T-geneStage「消された声」

ミステリ1人で見続けるのってほんとにほんとにしんどい！！！

真っ先に素直な感想を述べるとほんとにほんとにこんな感じでして。
いやまさか、図師さんが、リキトさんが、真犯人だと思わないじゃないですか。
田中彪から図師光博への特大ラブレターを見せられてる気分でしたね。
これはもう、多分、T-geneを、田中と図師を、知らない人に言っても伝わらないエモさだと思うんですけども。ああ、本当に信頼していて大好きだからこその配役だなあと。

初日のあの、劇場全体の「お前かあ！！！」な空気感たまんなかった。演劇見てんなあ！の感覚が半端なくて、最高に楽しかった。これだから舞台はたまらん。

とりあえず作品の全体像から。

ひょったんの、この腐った世界に対する憤りを強めに感じました。
弱い者の声は、強い者に消されてしまう。それはもう、仕方のないことかもしれない。そんな中で生きるしかない。その理不尽に当たり前に憤ってくれる田中彪の存在がすごくすごく大きいなって。

色々考えるんだけど、ラストシーンがものすごく印象的で。
マコトもソウタも、想ってくれている人がいるのに、なんでああいう終わり方になってしまったんだろうって思うの。でもなんか、それが、ひょったんの挑戦状というか、なんというか。
犯罪には、犯罪を、ってことなのかなあ。
なんかほんとに難しくて。でもあの見せ方はすごくすごく綺麗で、演劇的だなって。舞台でしか作れないものだなって。本当にすごいんですよ。セットも照明も音も、全部がすごい。語彙力。生で見るからこその迫力だし、説得力だし。あー、演劇見てるわあという気持ちになれる演劇が結局1番好きなので、最高に好きな作品ですね。はい。

ひょったんはいつも、自分が好きな役者をあつめてやってるって言ってるけど、ほんとにほんとにみんなの事が好きで、みんなの事を生かす配役をしてくれてるなあって改めて思って。

縣さんには荷が重いかなってくらいの役を与えて挑戦させてくれるひょったんって存在がものすごく大きくて、嬉しい。毎回毎回きっとしんどいんだろうなあって思うんだけど。初日はたいていピッチが合ってなくて当てて欲しいところに当たってないんだけど。公演期間で、ものすごく高いところまで行くの。これはどの作品もそうで。初日にいつも、あーやっぱり今回もダメかなと思っても、1公演1公演重ねる毎にどんどんチューニングを合わせていって、ビタっとハマった瞬間がむちゃくちゃ気持ちよくて。ああ、縣豪紀を好きになってよかったなと思わせてくれるそんな推しに巡り会えて幸せだなあって、今回も感じました。
今回のツヨシくんもほんとに大変だったと思うし、難しいところにいたから、どう動くか沢山考えたと思うんだけど、いいミスリードというか、こいつかもしれん……のいい材料になってくれて最高に惑わされた。ミステリってそういうのないと楽しくないからね。
チェキの時はいつも通りすぎて毎回ずっと笑ってた。見上げないと目が合わなくて、なんかいっつもニコニコニコニコしてて、私が話さないし考えないし何もしないの知ってるから頑張ってくれるのほんと愛おしいし、いっぱい楽しませようとしてくれて、スタッフさんの剥がしに気づかないのがあがさんらしいなあって。いやまあでも正直、毎回雰囲気感じ取って逃げ帰る私の気持ち、少しだけでいいので考えてください。

キャストだけじゃなくてね、客にも愛を沢山くれるひょったんが、T-geneが私は大好きです。
緻密に作られた作品も、大掛かりですっごいセットも、ゆーたろーくんの素敵な音楽も、色んな情景を見せてくれる照明も、作品の根幹を担う役者たちも、毎現場笑顔で対応してくれるスタッフさんも、全部が揃って、消さ声って作品が出来上がってたんだなあって。

ラスト2公演、残念だったけど、本当に誠実な対応をしてくれるカンパニーだなと改めて。前も1回イベントであがさん出れなくなった時に対応してもらったんだけど、その時の対応も超誠実だったし、今回も出来うる限り最高の対応をしてくれてるなと。中止、の時点でどうも諦める性格なので今日は行かなかったけど、とても良い時間だったようで。ほんとにこういう制作会社さんの存在はありがたいです。

消された声を、もう二度と消さないように。