前数キロのもふもふした足場、ワジに足を奪われる。弱目に祟り目とはこのことだ。
水を飲んだら、そのままマーライオンと化すし、めっちゃ辛い、、、。


ヘロヘロになりながらも何とか暗くなる18時前にはゴールすることができた。
昨日、びとーさんによる四十肩の施術で少し体が軽くなり、調子に乗って
「やべ、明日のレースは15時とか16時にゴールするかもよー」なんて言っていたが、ダメダメじゃーん。でも、17時くらいを目指していたので、誤差範囲内かw


テントに戻ると、もちろん既にびとーさんとタケシさんはいて、
「どうだった?」と聞いてみると、
「女子総合5位みたいです(注2)」とびとーさん。そして、タケシさんも初日にしてはまずまずの順位だったらしい。良かった、良かった。


と、隣のテントのおいちゃんもやってきて、私のゴールを祝福してくれた。
「で、晩御飯はいつ食べる?いやいつでもいいんだよ。君のタイミングに合わせるからその時教えて。」とおいちゃん。

おいちゃんは私のヒートパックをあてにしていて、自分の食料も一緒に温めてもらうという算段なのだ...。




いやー、しかしほんと辛かったわ。
まさか自分が熱中症になるとは思ってもいなかった。これ、明日大丈夫かな。明日はあれだぞ、あれ、、、


メルズーガ大砂丘縦断13km........


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●第1ステージ
[開催]10月3日(日)
[距離]32.5m
[スタート]9時04分
[制限時間]
CP1/3時間20分
CP2/6時間10分
GOAL/10時間00分
[到達人数]
START/672名(JP 3名)
CP1(11.4km)/667名(JP 3名)
CP2(21.1km)/655名(JP 3名)
GOAL(32.2km)/643名(JP 3名)
当ステージリタイア/29名(JP 0名)
リタイア累計/29名(JP 0名)



私、個人の記録としては、、

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因みに、全く同じコースだった前回大会(2019)の記録と比較してみると、、

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ほぼ同じ時間にスタートし、CP1への到達時間もほぼ同じ。
しかし、熱中症の症状が顕著に出始めたCP1以降のタイムが前回大会と比べて明らかに違い、スピードも全く出ていないことがわかる。

前回は足袋履いててもビバーク到着は15:45だったのか、、、。完走の難易度を上げたつもりでいたが、今回の過酷さに比べたら屁みたいなもんだわ。(失礼!)




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注1) 記録(サンドネジャック)を見直したら、夜に風が酷かったのはステージ1前夜でした。失礼しました。
注2) 公式リザルトによると初日は女子総合6位だった。



【お断り】レース中、実際に起きたことを書いていますが、メモ書きなどして記録をとっていないため、話がチェックポイント、またはレース日で前後している可能性があります。これはこの時ではないよ、とご指摘頂いたら、レポートを全部書き終えた後に再編集し直します。


サポートして頂けると単純なのでものすごく喜びます。サハラ砂漠の子供達のために使います。