見出し画像

【リモホス】Club Venere 第2話【リモート☆ホスト】

――TOKYO-K。
高架を走る電車の向こうにそびえ立つ高層ビル群。
この街を支える最寄り駅は乗降客数が一日に353万人というモンスター駅。
昼間はビジネスマンや学生他、買い物客、観光客など多種多様な人々が行き交う。
だが、夜になるとまた新たな表情を見せる。
街中にネオンが光り出し、昼間とはまた違った賑わいを見せ始める。
そして……この街の一角に建つこの店も開店の時間となる。
――Club Venere。
その扉を開き、一歩中へ踏み入れれば、
今宵も新たな出会いがあなたを待っている……。

   ×   ×   ×

深夜0時……。
Club Venereの閉店の時間。
ゴールドに輝くシャンデリア群の煌めきも優雅な出会いの場も楽園の扉が閉められるのと同時に、魔法はとけ、現実に戻る。


まだトップ5に入れない下っ端ホスト達は、営業が終了するとまず店内の後片付けだ。
テーブルを拭いたり、灰皿を洗ったり、床のモップがけをしたり……
接客後なので、かなりアルコールも入っているのだが、皆、明日、また新たにお客様を気持ちよくお迎えすべく、店内をピカピカに掃除していく。

さらに、お客さんのアフターフォローも忘れない。来店してくれて嬉しかったという感謝の気持ちを伝えるのと同時に、お客様の無事の帰宅を確認すべく、ちょうど自宅に着く頃、メッセージを送るのだ。小さな心遣いだが、これが次の来店に繋がるのである。

一方、この店のトップ5達。
彼らが閉店後、何をしているかというと……
――バックヤードにある売り上げトップ5のみが使用できるゴージャスなビクトリールームを覗いてみる。

慌てて着替えをし、慌てて鏡に向かってゴキゲンに髪型を整えているのは金多である。

金多「よっしゃ!飯、飯~ふふふーん♪」

嬉しそうに鼻歌を歌う金多に対し、夕星は冷静に一言。

夕星「あの……勝手に人のヘアブラシを使うの、いい加減やめてくれませんか?」
金多「いいじゃん!化粧水と違って、減るもんじゃねーしっ。ふふふーん♪っと。これでよしっと!」

そう言って、夕星にヘアブラシを返すと、

金多「じゃっ、レースはこれからが本番!ナンバー1出走馬・金多、お客様とアフターに行って来るぜ!ヒヒーン♪」

ここから先は

6,755字

¥ 200

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?