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香草爽やかなヒラメのカルパッチョ 熟成ボルドー白ワインのとてつもない包容力

仕事上がりに千代田区小川町、七條での夕食。
ビールやハイボールが好きな同僚も多いので仕事上がりには居酒屋も多いが、私がお店を選べるときはワインを置いている店にさせてもらう。
七條は、前回は素晴らしい料理と熟成ボルドーワインの組み合わせに舌鼓を打った。約1年ぶりの七條での鼓打ち。

今回注文したのは以下のメニュー。
・ヒラメのカルパッチョ
・生がき フランボワーズビネガー
・帆立フライ
・鯵フライ
・ロースカツ

ビールを飲みつつ、食事に合わせるワインリストを眺めていると、ほどよく熟成したボルドー白ワインを見つけた。シャトー・ブスコーの2013ヴィンテージ。
七條はとっておきの熟成ワインを備えていてワイン好きには堪らない。

ボルドーは大西洋にそそぐジロンド川を上流に向かうと、支流のドルドーニュ川とガロンヌ川に分岐。このガロンヌ川の左岸がグラーヴ地区。
シャトー・ブスコーはグラーヴ地区の中でもボルドー市に近いペサック・レオニャン地域にある。

濃い赤色がペサック・レオニャン地域
http://www.french-wine-jiten.com/bordeaux/graves.html

白ワイン、赤ワインともに生産する地域だが、白はソーヴィニョン・ブラン、セミヨン品種をブレンドして造られることが多い。
若いうちに飲んでもおいしいが、熟成させると果実香がグレープフルーツからオレンジピールやコアントロー(オレンジキュラソー)に発展し、一度嗅覚が刺激されると忘れられない官能的な麝香を醸し出すのだ。

さて料理とワインの相性について。

シャトー・ブスコー, ペサック・レオニャン, グラーヴ, ボルドー, 2013, 8,500円(レストラン価格)
Chateau Bouscaut, Grand Cru Classe De Graves, Pessac-Leognan, 2013, 13%

ブドウ畑は17世紀に開墾された。現在のシャトーの作付けはソーヴィニョン・ブランが約50%、セミヨンも約50%。
色合いは10年の年月の経過を如実に呈すゴールド。
香りにはオレンジピール、よく熟したピンクグレープフルーツ、パッションフルーツリキュール、コアントローに加え、熟成により果実香がこなれて官能的な麝香が広がる。香りによく馴染んで一体化した樽由来のバニラ香に加え、アカシアのフラワリーなニュアンスも。
味わいは熟成によりカドが削ぎ落されながらも豊満でリッチな果実味、酸味も健在しワインを心地よく引き締める。驚異的な長さの余韻は鼻腔をリッチな樽香が抜ける密度の濃いフィニッシュ。

ヒラメのカルパッチョにワインを合わせる。

添えられたディルなどの香草の爽やかさに、上品なヒラメの脂が際立つ。弾力のある身を噛みしめていくと広がる脂の甘みを、ワインの落ち着いた果実味と奥行きが包み込み継ぎ目なく一体化。相性: ★★★★★

続いて生がき フランボワーズビネガーに。

牡蠣にフランボワーズ!と初めて食べたときには驚いたが、これが絶妙の組み合わせ。
快活なフランボワーズの果実味が、牡蠣の風味を立ち上げる起爆剤になる。わずかに添えられたタマネギのみじん切りが牡蠣の生臭みが立つのを抑制し、爽やかな香味を与える。
ワインがそこに加わるとこの完璧なバランスが若干崩れてしまい牡蠣の生臭みがわずかに立ち上がるも、こけずにしっかりと踏み止まらせる熟成酒の包容力はさすが。ワインの果実味はもう少し落ち着くと更に相性が良くなるか。相性: ★★★☆☆

食事は前菜を終え、七條の真骨頂の揚げ物料理へと続く。

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