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気取った男の説明書

男には、決して譲れない自分だけの美学がある。
次元大介然り、立川談志然り、美学を貫く男ほど格好良い男はいない。

幼い頃から、取り憑かれたように戦隊ヒーローやバトル漫画にハマり、仮面ライダーの変身ポーズを真似するのは、それがほとんどの男にとって「格好良い」の原体験だからだ。

そんな男に、「カッコつけすぎ」なんて台詞は野暮だ。男は須らく皆美学を追い、無意識に気取ってしまうものなのだ。

「もう別れよ?」
「何で?」
お互い目を合わせず言った。
「こだわりが強くてしんどい。あと、他に好きな人できた」
「そっか……わかった。」
「じゃあね」
「うん、ありがとね」
「最後に感謝なんて……古くさいよ」

そう言われても、それが美学だから仕方ない。
女性に振られたとしても未練など残さない。相手に新しく好きな人ができたなら尚更。決して邪魔しないように。それも美学だ。

涙が溢れてきた。
どうやら、美学に憧れているだけだったらしい。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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