【リモホス】Club Saturno 第1話【リモート☆ホスト】
――オレンジ色に輝く都会のランドマーク、東京タワーが見下ろす街――。TOKYO-R。
上品で洗練された高級店が軒を連ね、高級外車や大使館ナンバーをつけた高級車が街を行き交う。そして深夜まで、インターナショナルな観光客達がバーやクラブを賑わせている。
この街に住居を構える者達もいわゆる成功者たちばかり。大都会の魅力がギュッと詰まったエリアブランドであるこの街の一角に、
今夜、新たなホストクラブが誕生しようとしていた。
――『Club Saturno』(クラブ サトゥルノ)。
Saturnoとは土星を意味する。
シルバーと黒で統一された高級感ある『Club Saturno』のシックなエントランス。
そこから店内に至るまで、『祝!開店』と書かれた胡蝶蘭がびっしりと華やかに並んでいる。
そして、シックなモノトーン調でまとめられたシンプルで落ち着きのある店内。内装は高級感がありながらも余計な装飾は一切なく、どこか上品さを感じさせる。
これは「無駄なものは一切排除する」というこの店のオーナー・クロノスのセンスが大いに反映されていた。クロノスはゴテゴテとした余計なモノが大嫌い。インテリアにしても、ファッションにしても、料理にしても、そして人間関係においても……。
そんなクロノスが集めた新規オープニングスタッフは、彼自身がスカウトした者もいれば、紹介、あるいはスタッフ募集を見て応募してきた者もいる。
そこからクロノスが厳しい目で選びに選んだ精鋭の5人のみだ。
とはいえ、その選ばれし5人はかなりバラエティに富んでいる。やはりホストクラブ。様々なお客さんに対応する為、ホストもそのニーズに対応できる様々なタイプが必要なのだ。
例えば……てん星(てんせい)。彼はクロノスにスカウトされた一人だ。
× × ×
てん星「――俺がホストに?」
クロノス「ああ。君はホストに向いている」
てん星「でも、俺、今も十分稼いでるし、別にこれ以上、稼ぐ必要もないんだけど……」
てん星は、既に自分で事業を行っていた。占い師兼パワーストーン輸入業をこなす実業家だ。
しかも、その占いが独特で、『オカリナ』を吹いて占う『オカリナ占い』というものだ。かなり的中するらしく、その界隈ではオカリナイケメン占い師としてかなりの人気だ。
その情報を聞きつけたクロノスは彼をスカウトしたのだった。
てん星「興味ないね……」
最初、そう断るてん星だったが、クロノスは言った。
クロノス「じゃあ、俺を占ってみろ。そうすればきっと、君は俺の店で働きたくなる」
そう自信たっぷりに言うクロノス。
てん星は半分呆れながらもクロノスをオカリナで占ってみた。
ピーピーピー♪
その結果にてん星は驚いた。オカリナの音色にクロノスに輝かしい未来が見えたのだ。
てん星「――聞こえる」
クロノス「?」
てん星「フフ……いいね、あんた」
クロノス「今の仕事は続けて貰っていい。俺と一緒にキングを目指さないか?」
こうしててん星はオープニングスタッフの一人となった。
× ×
クロノスのスカウトで入ったのはもう一名いる。桐野(きりの)である。
桐野は『#今日のオイ活』というハッシュタグで人気のインスタグラマーだった。
世界の様々なオイルを集め、生活に取り入れていた。さらにオーストラリア生まれの帰国子女で、幼い頃からよくキャンプに行っていたことから、今でもよく一人キャンプをしているらしい。キャンプで使える缶詰アレンジ料理も多くUPされていた。
――だが、本人が写っているのは手元のみ。でも、クロノスはその手元から感じた。
スラっと伸びる細く白い腕。完璧に手入れされた爪ときめ細やかな質感の手肌。
クロノスはUPされている情報から彼がよく行くらしいキャンプ場を突き止め、一人、バイクで向かった。彼がいたのは大勢のキャンパー達で混んでいる場所からかなり離れた、誰もいない静かな小川のほとりだった。
クロノスは早速、起こした焚火でオイル料理をしている桐野に声をかけた。
クロノス「随分、外れた場所にいるね」
桐野「混んだ場所は嫌いでね」
クロノス「同じだ。気が合うな、桐野くん」
桐野「……なんで俺のことを知ってる?」
クロノス「……今日のオイ活」
桐野「ああ、なんだ。フォロワーさんか」
クロノスは彼を見て思った。
想像通り、いや、想像以上だ。ほんの少しの会話だけでもクロノスは確信した。
――こいつならナンバー1になる……いや、なるんじゃない。こいつは生まれながらのナンバー1なんだ。
そんな崇高さが彼にはあった。
当然クロノスは桐野も『Club Saturno』のオープニングスタッフにスカウトしたのだった。
桐野「でも、俺、その日の気分で行動するから。ちゃんと勤務日に行くかは保証できないよ」
クロノス「それでもいい。いや、むしろ君のそんな部分を俺は買っている」
桐野「ふーん」
――その日の気分でふらっとどこかに消えてしまう。必ず会えるとは限らない。クロノスはそんな彼の自由さと希少さに賭けたのだ。
そして、スタッフ募集でやってきたのは……
環珠(かんじゅ)と蔡久良(さいくら)だった。
× ×
環珠で一番目を引くのは何より彼の美髪だ。
彼自身、髪に命をかけており、天使の輪もできるつやつやサラヘア。髪を振り上げると、いい匂いがする。
自分のルックスが大好きで一日中鏡を見ていられるというナルシストぶり。
どうも、女が多い家族の中に男一人で育った為、家族に褒められすぎて自分でもイケてると信じ込んでしまったようだ。
――そんな環珠だが……
実は仙台出身で実家はお寺。
4人姉弟の末っ子で唯一の男子。
その為、いつかは必ず寺の住職に、つまり『坊主』にならねばならないのだ。しかも、最近、父親の体調がおもわしくなく、すぐに住職を継ぐように言われている。
環珠「俺が坊主に……嫌だ、嫌だ!俺は今の自分の姿が好きなのに!」
そんな時、環珠はこの『Club Saturno』の新規オープニングスタッフ募集の文字を見かけた。
環珠「俺はそう遠くないうちに仙台で住職にならなきゃならねぇ。東京での最後の思い出にこの今の姿ででっかい花火を打ち上げてぇんだ!今の俺の証が欲しいんだ!」
環珠はそうクロノスに訴えた。
クロノスはそんな彼を受け入れた。
環珠「よっしゃー!クロノスさん!俺、この店でナンバー1になってみせっから!このエンジェルリングの名にかけて!リング、リンガー、リンゲストだぜ!」
そんな環珠と一緒に面接を受けたのが、チャラメガネ姿の蔡久良(さいくら)だった。
一人称は『さいぽよ』。
見るからにかなりチャラい、パーティピーポー的な雰囲気を漂わせる蔡久良。
しかし、履歴書を見ると驚きの経歴が。
彼は最難関の中高一貫校から、最難関大学に通う超優秀なエリートだったのだ。
――でも、彼の履歴書を見て、クロノスは全く驚くことはなかった。
クロノスはチャラく見せる彼の中に何か闇を感じていたのだ。
時に心に秘められた闇は物凄いパワーを生み出すことをクロノスは知っている。
蔡久良「さいぽよの志望動機はさぁ~、学力偏差値だけじゃなくてぇ、モテ偏差値でもナンバー1になってやる!って思っちゃって~。ちなみにイケメン全国模試でもナンバー1狙っちゃうぽよ~」
クロノスは彼を採用した。
新規オープニングスタッフ募集には他店での経験者含め多くの応募者が来たが、結局、そこからクロノスの求めるレベルに達していたのは業界未経験の環珠と蔡久良だけだった。
そして、残る5人目は、知人からの紹介で入って来た、一番若い、20歳になったばかりの亜土夢(あとむ)だった。
× ×
亜土夢は昨年のミスターキャンパスで優勝。
モデルのバイトをしながら、それなりに大学生活を謳歌していた。でも、彼の過去の成功体験から、何か物足りなさを感じていた亜土夢。
亜土夢「でっかいことしてーなー!ミスターキャンパスなんて大したことない。もっともっと刺激が欲しーぜ!もっと上を目指してぇ~」
亜土夢は行きつけの居酒屋で店主によく、大好物の締め、TKGを食べながら、そう話していた。
――彼の過去の成功体験とは何だったのか?
実は亜土夢、過去に『あること』で世界チャンピオンになったことがあるのである。その道では超有名人だった。
もちろん、その経験は彼にとって輝かしい成功体験でもあり、と同時に今では思い出したくない挫折体験でもあった。
その為、亜土夢は決してその過去について、話すことはないし、誰も何のチャンピオンだったのか、その過去を知らない。
そんなある日、サークルのコンパで仲間と飲み会をしていたところ、亜土夢は居酒屋店主に呼ばれた。
居酒屋店主「な、奥の個室に紹介したい人がいるんだけど」
亜土夢「え?誰?誰?」
居酒屋店主「刺激、欲しいって言ってたろ?もちろん嫌なら断っていい。まぁ、これを受けるも受けないも、君次第さ」
何のことか分からないまま、亜土夢は奥の個室へ。そこにいたのがクロノスだった。
× ×
――こうして集められた5名。
研修など、開店までの準備期間を終え、とうとう今夜、オープンの日を迎えた。
まず最初にやってきたのは、大学での講義を終えた亜土夢だった。
手には出勤途中で買ったらしき限定ドーナツ。
すると、その後、少し遅れてやってきた蔡久良。彼も大学での講義帰りに、同じドーナツを買ってきていた。
亜土夢「あ、そのドーナツ!」
蔡久良「さいぽよとお揃い!めっちゃ気が合うね!さいぽよ、スイーツ、大好きぽよ~」
亜土夢「俺も。でもさ、これ、買えた?」
亜土夢はドヤ顔でラズベリーショコラドーナツを見せた。
蔡久良「あー、さいぽよが食べたかったやつ! それ買おうとしたら売り切れでさ」
亜土夢「そりゃあ、そうだろうな。俺が最後の3個、買い占めたから」
蔡久良「いいな、いいな、さいぽよに1個ちょうだいぽよ~」
亜土夢「絶対ヤダ」
蔡久良「えー、ひどいー。3個も買ってるじゃんかぁ」
亜土夢「1個は開店前に景気づけで食べる用、もう1個は閉店後に食べる、お疲れ様用。もう1個は家に帰って食べる、ただいま用」
蔡久良「じゃ、一口でいいから味見させてぽよ~」
すると、そこへてん星がやってきた。
てん星「――学生組。ぽよぽよ、うるさいよ」
蔡久良「あ、てん星だ!おはぽよ~!」
亜土夢「てん星さん、頼むからコイツと一緒にしないで下さいって!ぽよぽようるさいのは、さいぽよだけっすよ」
てん星「俺からすれば、同類だ」
蔡久良「わぁ!同類だってよ!だから、ドーナツも一緒に食べよぽよ~、亜土夢ちゃーん!!」
亜土夢「う……」
さらにやってきたのは環珠。
環珠「やぁ、みんな!集まってる?」
すると、ドーナツが目に入った。
環珠「おいおい、俺、ドーナツがマジで苦手なんだ!早く隠せって!」
亜土夢「はいはい、隠せばいーんだろ」
蔡久良「でも、ドーナツが嫌いなんて変わってるぽよ。カレーが嫌いな人がほとんどいないくらい、ドーナツ嫌いもいなそうぽよ。ドーナツの何がどう嫌いぽよ?」
環珠「とにかく嫌いなもんは嫌いなんだよ!そんなことより、どう?どう?俺の今日の髪、めちゃくちゃサラツヤだろ?エンジェルリングも輝いてるぜ!鈴々(りんりん)リング♪エンジェルリング!ヒュー!」
本人自慢のツヤサラヘアをサっとかき上げ、一回転すると、キラーンとポーズを取った。
しかし、てん星はチラっと見ることもなく、適当に流す。
てん星「いいんじゃね?」
環珠「おいおい、てん星!見てねーのにテキトーに言うなって~ぇ!ほら、ちゃんと見ろよぉ。今日の俺!リングってるだろ?ふふーん」
またポーズを取る環珠。
するとてん星はボソリとつぶやいた。
てん星「……うぜ」
環珠「え~、そんなこと言うなって。天使の輪は友達の輪だぜ?鈴々(りんりん)リング♪エンジェルリング!ヒュー!」
蔡久良「大丈夫!さいぽよがしっかり見てるから!今日も天使の輪、輝きまくってるぽよ!環珠さん」
環珠「だろ?リングの最上級、リンゲストだろ?」
亜土夢「よく分かんないけど、M・K・S!『マ』ジ、『キュ』ーティクル『す』げーっす」
環珠「新装開店に合わせて、今、青山の美容院でトリートメントして貰って来たからねー。このエンジェルリングで今日は稼ぎまくるぜ!」
蔡久良「さいぽよだって負けないよっ!イケメン全国模試1位だもんね」
亜土夢「何がイケメン全国模試だよ……それ、自称だろ?」
蔡久良「もしあったら絶対1位だもん」
亜土夢「なら俺は今日の売り上げチャンピオンを目指す!オーナー、オープニングで1位とった奴には金一封出すって言ってたしな」
すると、奥で黙っていたてん星が突然、オカリナを取り出し、吹き始めた。
ピーピーピー♪
皆、唐突に吹き始めたてん星のオカリナを見る。
てん星「聞こえる……」
「え?何か聞こえた?」「聞こえないけど…」
とざわざわする他のホスト達。
そして、てん星は一言。
てん星「『今日のトップを取る奴はここにいない』……と出ている」
蔡久良「……へ?」
亜土夢「それって……オカリナ?」
環珠「お前ら、知らなかったのか?てん星はその道じゃ、超有名なオカリナ占い師だぜ?」
蔡久良「オカリナ占い!?」
亜土夢「よく分かんないけど何かすげー!」
蔡久良「じゃあさ、じゃあさ、誰がトップになるぽよ?やっぱりオーナーのクロノス?」
亜土夢「でもクロノスは今日はオーナーとして店全体を見るはずだぜ?売り上げレースには入らないって」
蔡久良「じゃあ誰?俺達の他にスタッフいたっけ?」
環珠「オープン前研修には他に見当たらなかったけど」
すると、てん星は言った。
てん星「……実は俺達の他にもう一人いる。一度も研修に来たことがない自由人がな」
環珠「え?もう一人?」
亜土夢「誰だ、それ」
蔡久良「さいぽよも初耳ぽよ~」
――そこへやってくるオーナーのクロノス。
クロノス「――みんな揃ったか?」
蔡久良「あ、クロノス!おはぽよ!」
亜土夢「お疲れ~っす」
環珠「おはようございます」
てん星「(黙って一礼)……」
クロノスは4人の姿を確認すると……
クロノス「……やはりまだアイツは来てないか」
環珠「クロノス!今、てん星から聞いたんだけど、もう一人いるのか?」
クロノス「ああ……」
亜土夢「研修にも一度も来てないし、経験者か何か?」
蔡久良「他の店のナンバー1をヘッドハンティングしたとか!」
クロノス「いや、アイツも未経験だ」
環珠「じゃあ、初心者を研修もなくいきなりオープニングスタッフで?」
クロノス「まあな」
亜土夢「それって、大丈夫なのか?」
蔡久良「全国模試1位のさいぽよだって、片手でシャンパンをこぼさない様にそそぐの大変でいっぱい練習したってのに」
亜土夢「それ、全国模試関係あるか?」
蔡久良「めっちゃ、あるぽよ!」
環珠「でもクロノス、いきなりソイツを店に出して本当に大丈夫なの~?」
クロノス「ふつうなら大丈夫じゃないが、まぁ、俺はアイツのそこに賭けた……。そもそも今日、来るかどうかも賭けだが……」
蔡久良「え?……ってことは、来るかどうかも分からないってことぽよ?」
てん星「ふふふ……」
愛土夢「まさにN・S・Y!『な』んか『す』げー『ヤ』ツ!」
環珠「そいつ、俺よりエンジェルリング光ってっかな……」
そういって、サラサラツヤツヤの髪をとかしては手鏡ですぐさま光り具合をチェックし、勝手にライバル視する環珠。
みんながみんなその『もう一人』が気になる様子だが……一向にその人は現れなかった。
× × ×
――夜の帳が落ち、街にネオンが輝き始めた。
店のオープニングの時間が迫ってくる。
最終チェックを終え、クロノスとスタッフの開店前の最終ミーティング。
しかし……まだあの『自由人』は来ていない。
クロノスはじめ、誰もがもう来ないと思っていた。
亜土夢「ナンバー1候補、来ないな」
蔡久良「じゃ、今日の売り上げ全国模試1位はさいぽよが頂き~!」
環珠「残念だけど、ナンバー1エンジェルリングは俺だ。てん星、お前のオカリナ占い、今日はハズレだな」
てん星「それはどうかな……」
その時だった。
カツカツと靴音が近づいてくる。
全員、その靴音の方を振り向いた。
クロノス「……来たか、桐野」
桐野「ちょっとこの近所に欲しいオイルがあったから」
蔡久良・亜土夢「……オイル???」
環珠「てか、コイツが……」
てん星「……」
クロノス「で、見つかったのか?そのオイル」
桐野「ああ。買えたよ」
そう言ってオイルの入った紙袋を見せ、桐野は微笑んだ。
――こうして開店時間ギリギリにClub Saturnoのオープニングスタッフ、クロノス含め全6名がやっと揃ったのだった。
× ×
時計の針は開店5分前……。
クロノス中心に『Club Saturno』オープン前コールを始める。
クロノス「時は来た!」
一同「タイム イズ マネー!」
クロノス「無駄は全て」
一同「ノーサンキュー!」
クロノス「土星のリングは」
一同「俺達の輪!」
環珠「天使の輪!」
一同「キングの輪!ワオ!」
クロノス「今宵の俺達!」
一同「華麗に高貴にセンスよく!」
クロノス「我ら!」
一同「『Club Saturno』!ナンバー1ギャラクシー!」
クロノス「では――『Club Saturno』、本日、新装オープンだ」
× ×
――とうとう満を持して、『Club Saturno』はオープンを迎える。
今夜はオープニングパーティ。
きっとお客さん達もお祝いで大量のシャンパンを開けてくれるだろう。
気合十分なみんな。
一方、クロノスは開店前に一人、少しだけオーナー部屋に戻った。
そこに飾られた1枚の写真。
そこに写っていたのは、『祝!Club Galassia10周年』と書かれたケーキの周りに写る6人のホスト達。
そのメンバーの一人にはクロノスが。
クロノス「……とうとう俺の店が開店するよ、ルーナ……」
クロノスはそう言って、写真の一番隅っこでキリっとカメラ目線で見つめるホスト・ルーナを見つめた。
クロノス「……ルーナの敵は絶対に俺が取る」
憎しみに満ちた目で、今度は同じくその写真に写る『ある人物』を睨みつけた。
それは――クロノスの隣に写る人物……
TOKYO-Kにある『Club Venere』のオーナー、ルシフェルだった。
つづく
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