見出し画像

サハラマラソン2021 ステージ3(37.1km)

画像1

死者が出ようとも、リタイヤ者がたくさん出ようとも、日はまた昇る。


レース3日の朝、
びとーさんに起きた異変で始まる。
「時計の電源が入らないんです。」
バッテリー節約のため、就寝前に電源を落としたらしいのだが、残量80%あったはずの時計の電源が入らないという。

「充電すれば、また電源が入るんじゃないですかね?」とタケシさん。
しかし、びとーさんの持つ時計はガーミンやスントといったメジャーなものではなく、充電用ケーブルも異なる。(毎回言ってるけどマジで規格統一してよっ!)
何でもその時計の売りはバッテリーがめちゃくちゃ長持ちするとからしく、故に、びとーさんは充電用ケーブルを預けている。

「えー、誰か同じ時計持ってる人探さないと、、」
「レナさんのお友達が同じの持ってました。」
「え?誰?」
「空港のバスで一緒だった、、」
「あー、キャロルか!(確かにその話で盛り上がってたな)」

キャロルがいるスイステントって何番だったっけな、、(聞いたのに忘れた)

「彼女は昨日スタート地点でメディアのジャケット着て立ってましたよ。初日でリタイヤしたんじゃないですかね?」とタケシさん。
「えっ、マジで!?!?(知らんかった)」

居ても立っても居られないびとーさんはイギリス人テントに時計を見せながら、ケーブルを持ってないか聞いてまわっている。

今朝は日本でお留守番しているサンドネジャックとの連絡が取れる(*1)ので状況報告をすると、ググってくれたみたいで、「ネットで検索するとカ●ス ペース2(最近の機種)で80%くらいから落ち→死亡ってのも出てきますね」とMr.O1

ああああああーっ、事例ありかよー(絶望的)

と、びとーさん、同じ時計を持つイギリス人選手からケーブルを借りることに成功し、私のモバイルバッテリーに挿して充電を試みるが、うんともすんとも言わん。

越えられない壁はないと腹を括ったびとーさん。
んだんだ、これで順位が上がったらすごいじゃん、武勇伝じゃん。



レース前のブリーフィングはお通夜の様相。
スタート前に1分間の黙祷、そしてスタート後はすぐには走り出さず、100mは追悼の行進をし、100m過ぎた地点でレース再開するという。

あ、前列にいるびとーさんに通訳できないけど、これ大丈夫かな?
彼女のことだから周りの様子を見て察してくれるだろう。空気読んでくれるはず。

スタート前にかかるAC/DCのHighway To Hellの曲はさすがにこの日は封印され、フランスの誰かよう知らん歌手のメローな曲が流れ、ステージ3は追悼の100mウォークから始まった。


CP1までは約11kmで、その手前3kmほどの砂丘越えが(前回の経験から)多分ここがステージ3の山場だろう。しかし、昨日のような大砂丘ではないし、距離も短いので気分的にはまだ楽である。

熱中症防止のために、びとーせんせの教えに忠実にガーミンが1km毎のビープ音を鳴らす度に、ソルトタブレットを1つ服用する。そのまま飲み込めないので水と一緒に飲むんだが、これか?これがいかんのか?




本日のメインイベント、3kmの砂丘越えは昼前の時間帯だったからか難なくクリアして、CP1には11時頃に到着。


そう、ここまではいいんだよ。昨日も陽が沈んでから体調は徐々に良くなり、食欲も戻ってきて、おやつとか晩御飯はしっかり食べられるんだよな。傾向としてはCP1を抜けてから、徐々に気温が高くなる時間帯なのである。

「おえーっ!」と嘔吐。

またしばらく経つと、
「おえーっ!」と嘔吐。


安定の歩くマーライオン、本日も健在です。
ここからソルトタブレットを2つにしてみるか。

でもさ、これさ、嘔吐した時に塩分も一緒にリバースしてないよね?ちゃんと体に吸収されているのかしら?そんな気しねえー。

嘔吐する度に体力奪われている感じで、水を飲むことすら怖くなる。
しかもお風呂の水飲まされている感じだし、こんなことなら、緑茶のティーバッグでもフラスクに入れておけばよかったわ。って、持ってきてないけどね...(涙)



と、左確認。

画像2

そして、右確認。

画像3


よーし、渡りますよーって、ええええええー???

今日のコースって前回大会(2019年)と全く同じなはず。この2年半の間に、ここに道路ができちゃったの!?!?


サハラ砂漠に押し寄せる近代化の波.......。




CP2には14時半頃に到着。
歩くマーライオン状態だったので、疲労が激しく、ここでしばし休憩する。CP1の時もだったが、CP2でもパトリックがいることを確認したが、今日は彼に何と話しかけていいかわからず、そして疲れている自分を見せたくない。

ゴールまで残り14kmくらいか。
今日は制限時間ギリギリでのゴールを狙うので、18時前に戻って来ずとも、心配しないでほしい。必ず戻りますとテントメイトには伝えている。




15時頃にCP3に向けて出発する。
と、ん?目の前に車の往来が見えるのだが、
またもや、

2年半前には影も形もなかった場所に幹線道路ができている!!
この集落周辺は再開発でも行われているのか?!

道路を渡るのか?(注2)
と思いきや、道路下にトンネルがあった。


短いトンネルを抜けると、そこは村だった。

ラクダを追い払う村人、のどかな村の生活を垣間見ながら、マーライオン状態で歩みを進める。

とにかく暑さが和らぐまで夕方までは休み休み、やり過ごし、涼しくなって体調が戻ったら一気に行くしかない。




CP3には17時前に到着。あと5.4km。
本日の制限時間は11時間だから、19時半までにゴールすればいいのか。よし、十分間に合うな。

ゆっくり休憩を取ってから、ゴールに向けて歩みを進める。
涼しくなったので、スピードが上がるかと思いきや、ワジとか砂場とかで足を撮られるためか、なかなか思うようにスピードが出せずに、

画像4

あーあ、陽が沈んでいくー。

陽が沈んでしばらく経つとあたりが暗くなり、まさかのここでヘッドライトを使うことになるとはなー。

で、ふと気が付く、これマーキング見逃しちゃうんじゃないの??!!

と不安になったが、暗くなると、マーキングのところにちゃんとオーバーナイトステージの時みたいに蛍光スティックをつけてくれるのね。知らなかったわ〜。



19時前にゴール。
テントではいつものメンバーが暖かく迎えてくれた。

びとーさんは朝にあんなトラブルに見舞われながら、女子総合3位になったと。
もうね、体調不良でヘロヘロでいいことなしのところに、そういう話を聞くとほんと泣けるよね。表彰台に手が届いてる、すごいよ。

タケシさんも順調で順位は100番台にいて、目標の100位以内だって十分狙える、射程圏内にいるじゃないか。

この気象条件でこの成績は皆さんすごいですよ。



そして、私の体調不良は翌日にはネクストレベルへ昇華するのである(涙)





ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
●第3ステージ
[開催]10月5日(火)
[距離]37.1km
[スタート]8時43分
[制限時間]
CP1/3時間20分
CP2/6時間50分
CP3/9時間25分
GOAL/11時間00分

[到達人数]
START/570名(JP 3名)
CP1(10.7km)/538名(JP 3名)
CP2(22.7km)/507名(JP 3名)
CP3(31.7km)/481名(JP 3名)
GOAL(37.1km)/477名(JP 3名)

DNS/1名(JP 0名)
当ステージリタイア/93名(JP 0名)
リタイア累計/195名(JP 0名)


私、個人の記録としては、、

スクリーンショット 2021-10-30 11.12.04


因みに、全く同じコースだった前回大会(2019)の記録と比較してみると、、

スクリーンショット 2021-10-30 11.12.33

やはりCP1を過ぎるとガクンとスピードが落ちる。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
注1)  電波が入る時にFacebook Messengerでの連絡を行っており、それ以外のものは一切チェックしないプチデジタルデトックス生活を行っていた。

注2) タケシさんは道路を渡ろうとして、後続ランナーからホイッスルで「ピッピー!」と注意されたそうだ。へー、ホイッスルってそんな使い方するんだーと8回目にして知る私。



【お断り】レース中、実際に起きたことを書いていますが、メモ書きなどして記録をとっていないため、話がチェックポイント、またはレース日で前後している可能性があります。これはこの時ではないよ、とご指摘頂いたら、レポートを全部書き終えた後に再編集し直します。


サポートして頂けると単純なのでものすごく喜びます。サハラ砂漠の子供達のために使います。