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「Bendcore GUIDE BOOK」を出しました

5/19に、文学フリマで1冊本を出しました。

これはユリイカ2023年12月号=長谷川白紙特集及びそれまでの特集、あらゆる批評や言及において無視されてきたものを扱う、という気持ちで書かれた本です。すべての言及や資料には尊敬の気持ちがある一方で、「すべての人を見捨てない」という作品の大義の割にはあまりにエシカルな文脈の中だけですべてが美しく完結しており、それはブランディングの上で仕方がないことなのでしょうが、そこに美術や文壇の特権性、分断、ある種の主張の一貫性のなさというか、ほんの少しの寂しさと違和感を感じていたのです。

これに関しては書籍内で詳しく触れているので割愛します。

しかしながら、私が大好きになった沢山のコンテンツや美しい言葉たちをきわめてフラットな視点から改めて振り返り、確認して余計な記述を避けながら並べていく作業をすることで、わたし自身も愛するコンテンツの輪郭を再考できたし、多くの人が言うように、資料的にも記録価値があるものになりました。

問題提起としての執筆の意味合いが強いので、構成や推敲には甘さが残りますが、ジャンルとして萌芽しはじめているシーンへの提言、実証するかのようなディスクレビューの数々と、そしてインターネットやすでに消えた情報を含めた資料の圧倒的な情報量から立ち上がる歴史…という構成は、我ながら今の自分にできる最善を尽くしたものだと感じております。

今回の告知以降「駒澤さんは文章も書く人なんですね」と何名かから言われましたが、大学在学時の論文も"男性の化粧"をテーマにしたゼミ論や女児雑誌3誌の77年分ふろくをテーマに比較研究した卒論などで、正直哲学や音楽、美術などに対しては公に言及してきたり、包括的な知識があるわけではないので、私が様々な皆様に自作を読んでいただいているのは恐縮と恥ずかしさの限りではございます……が、しかし今後も在学中に執筆した音楽レビュー記事、昨年のMikikiやOTOTOYへの寄稿など、機会があれば積極的に執筆していきたい気持ちはあります。

基本的にはプレイヤーとしての制作が一番好きなので、関心領域や知識にかなり偏りもあり、本職の研究者の方々には到底及ばないはずです。そのため常に「他でもない"わたし"が書く必要があるのか」ということを念頭に置いております。これはどの仕事にも言えますが。

SPANK HAPPYや長谷川白紙さん、わたしの作品制作や活動に深く影響を及ぼしたアーティストの方々のお仕事をいただけたことは大変光栄でうれしく思いますし、乙女向けコンテンツやASMRといった私が活動とは別にプライベートで相当な気合を入れて追ってきたものたちに評論というかたちで触れられたのも、自分という人間のアイデンティティを構成する要素を使ってしか書けないものだと感じ、評判がいいこともかなり嬉しかったです。

個人制作で出したいくつかの本に関しても、同様なリリースの文脈と意義が明確にあり、作品をドロップするたびに自分の中の名状し難い身体の一部が誰からもわかる形でこの世に顕現したようなそんな気持ちよさがあります。

さて、文学フリマにて大好評完売をいただいた新刊ですが(結構刷ったのに…)、DMでの数名からのお問合せを受け、増刷分の通販を行っております。受付は今週2024年5月26日24時までにしようと思いますので、是非どうぞ。友人に査読をお願いして内容的にも新版の発行を薦められてはいますが、すぐには出せないと思いますので、気になってる方はぜひこの機会にお願いします。(今回の増刷後の再販はいつになるかわからない新版発行までしません)

改めて沢山の人に気にかけていただき嬉しいです。今後とも何卒宜しくお願い致します。


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