見出し画像

サハラマラソン2021 ステージ4(82.5km) 後編

画像1


CP4で少し休憩を取る。
CP4とCP5では仮眠を取ることができ、ここの出発制限時間は4:00である。ここに到達してしまえば、もう制限時間に追われることはない。

と、蛍光スティックを回収していた車両のドライバーがやってくる。
「ちょっとビーコンを見せてくれ。」
と私のビーコンを触り出す。

「それと、さっきSOSボタン押した?」
「いいえ、押してませんよ。押したのはロストした時です。」
「そうか、ロストした時か、、、ん?」
とドライバーのおじさん、ふと何かに気が付いたかのように、少し驚きながら、、

「お前、フランス語話せるのか?」
「はい、少しだけなら、、」
このドライバーのおじさんの名前はクリスチャン、ちょっと無愛想な感じの人だなと思っていたのだが、「そうか、フランス語話せるのか〜」と笑顔を見せる。

あっ、英語をあまり話せないから、ぶっきらぼうみたいな感じに見えたのか。
「お前のビーコン、一旦リセットするからな。」
と、私のビーコンをリセットしたけど、なぜに?あと、まさかと思うが、私のSOS信号、時間差で届いた…の?



気を取り直して、CP5へ向かう。
ここでは結構な数のランナーが仮眠を取っているので、スイーパーのラクダちゃんとは完全にお別れだね。

しかも、今度は前後に付かず離れずの距離でちらほらランナーがいるのが心強い。下痢の症状もいつの間にか治っていて、吐き気が少々あるくらいで、マーライオンになる頻度も極端に減った。

よし、これは行けるぞ!
CP5の後に難所が構えているんだけれども、そこから日の出を拝みたい。サンドネジャックのMr.O1から日の出時間は6時9分だという情報を入手している。逆算して、5時半までにCP5につけばいいのかな?

暗闇を歩いていると、左手方向にポツポツと連なって天に昇るかのように灯が見える。おおー、あれはまさしく、Jebel el Oftalに登る人たちのヘッドライトの灯りだ。



CP5には5時頃に到着する。
到着するや否や、給水スタッフが「ゼッケン番号465ね。ちょっと待って。」とビーコンをチェックし始めた。そして、「よし、これでリセットできたわ。」と衝撃の一言を放つ。

え?CP4でクリスチャンがリセットしてくれたはずなんだけど、、?まさか、まさかとは思うが、CP4からの道中は私のビーコン動作していなかったとかそんなことはないよね?ないよね?ないよね?おーい、クリスチャーーーーン!


再び気を取り直して、まずはここでしかできないことをやる。温かいお茶をいただくんだー。そう、このチェックポイントのみ、お茶を出すスタンドがあるんですよ。疲れた体に甘くて温かいお茶はほんと癒されるわー。



ゆっくり休憩し、5時半頃についに重い腰を上げて、あいつに立ち向かう。

画像2



この時間帯のあいつってイイね!
まず渋滞していないので、自分のペースでゆっくりと攻略できる。進みの遅さにイライラさせられることもないし、後方からのプレッシャーに焦ることもない。

画像3


が、岩場やロープを握る必要がある箇所で、トレッキングポールが邪魔でしょうがない。トレッキングポールを上へ投げて、よじ登り、また上に投げて、よじ登るってことを繰り返していたら、上から見ていた見張りの大会スタッフが、何やってんだあいつは?と思ったのか、彼のそばに来たら、トレッキングポールを取り上げられて、私のバックパックにブスッと刺されてしまった。

画像7

刺し方が雑なんで、ローブを潜ろうとしたら、トレッキングポールが引っかかって潜れない。しかし、跨いでしまうと、後方ランナーがロープを握ってしまった時に危ないかもしれない、、どうしたものかと思案していたら、すぐそばでキャロルと大会スタッフがニヤニヤしながらずっと見てたわ。キャロルが写真撮って撮ってなんて指示出してるし。


お天道様が顔を出し始める、、

画像4



あー、しまった、頂上で日の出を拝むはずが、、

画像5

後もうちょっとってところで、太陽出ちゃった。
いやそれでも、美しい、美しいよ。

頂上に到達すると、ここに寝泊まりしていたと思われる(注1)大会スタッフ達が写真の取り合いっこしてた(笑)


と、陽が出てしまったからにはもうのんびりしている訳にはいかない。ここからまた気温が上昇していく、せっかく体調が大分良くなったのに、また歩くマーライオン復活は避けたい。

頂上からはがれ場を一気に下る。
このがれ場、夜間に通ったらめっちゃ怖いわ。みんなすごいなー。そして、がれ場のあとは砂丘が続く。この辺りの一連の流れはしっかり脳に刻み込まれている。


しかし、すごいところに足跡があるな。闇の中の砂丘は視界が限られているため、最短距離、楽なコースを見極めるのが難しく、暗くなければそんなとこは絶対行かないだろうってところに足跡があったりする。

砂丘が終わると後は延々とフラットで歩きやすい足場がゴールまで続く。ただ果てしなく単調だ。


すると、スティーブが見回る大会車両と遭遇する。私に気づくと、近づき、
「オーバーナイトステージの距離がもの足りないって、自分だけ余分に歩いたんだってな?(ニヤッ」とブラックなユーモアを飛ばす。
「・・・・・お、おぅ。」
もう大会本部のネタになってんのか。


9時頃にCP6に到着すると、メーザ達が大歓迎してくれた。
「パトリックが心配していて、レナが到着したら連絡してくれって言われているから報告しておくね。」とメーザ。

ああ、やっぱ、おいらのビーコンになんかあったのかなぁ?


「おー、レナじゃないか!」と
あれ?なんでここにクリスチャンがいるん?
しかも、まったりコーヒー飲んでる。っていうか、CP4で何しでかしちゃってくれてんのよー、と言いたかったが、そこはグッと飲み込む。

「なんか元気そうじゃないか」
と嬉しそうな顔するからさ。
「この子、フランス語しゃべれるんだぞ。」
とか周りのスタッフに言いふらすし、最初の印象と違い、なんだか憎めないおじちゃんだ。


暑くなる前にCP6を出てゴールを目指す。
既に、じわじわと暑くなり始めて、しかも単調すぎるコースのため、ラストスパートがめちゃくちゃ辛い。

めちゃくちゃ暑くなり始める昼前までには何とかゴールしなきゃという一心で、黙々とフラフラしながらも歩みを進める。


そして、11時半にゴール。
今までで出場した中で一番長かったオーバーナイトステージがようやく終わった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
●第4ステージ(オーバーナイトステージ)
[開催]10月6-7日(水、木)
[距離]82.5km
[スタート]
1ST GROUP/  8:40(日本時間 17:40)
2ND GROUP/10:08(日本時間 20:08)
※2ND GROUPは総合上位の男子50名と女子5名

[制限時間]
・1ST GROUP

到達制限(当初のスタート予定時間、8:15で記載した)
CP1/ 4時間00分(現地6日 12:15)
CP2/ 8時間15分(現地6日 16:30)
CP3/ 12時間15分(現地6日 20:30)
CP4/ 16時間45分(現地7日 1:00)
CP5/ 23時間15分(現地7日 7:30)
CP6/ 29時間00分(現地7日 13:15)
ゴール/32時間00分(現地7日 16:15)
出発制限
CP4/ 19時間45分(現地7日 4:00)
CP5/ 25時間45分(現地7日 9:30)


・2ND GROUP(当初のスタート予定時間、11:15で記載した)
CP1/ 2時間00分(現地6日 13:15)
CP2/ 5時間15分(現地6日 16:30)
CP3/ 9時間15分(現地6日 20:30)
CP4/ 13時間45分(現地7日 1:00)
CP5/ 20時間15分(現地7日 7:30)
CP6/ 26時間00分(現地7日 13:15)
ゴール/32時間00分(現地7日 16:15)


[到達人数]
START/477名(JP 3名)
CP1(12.7km)/400名(JP 3名)
CP2(25.6km)/382名(JP 3名)
CP3(37.7km)/365名(JP 3名)
CP4(50.8km)/359名(JP 3名)
CP5(62.0km)/357名(JP 3名)
CP6(72.7km)/356名(JP 3名)
GOAL(82.5km)/356名(JP 3名)
当ステージリタイア/121名(JP 0名)
リタイア合計/316名(JP 0名)


日の出・日の入り ※4th stageコース付近
[10月6日の日の入り]
モロッコ時間(GMT+1)/19時00分
大会時間(GMT±0)/18時00分
日本時間(GMT+9)/ 7日3時00分

[10月7日の日の出]
モロッコ時間(GMT+1)/7時09分
大会時間(GMT±0)/6時09分
日本時間(GMT+9)/15時09分


スクリーンショット 2021-10-30 15.10.35


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
注1) どうやって持ち込んだのか知らんが、デカいマットレスがあったw

【お断り】レース中、実際に起きたことを書いていますが、メモ書きなどして記録をとっていないため、話がチェックポイント、またはレース日で前後している可能性があります。これはこの時ではないよ、とご指摘頂いたら、レポートを全部書き終えた後に再編集し直します。

サポートして頂けると単純なのでものすごく喜びます。サハラ砂漠の子供達のために使います。