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【大人気シリーズ最大の壁】エクスペンダブルズ ニューブラッドが不発に終わったワケ

2023年は前年度に比べホラー映画の勢いが激減。
しかし、大人気シリーズのアクション映画の続編が続々と公開されたりなど、お墨付きの面白さを確約された映画が豊作だった一年と言っても過言ではない。

キアヌ・リーヴス「ジョン・ウィック:コンセクエンス」
デンゼル・ワシントン「イコライザー THE FINAL」など
大人気シリーズの新作が舞い込んだ中、日本国内で残す注目作はアクション映画界隈を担うスター達が勢揃いでお馴染みの消耗品軍団「エクスペンダブルズ」シリーズ待望の最新作。

それが「エクスペンダブルズ ニューブラッド」だ。
今回は先行で鑑賞させて頂いたので本作について紹介する。

— STORY

自らを“消耗品”と名乗る最強無敵の傭兵軍団<エクスペンダブルズ>を率いるバーニー・ロス(シルベスター・スタローン)は、CIAから下された新たなミッションに挑むため、かつての相棒であるリー・クリスマス(ジェイソン・ステイサム)の元を訪ねる。
バーニーとともに再び組むことを決意したリーがアジトに足を運ぶと、そこにはかつての仲間だけではなく、新たなメンバーが顔を揃えていた。
新戦力を迎え【ニューブラッド】として生まれ変わったエクスペンダブルズが挑む今回のミッションは、テロリストが所有する核兵器を奪還すること——もし、失敗すれば第三次世界大戦が勃発しかねない危険なミッションに挑む彼らだったが、敵の卑劣な策の前にミッションは失敗に終わり、大きな代償を払うことに…。
失われた仲間の意思を継ぎ、そして仇を討つために再びエクスペンダブルズが立ち上がる——!

— 本シリーズのミソ「豪華キャスト(?)」

シリーズ待望の最新作では、スタローンとステイサムは勿論のこと、ドルフ・ラングレンとランディ・クートゥアらは続投されたが、他は新キャストとなった。
「マッハ!」でお馴染みトニー・ジャー初め、ミーガン・フォックス、50セント、アンディ・ガルシア。
そして悪役では10年に1本のアクション映画としてアクション映画史上最高と名高い「ザ・レイド」シリーズのイコ・ウワイスが参戦。

お気づきかと思うが、過去3作品に比べ圧倒的に少人数となってしまっており、ナンバリング作品として成立するかすら怪しいキャスティングとなってしまったのです。
予め言っておくが、それが決して悪いと言っているのではなく、これまでジェット・リーやブルース・ウィリス、アーノルド・シュワルツェネッガーを始めとしたアクション映画界を担ってきたスター達が勢揃いという”ミソ”が本作ではかなり薄まってしまっていた…。
現にジェット・リーは事実上の俳優引退、ブルース・ウィリスも俳優を引退しているなど、それぞれの”姿”がこの数年で変化しているのも事実。

勿論、こうなってしまった要因には深い”大人の事情”が関係している。

— 全米脚本家組合ストライキによる制限

ストライキに関する詳細な話は長くなるので伏せさせて頂くが、これらの影響でこれまで発揮してきた興行的ポテンシャルをフルに発揮できなかった作品は少なくない。
本作「エクスペンダブルズ4」でもその一つ。
その為、キャストのプロモーションも不発に終わり、制作費1億ドルに対し週末3日間で興行収入830万ドル(事前予想では1500万ドル計算だった。)
まさに”番狂せ” を喰らってしまい、シリーズに大きな壁が立ちはだかってしまった。

正直に言うと上記の理由以外にも幾つかの要因も考えられるだろう。これはあくまでも私の憶測にすぎないがご了承を。

例えば先ほども記載したように過去3作品のようにアクションスターを集めることができなかったこと。
そして、我々が求めるアクション映画がこの数年間で大幅に変わってしまったこと。本作の配給会社「ライオンズゲート」が急激に育て上げた「ジョン・ウィック」シリーズの大ヒットによりアクション映画の見え方が変わっているのは一目瞭然だ。

そして本シリーズの1番の致命的要因は、スタローンとステイサムの映画に対するポテンシャルとポジションに大きな変化が生じたこと。

現に本作ではトップクレジットがスタローンからステイサムになっている。その点から、色々とお察し状態だが…。

— 感想

評価 ★★★☆☆ 3.5
シラッド vs ステイサムもう少し尺長くてもいいんじゃない?!
B級アクションと大差ないクオリティではあるが、約束された視覚的面白さは健全。無駄なことは何も考えずに与えられたその1秒を純粋に楽しめ!

公開前なのでネタバレは無しだが、
正直仕掛けも弱いしネタバレ以前に内容なんてあるようで無い。
何も知らないで観たいという方は、一旦ここで読むのをやめた方がいい。

上記に記載したように本作ではシリーズ最大の壁が立ちはだかり、従来のポテンシャルを発揮できてないという事実は判明している。その中でもやはりお墨付きの”面白さ”は健全であった。
勿論、スケールも迫力もパワーダウンしてしまったが、良い部分もたくさんある。

まずは本作R15+指定となった。
1作目ではR15+、2作目はPG12(後にリリースされた円盤ではR15+)、3作目では全年齢対象となり徐々に血生臭さが無くなってしまっていた本シリーズ。
本作はおそらくシリーズを通して圧倒的残酷度となっている。
これはスタローンの「ランボー ラスト・ブラッド」に匹敵する肉体破損描写と言っても過言ではない。(CG雑だけど…)
後はやはりイコ・ウワイスとトニー・ジャーの参戦はかなり大きいはずだ!
まさに彼らは今求められているアクション像に近い存在であり、現代に寄り添ったキャスティングは見事。

その反面、もっと見せ場があっていいんじゃないか?というくらいに全体的にボリューム感が全くないのが残念だ。
ワンシチュエーションとまではいかないが、背景がほとんど変わらないのでナンバリング作品というより、番外編的な気持ちで楽しむのが1番いいかもしれない。

— 最後に

様々な事情を抱えた本作だが、”駄作”ではない。
勿論、それらの事情を知らない人が見たら賛否両論なのは間違いないだろうけど。小難しいことは考えず、純粋でまっすぐな気持ちで本作を観てほしい。
来年はエクスペンダブルズで決まりだ!

レネリー / lenely OHKUBO

エクスペンダブルズ ニューブラッド

エクスペンダブルズ ニューブラッド(原題:EXPEN4BLES)

-キャスト
ジェイソン・ステイサム
シルヴェスター・スタローン
カーティス・“50セント”・ジャクソン
ミーガン・フォックス
ドルフ・ラングレン
トニー・ジャー
イコ・ウワイス
ランディ・クートゥア
アンディ・ガルシア

2024年 1月5日公開 R15+
配給:松竹/ポニーキャニオン

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