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アイナメとナスの揚げ出汁 ブルゴーニュの正統派シャルドネのピュアで伸びやかな果実味

浅草での友人との夕食の続き。くずし割烹しま正にて。

鱸(スズキ)の南蛮漬け、鱈の白子さっと煮に続き、アイナメとナスの揚げ出汁が提供される。
約1年間、様々な魚介にワインを合わせてNoteに記録してきたがアイナメは初登場だ。アイナメの旬は夏から秋で(今は旬からは外れている)、出回る量はあまり多くない。その名の由来は鮎のように縄張りを持つため「鮎並」、形が鮎に似ていることから「鮎魚女」などとされる。確かに皮に川魚に見られる斑点のような模様がある。とはいえ淡水魚ではなく海水魚、スズキ目の魚だ。

皮には旨み、脂が多いのが特徴。私は焼き魚で提供されるとつい、皮を外して食べる癖があるが、このアイナメとナスの揚げ出汁はアイナメが皮ごと揚げられているので、皮の風味もしっかり楽しめるよう誘導される。また、魚の身に切り込みが多めに入っており、衣がそこに入り油に当たって揚がる表面積が増えているので香ばしさを強く感じる。薬味は大根おろしに小口切りのネギ。料理には丁寧な仕事が施されていながら980円(税抜き。以下同)と非常に良心的な価格設定だ。ここまでの料理も鱸(スズキ)の南蛮漬けは580円、鱈の白子のさっと煮は750円と、他では1,000円を超えそうな料理もお手頃価格で提供されている。刺身に加えて焼き、漬け、揚げ、炊きなどの魚料理が充実していてシーフード好きには堪らないお店だ。
 
さて、ワインは引き続きブルゴーニュ ペルナン・ヴェルジュレス村のシャルドネを続ける。
 
ドメーヌ・ロラン・ペール・エ・フィス, ペルナン・ヴェルジュレス, ブラン, 2017, 約6,000円(レストラン価格)
Domaine Rollin Pere et Fils, Pernand-Vergelesses, Bourgogne, France

アロース・コルトンとサヴィニィ・レ・ボーヌにはさまれたペルナン・ヴェルジュレス村のワイナリー。畑は、コルトンの丘の後ろで標高250mから300mの南から東向きの場所にある12ha。農薬や化学肥料の使用を避け、酵母には野生酵母を用い、無濾過で瓶詰めする製法。
フレッシュな柑橘の香りを伴いつつも収穫から5年を経て程よい落ち着きも同居。
風味には透明感高く、ピュアでのびやかな果実味が魅力的、微かな塩味やミネラルのニュアンスにも富む。野生酵母を用いて、濾過は抑えめの造りだが驚くほどピュアでクリーンだ。最近、イタリアワインにはまっていたこともあり、正統派ブルゴーニュから遠ざかっていたが、やはりブルゴーニュは良いと全身がウェルカム・モードだ。
アイナメとナスの揚げ出汁に合わせる。アイナメの淡白な旨味に続き、風味の中に微かに砂っぽいニュアンスを感じるのはスズキ目の個性か。ただ、切り込みが多めでカラッと揚がっていてそのニュアンスはしっかりとコントロールされていてむしろ心地よいアクセントに。出汁の風味と重なり淡白な旨味はほんのりと滋味を帯びながら口内に広がる。その滋味にワインの清廉でピュアな果実味、ほどよい落ち着き、塩味やミネラルのニュアンスが重なり絶妙に統合する。相性: ★★★★☆

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