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学術論文の”かわいい”ところ

はじめまして。
科学系のポッドキャストを配信している研究者のレンです。
普段考えている事を音声ではなく文章で伝えてみるのもたまにはいいかなと思い、noteのアカウントを作ってみました。

僕は仕事も趣味のポッドキャストも「科学」にまみれています。
普段の生活でもテレビの暗いニュースよりも
「隕石から核酸塩基が見つかったぞ!」みたいなニュースばかりに目がいってしまいます。

そんな調子で生活していると変に一人で世間離れしてしまうんじゃないかと思う時があります。
なので時折妄想で幽体離脱して自分自身を俯瞰し、普段自分が当たり前のこととしてスルーしている事の中に「ヘンなポイント」がないかを探しているわけですが、
そんなことをしていて見つけたヘンなポイント
それは
論文を読む
です。

論文のイメージ

科学といえば論文というイメージがある方は多いと思いますが、日常的に読む人は世間でいうところの少数派なんじゃないかと思います。
そして
論文は堅苦しい
というイメージだと思います。
というかそもそも「研究者」も堅苦しい感じがする。

科学をやる上で論文は避けては通れません。
なぜならそこには先人たちの功績
もっと大げさに言うと「人類の歴史」が詰まっているわけです。
この過去の歴史を知らなければ、どんなに天才でも新しい発見はできません。

この「人類の歴史」は正確に伝わる事がとても大事です。
誤った伝わり方をすると、その歴史の先を歩む人は漏れなく誤った道を進むことになります。
論文が堅苦しいのは「正確である必要があるから」というのが要因の一つかと思います。
正確な情報を記載する事が求められるので、
本来いらない余計な事、例えば
「これうまくいった時ハッピーだったぜ!」
とか
「これダメだったから全部嫌になった、この試薬作った人ウソつき」
とかはただの筆者の気持ちなので、書いちゃダメなわけです。

論文の”かわいい”ところ

じゃあ論文は100%堅苦しくて、感情的な事は一切ないのか?
と聞かれると、それはちょっと違うんじゃないかな思います。

例えば何か失敗した実験を記述するとき
Unfortunately (不運にも),
と文頭に記載されることがあります。
これはただ結果をつらつら書き並べられるよりも
「あ、これはちょっと失敗してショックだったんだな」
というのが垣間見えます。

逆に、
Fortunately (幸運にも),
と記載があってその先にイイ感じの結果が書いてある時は
「お、これは祝勝パーティー開いただろうなぁ」
みたいな実験者の感情が伝わってくる感じがします。

こうした若干感情が乗っている表現が本来推奨されるかは別として、
これはお堅い論文の中に輝く”かわいい”ポイントに見えるわけです。

Unexpectedly (意外にも),
があると
「これはガチで焦っただろうな」
という感情と臨場感が伝わってきます。
そしてその先には説明できないわけのわからん現象が書いていたりします。

伝わっているかはわかりませんが、こんな感じで
普通は堅苦しい論文も、時には感情がちょっとだけのったかわいいところもあるわけです。
なので、
「この論文によると、、、」
と話している人を見かけた時は
100%堅苦しい人だ!と思うだけじゃなくて、
実はちょっとかわいいところもあるんじゃないの~?
という視点を持ってみるのもいいのではないでしょうか。
(他にも色々かわいい表現あると思うので、有識者の方はぜひ教えてください。)

堅苦しいイメージをぶっ壊す。

そんな一見堅苦しい「研究者」を名乗っている僕ですが、
お堅そうな科学の空気をぶっ壊して楽しくおしゃべりしたい!
というポッドキャスト番組を2つやっているので紹介します。

サイエントーク
おしゃべり研究者レンと普通のOLエマのおしゃべりポッドキャスト。
日常の中の気になる科学からスゴイ昔の研究者の話など。
最近のオススメ回
・カフェインとは何者なのか?歴史とプリンとアデノシン #64
・日常で使える研究ワード!サチる心とコンタミする私たち。 #70

サイエンマニア
様々な専門家のゲストを毎回お呼びし、マニアな事まで聞き出すポッドキャスト。
最近は大学院生が研究現場のリアルを語ってくれる回が多いです。
最近のオススメ回 (ホントはゲスト全員おすすめ)
・ニワトリは血小板がない!?栓球細胞の研究とは? #60
・糸とキバと感覚器官を使いこなす!驚くべきクモの生態 #64

どちらも面白い番組にしようと日々考えながらも楽しくおしゃべりしています。
気になった方はフォローしてみてください。
少しだけでも聴いた方の世界の見方が変わるといいなと思っています。






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