親指のないおじさん⒈
親指のないおじさんには妻がいた
娘もひとり
親指のないおじさんの妻はよく祖母の家に泊まりに来ていた
娘を連れて1週間から十日、長いときは2週間くらい
車で1時間半ほどかかるけど、毎回彼女は
タクシーできていた。帰るときも必ず決まったタクシー会社の
お気に入りの運転手さんを指名して
「また 来るね」とどこか名残惜しそうに帰る
今、私があの頃の彼女の年齢になって旦那の実家に
娘をつれて何週間もいるなんて拷問でしかない
祖母をとても慕っていたのでこのような関係がうまれたのかもしれ